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車いすバスケットボール・香西宏昭が語る“未来をつくる活動”

パラサポWEB

香西: 選手たちって、WHYとHOWを知りたがる。なぜその練習をするのか、どのようにやるのか。その説明がすごく大事だなということは、自分自身がわかっていたはずなんです。けれども、いざコーチングとなったときに忘れてしまう。(でも、子どもたちが)理解しようとしてくれるし、チャレンジしてくれる。本当にみんなに助けられているところがあります。プレーヤーとしての自分にとっても、ちゃんとそのスキルを理解してるか(の確認)につながっていくし、いい勉強になっています。慣れみたいなのはありますが、コーチングは勉強していかないといけませんね。

みんなが楽しそうにやって成長してくれていることに、ほっとしています。達成感というよりは不安が軽減されたという感じ。アカデミーの中に、僕たちのチームに入りたいと言ってくれている子もいるんですよ。(すぐには)僕らのレベル(でプレーするの)は難しいと思うので、例えば、セカンドチームをつくったりなど、段階的にステップアップするような仕組みができるといいのでは、などと思案中です。

子どもたちに何かを伝えるとすぐに吸収してくれる。「達成感みたいなものを感じられますし、いい勉強になります」

若い世代に伝えることの意義

――子どもとのかかわりという意味では、学校で講演もしている。

香西: 例えば、小学校に講演に行ったときに、「ファミレスの入口のスロープに自転車がいっぱい停まっていて困ることがある」という話題を挙げると、しばしば「そんなの、あるの?」っていう反応をされるんです。そもそも(スロープの存在に)気づいてない。なぜそこにスロープがあるのか。車いすを使っている人がいるかもしれないし、ベビーカーを押している人がいるかもしれない、といったことまで想像できるようになるといいですよね。

――長年生活したアメリカとドイツではどうだったか。

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香西: それぞれいいところがありました。アメリカは、障がいがあることが理由で差別をしてはいけない、という法律があります。ドイツは、僕にとってハード面は(日本と)あまり変わらないのですが、障がいがあろうがなかろうが、お互いを助け合うみたいなところはありました。

決して日本がバリアフリー化が進んでいないということではなく、今、進んできているところだとは思います。もちろんハード面が整うのが一番なのですが、やはり(国土が)小さい国なので難しいところはありますよね。だとしたら、やり方(も大事)かも、と思います。

日本では駐車場やトイレやレストランは下調べをしてから出かけなくてはならず不便を感じることがあるという

――アカデミーや講演活動を通じて、子どものころから教わる場があることの大切さを実感している。

香西: やはり教育が大事。東京大会でレガシーを残そうという中で、若い世代の小学生、中学生、高校生に教えていくということは、後々、社会を変えていくことにつながっていくのではないでしょうか。

社会が変わるという意味では、仕組みや制度が変わるのが一番いい絵だとは思うんですよ。でも、それだけではなく、子どもたちが学んだことを親御さんたちと話し合って、会話が生まれたり。あるいは、今の若い世代が大人になって子どもが生まれたら、またその子どもたちに教えたり。それがちょっとずつ普通になっていくのが、社会が変わっていくということなのかもしれません。

知ろうとすること、知ることから、何ごとも始まっていく。いいつながりが未来につながっていくといいですよね。

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https://iam-possible.online

text & photo by TEAM A

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