参考:気象庁「エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間(季節単位)」
過去30年間で6回のエルニーニョ現象が発生しており、このうちスーパーエルニーニョ現象は「1997年春~1998年夏」と「2014年春~2016年春」の2回発生しています。
スーパーエルニーニョ現象が発生した2016年の冬は、平均気温に比べて+0.78℃と高い数値となっています。
なお、2003年冬の平均気温はマイナスになっていますが、2002年春から始まったエルニーニョ現象が2003年に入って急速に終息していることが理由の一つです。
スーパーエルニーニョが冬にもたらす影響
スーパーエルニーニョが冬にもたらす影響は暖冬と多雨です。まずは以下の図をご覧ください。
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注目すべきポイントは、東日本や西日本の太平洋側、沖縄・奄美の降水量が多いことです。低気圧の接近が増えることで、急な嵐や雪も多くなると予想されます。
寒気の程度によっては普段雪が少ない太平洋側で大雪となり、交通障害や停電などの被害が発生する可能性もあります。
生活においては、暖冬により暖房器具の使用が控えられるメリットもありますが、農作物に影響を与えることがあるほか、スキーやスノーボードなどの観光産業にも大きな影響を及ぼします。
スーパーエルニーニョはいつまで続く?
気象庁によると、現在発生しているエルニーニョ現象は、今後2024年の春にかけて続く可能性が高いとされており、その後も続く可能性があります。
引用:気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率(予測期間:2023年9月〜2024年3月)」
日本ではエルニーニョ現象が発生すると春の平均気温は高く、西日本や東日本、沖縄・奄美の降水量も多くなる傾向にあります。
冬が終わっても、春の高温での農作物への影響や爆弾低気圧による春の嵐などにも引き続き注意が必要です。
エルニーニョ現象の最新情報は気象庁のホームページに掲載されているため、参考にしてください。
気をつけるべきこと
スーパーエルニーニョで気をつけるべきことは、異常気象が起こりやすいだけでなく、過去の事例に当てはまらないケースもあることです。
例えば、エルニーニョ現象が発生すると、夏は統計的に冷夏となることが多いですが、2023年の夏は、過去の平均気温を大幅に上回って記録を更新する暑さとなりました。
もちろん、エルニーニョ現象が始まって間もなかったことも冷夏にならなかった原因として挙げられるでしょう。しかし、それ以上に、気候変動が急速に進んで、過去の統計や事例を覆すようなことも増えています。
今年の冬は記録的な暖冬になるといわれていますが、過去の記録を塗り替えるような寒波が一時的に入り込み、生活に大きな影響を与える可能性もあります。
「エルニーニョ現象=暖冬」と決めつけるのではなく、日々の天気予報や気象情報をチェックして、いつもと違う気温や天気が予想されているときは十分に注意しましょう。
〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。
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