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中村倫也『ハヤブサ消防団』謎が謎を呼んでマシマシ、気持ち悪いホラー映画を彷彿させる衝撃展開【ネタバレあり】

SmartFLASH

 第4話は、太郎がほのかな恋心を寄せている、同じく東京からの移住組の映像ディレクター・立木彩(川口春奈)と一夜をともにして結ばれるという、恋愛ドラマのような展開……と思いきや、ラストに彼女のとんでもない秘密が明かされる衝撃回となった。

 

■【ネタバレあり】ヒロイン・川口春奈の正体は…?

 

 さっそくネタバレをするが、第4話ラストで彩がカルト教団の信者だったことが明らかに。

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 彩が入信していたのは「アビゲイル騎士団」という新興宗教。数年前に教祖と幹部3名が信者12名を拷問の末に殺害。その凄惨な事件が明るみになって世間を震撼させ、教祖と幹部は動機がうやむやなまま死刑が確定していた。

 

 教祖を失い、教団は解散することになったが、一部の元信者は今でも教義を信じているという噂がある。当時、彩は教団の広報としてPRビデオを制作するなど熱心な信者だったようだ。

 

 第4話冒頭、彩の夢の中のシーンで、教団の儀式のようなことをしているシーンが描かれていた。陽光が降り注ぐ真っ昼間の野原にイスを丸く並べて、真っ白な服を着た子どもたちと彩がたわむれているシーン。彩がカルト教団の信者だったという事実を知ってから観ると、嫌な汗をかくような場面である。

 

 筆者はホラー映画もけっこう好きなのだが、『ミッドサマー』(2019年)というサイコホラーの洋画は好きな作品のひとつ。

 

 ストーリーは、アメリカの大学生グループがスウェーデンの田舎のとある村を訪れるところから始まる。白夜でずっと日が沈まない時期に催される夏至祭に招かれたのだが、村の住人たちはカルト宗教の信者だった――という展開で、大学生たちが徐々に追い込まれていく。

 

 彩の夢のシーンは『ミッドサマー』を彷彿させる気持ち悪さがあり、『ハヤブサ消防団』全体の不気味さを一気に加速させた。賛否が分かれるかもしれないが、個人的にはこのようなホラーテイストは大好物なので、物語にさらに没入させてもらった。

 

■地上波ドラマの限界ギリギリの凄惨描写に期待したい

 

『ハヤブサ消防団』は、ここまでなかなかのストロングスタイルでストーリーを展開させている。

 

 村民の住宅が狙われる連続放火事件から始まり、その犯人と疑われていた男が不審な水死、そして何十年も前に自殺した女が幽霊となって現れるという噂や、その娘と思われる謎の美女の写真、そして、今回の彩がカルト教団信者だったという話。

 

 謎がどんどん積み重なってきているのだ。

 

 一方、太郎は水死した男の悪い噂を流していた人物を特定したり、放火された家の共通点に気づいたりして、“探偵役” として少しずつ謎を解き明かしているのだが、ミステリー作品としてのスッキリ感はまだほとんどない。

 

 第4話終了時点で、この作品の全貌から考えると、太郎が解いた謎はまだ微々たるところだろう。謎が明かされていくペースとしてはスローリーなのに、回を追うごとに別の謎が提示されていくので、どんどん謎が膨れ上がっている。視聴者を全然スッキリさせないまま、物語を進めていくという強気なスタンスを貫いているのだ。

 

 ただ、謎が謎を呼ぶ展開なので、視聴者としてカタルシスを得られていないが、それゆえに期待値がどんどん高まっているとも言える。謎の数々が、ひとつの大きな事件として収束し、全部の伏線をきれいに回収してくれるという期待だ。

 

 また、地上波ドラマではどこまでできるかわからないが、「アビゲイル騎士団」の信者12人拷問殺害については、動機などの真相を解き明かすだけでなく、そのショッキングな事件の様子を限界ギリギリのところまで凄惨に描写してもらいたい。

 

 ――今夜放送の第5話では、疑心暗鬼な状態で太郎がどのように彩に接していくのかが見どころとなるだろう。すべての謎が解明されるのはまだ先になりそうだが、そのときを楽しみに待ちつつ視聴していきたい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』にて恋愛コラムを連載中。ほかに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

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