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偏ると逆に業績に悪影響?失敗しないためのダイバーシティ戦略

パラサポWEB

現在、各企業で積極的にダイバーシティ(多様性)への取り組みが推進されている。しかし、実際に組織のパフォーマンスの向上に貢献するようなダイバーシティ戦略とはどのようなものなのだろうか? 多様性というと一般的には、ジェンダーや障がいの有無、国籍など、表面的なものにフォーカスしがちだが、ダイバーシティを本当の意味で活かすには、多様性についてより深い視点が必要だという。
そこで今回は、最新のダイバーシティ戦略として注目しておきたいダイバーシティの「種類」から取り組みへのステップ、実例などを、組織行動論、経営組織論を専門分野とする明治学院大学 経済学部の林祥平准教授に伺った。

多様性の種類に注目!組織におけるダイバーシティ戦略の目次

1:ダイバーシティの取り組みは、本当に組織にとって有効なのか?
2:ダイバーシティの種類とは。 偏ると逆に業績に悪影響?
3:深層的ダイバーシティはどう取り入れ、活かしていくのか?
4:ダイバーシティに取り組む際のステップとポイント
5:ダイバーシティの成果を上げる、インクルージョンへの取り組みとは

ダイバーシティの取り組みは、本当に組織にとって有効なのか?

明治学院大学 経済学部の林祥平准教授

――現在の日本の企業におけるダイバーシティの推進は、どのような状況ですか?

林 祥平准教授(以下、林):これまでの歴史では、日本企業は日本人かつ男性中心に構成される傾向にありました。しかし、現在は女性もたくさん働いていますし、多様な社会があたりまえになりつつあるので、日本人にこだわる、男性にこだわる、と言うのは逆に非生産的です。多様な社会であれば、多様な人たちを受け入れて、それを戦力にしていく。そこで現在は、各企業で女性活躍の推進や外国人の採用など、積極的に力を入れ始めていますよね。
ただ、企業も社会の変化を受け入れていこうという流れになってはいるものの、欧米の企業と比べると、日本人にはまだ多様性に関する考え方に馴染みがないので、「異物」を取り入れるという発想の方も少なからずいらっしゃるようです。というのも、ダイバーシティの議論は、どうしてもマジョリティ(多数派)とマイノリティ(少数派)という区分けになってしまいがちなのですが、マジョリティの人たちからすると、今まで居心地が良かった空間がそうではなくなると感じてしまう。今、企業のダイバーシティ推進において、こうした、頭では分かっているけれど心の片隅で残ってしまうモヤモヤのようなものを取り除いていくことも課題のひとつではないでしょうか。

――ダイバーシティを推進することで、企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか? 実績や結果などは出ているのでしょうか?

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林:ダイバーシティの取り組みは結果が出るのに5年以上かかると言われています。そもそもダイバーシティな職場を作るのは、1年ではできません。即効性があるわけではなく、じわじわと結果に繋がっていくもので、末長く企業が健全に機能していくために必要です。ただ、令和2年度まで経産省で選定していた「ダイバーシティ推進企業100選」に選ばれていた企業とそうでない企業を対象に調査したところ、「採用に対して満足しているか」「業績に対して満足しているか」といった調査では、選ばれていた企業の方が圧倒的に満足している傾向にありました。肌感覚として、現状に対してうまくやれているという実感はデータとして出ています。

出典:改訂版ダイバーシティ経営診断シートの手引き
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/turutebiki.pdf

またメリットとして、採用市場において、ダイバーシティを推進している企業は優位だといえます。ダイバーシティに力を入れている企業は、「マイノリティ」とされる人にとってポジティブに見えますし、彼ら自身が自分のキャリアを考えた時に、こういった企業の方が望ましく見えるのは当然ですよね。優秀な人材が欲しい企業にとっては応募者が多いほど、選べる人材が増えるので、企業側が望む人材を採用できる確率は高まるでしょう。

ダイバーシティの種類とは。偏ると逆に業績に悪影響?

――ダイバーシティには表層と深層の2種類があると伺いました。どのような違いがあるのでしょうか?

林:まず、表層的ダイバーシティとは、いわゆるジェンダーや障がいの有無、国籍など表面的に分かる多様性です。単純に数えやすいので、ダイバーシティの取り組み度合いを数字として表しやすく、企業としてもアピールしやすい。しかし、単純に表層だけにフォーカスして採用すると、男性 対 女性、日本人 対 外国人 といった対立構造から溝が生まれやすくなり、協力関係が築きにくくなります。長い目で見ても、表層だけに注力するのは業績が下がると海外でも言われているのです。

ではどうしたらいいのか?そこで出てくるのが「深層的ダイバーシティにも力を入れましょう」という話です。深層的ダイバーシティとは、スキルや価値観、パーソナリティといった、外からは認識しづらい多様性です。スキルを分散させたり、様々な価値観を持った人を集めることで、様々なお客様に求められる製品、サービスが展開できるという考え方です。イノベーティブな企業やクリエイティブな企業は、色々な情報や価値観が一つに集約するときに生まれるとも言われています。これはまさに深層的ダイバーシティがうまくいった結果と言えるでしょう。

――では、表層ではなく深層的ダイバーシティに注力した方がいいのでしょうか?

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