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北陸vs英明

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初出場の北陸が8回に逆転で、四国代表の英明を下す

逆転のスクイズを決めた6番・小矢 宙歌

<第53回明治神宮野球大会:北陸4-3英明>◇20日◇高校の部・2回戦◇神宮

 この秋の北信越大会を制した北陸(福井)だが、福井県大会は準決勝で福井商にコールド負けしている。そこから立て直して3位決定戦で啓新を下して3位校として進出した北信越大会で、新湊(富山)にコールド勝ちして勢いづいた。2回戦では優勝候補の呼び声高かった日本航空石川(石川)に快勝し、準決勝では福井商(福井)に雪辱を果たす。そして、決勝でも同県1位の敦賀気比(福井)に延長13回、競り勝っての優勝となった。そんな粘りを身上とする北陸。古い野球ファンには、かつての阪急ブレーブスを思わせるようなユニホームもインパクトが強い。

 英明(四国・香川)は、香川県大会では安定した戦いで優勝し、四国地区大会でも宇和島東(愛媛)、高知(高知)を下し決勝でも同県の高松商(香川)を5対4で下して8年ぶりの明治神宮大会出場を果たしている。そして、初戦では関東地区1位の山梨学院(関東・山梨)に前半4点リードされながらも、6回に一挙6点を奪って逆転して、その後は、やや乱戦気味になったが、何とか逃げ切って力のあるところを示している。

 そんな両校の対戦は、初戦の逆転勝ちの勢いがある英明が初回、先頭の鈴木 昊内野手(1年)の中前安打と四球、バントで1死二、三塁として4番・寿賀 弘都外野手(2年)が右前安打して先制。さらに、1死一、三塁で、遊ゴロの間に三塁走者がかえって、英明は2点を先取した。さらに、2回にも英明は失策の走者を二塁に置いて1番・鈴木が左翼フェンスへ届く二塁打を放ち3点目。ここまでは、完全に英明のペースでもあった。しかし、この後を三振に取ってから、北陸の先発・友廣 陸投手(2年)は、本来の自分の投球を取り戻した。平田 海智捕手(2年)が配球の構成を変え、それが上手くハマったというところもあろうか。

 3点リードされた北陸だったが、ベンチでは「まだ序盤だから、1点ずつ返していけば大丈夫だ」という声も出ていたという。そして2回には、4番・友廣が内野安打で出ると、5番・児玉 知駿内野手(2年)も中前安打で続き、バントで進めて2死二、三塁となった後、失策で1点を返した。これで、北陸としてはある程度「行けるぞ」というという気持ちになったというところもあったであろう。

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 3回にも北陸は1番からの好打順で水野 伸星外野手(1年)が中越え三塁打。1死後、平田が中犠飛を放って1点差とする。こうなってくると、次のアクションというか、どちらにどういう形で点が入るのか、あるいはそのまま行ってしまうのかというところも含めて、注目されるところとなった。ここからは英明のスリークォーター気味の下村 健太郎投手(2年)と北陸の長身の友廣の投げ合いとなっていった。こうして7回までは、やや膠着状態にもなっていったが、8回に試合が動いた。

 1番からの好打順の英明は、2死から百々 愛輝外野手(1年)が二塁打を放ったが、得点にはならず。その裏の北陸は代打の背番号10の笹井 多輝主将(2年)がその気迫が伝わったか、失策で出塁。平田が左前打でつなぐと、友廣は送りバントを試みたが、これが三塁線いいところに転がりバント安打。さらに、悪送球もあって二塁走者は一気に生還して同点。さらに1死一、三塁となった場面で、6番・小矢 宙歌外野手(1年)はカウント2ボール1ストライクからややウエストされた球に巧みに合わせて転がし、三塁走者がかえってスクイズを成功させた。

 9回の英明は先頭打者が内野安打で出たが、その後は友廣が踏ん張って、結果としては、8回のスクイズが決勝点となった。

 序盤の勢いをキープしきれなかった英明。香川純平監督は、「リードしたことで、大事にいかなくてはいけないという意識が出てしまって、それが却ってプレーを委縮させてしまってミスが出たのが痛かった。まだまだ力を付けていかなくてはいけないということです」と、失策絡みで失点してしまったことを悔やんだ。それでも、下村は「自分の120キロ台のストレートでも打者が詰まってタイミングがズレていることもあるということは、自信になった」と、この大会での収穫も挙げていた。

 見事な逆転勝ちを果たした北陸の林孝臣監督は、「北信越大会から、この秋は選手たちが実力以上のことをしてくれています。北信越にはない雰囲気の中で戦ったのだけれども、勝たなくては意味がないと思っていました。8回のスクイズは、全国大会だし、ここで決めたら大きいと思ったけど、よく決めてくれた」と、選手たちがそれぞれのやってきたことを実践したことを評価していた。

(取材=手束 仁)

 
   

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