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「ボランジェ」ピノ・ノワール三部作を紐解く

ワイン王国

第3フライトは、メゾン近隣のブドウ畑「クロ・サン・ジャック」と「クロ・デ・ショード・テール」の2区画のピノ・ノワールから造られる、シャンパーニュ地方の至宝『ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ2012年』。

ブネア氏は「ピノ・ノワールの最高傑作。接ぎ木をしていない自根で、1ヘクタール当たり3万本の植樹なので通常より3倍多いが、収量は3分の1。アイ村にフォーカスした凝縮感に富んだシャンパーニュであり、そのリッチさゆえに泡ものというより、ワインを飲んでいる感じ」とコメントした。

アイコニックなシャンパーニュ『ボランジェ ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ 2012年』と「黒毛和牛炭火焼」との相性は、気泡が溶け込んだ複雑味のあるシャンパーニュと、ロースト風味の上質な肉質との混然一体感

ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズは、以前は3000~4000本収穫できていたが、今では700本程度まで激減している。シャンパーニュ地方はブドウ栽培地の北限といえども気候変動の影響下にあり、アイのブドウ畑にも変化が出ている。会の終盤、ド・ベレネ氏は「冬は寒いのでクロの区画でも※3 フィロキセラへの耐性、プロテクトすることはできるが、夏の干ばつや猛暑が自根に与える影響は大きいので、その対策に向けて努力を続けていきたい」と語った。

ボランジェでは、10年前からシャンパーニュ地方の古代品種プティ・メリエやアルバンヌも手がけているが、メゾンはアイ村&ピノ・ノワールファーストであるため、自根のシャンパーニュ『ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ』をいかに存続させていくかが、最大の課題といえそうだ。

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【注釈】
※1フランス政府が発行する最高レベルの環境認証。生物多様性、施肥、病害虫防除、水の管理に関する厳しい指標が定められている
※2米国ペンシルベニア州の非営利団体B-Labが管理する国際認証制度。利益だけでなく、社会全体に配慮した公益性に高い企業に与えられる
※3 19世紀末、ワイン産地に壊滅的なダメージを与えたブドウ根アブラムシ。ブドウ樹の根について枯らせてしまう害虫。北米原産のブドウ樹を台木にして接ぎ木する解決策がある

text & photographs by Fumiko AOKI

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