「ピーチーキャニオン」は1988年設立のパソ・ロブレスでも初期にできたワイナリーの一つ。 ジンファンデルに力を入れており、この『ピーチ・キャニオン ナンシーズ・ヴュー ジンファンデル 2020年』もジンファンデルに混植したプティ・シラーを一緒に醸造。全房発酵によりタンニンと骨格をしっかりと出すという。色からもわかるように黒系果実が中心で、紅茶のような風味をドライなタンニンが支えている。
「J. ロアー」はモントレーでスタートしたワイナリーだが、ボルドー品種の適地を求めていたところパソ・ロブレスのワインに出合い、フルーツフォワードで柔らかいタンニンに魅了され、この地でもワインを造ることにした。『J.ロアー ヒルトップ カベルネ・ソーヴィニヨン 2021年』はブラックベリーや、ブルーベリージャム、プロヴァンスハーブが香り豊かな果実味とソフトなタンニンでバランスがいい。
「ラヴァンチュール」は冒険という意味を持つワイナリー。ボルドーの「ドメーヌ・ド・クルティヤック」のオーナーが理想の産地を追い求め、たどり着いたパソ・ロブレスで冒険を開始した、というエピソードが込められている。『ラヴァンチュール エステート キュヴェ 2017年』はシラー49パーセント、カベルネ・ソーヴィニヨン30パーセント、プティ・ヴェルド21パーセント。クレーム・ド・カシスやくだいたスミレ、チョコレートのような香りで、果実の凝縮感とミネラルを感じる。
以上のワインを通してパソ・ロブレスの産地の魅力を知ることができ、そのクールさを舌でも実感することができたセミナーだった。