お昼休みに忽然と姿を消す女性教師(C)梵辛/KADOKAWA

【マンガ】お昼休みに「消える」教師 目的地を知った生徒たちの気遣いに「ほっこり」「素敵な関係」 本編を読む

先生をこっそり追跡してみると?

 仲良し4人組の女子高生は、教師であるヤナギ先生がお昼休みにどこを探してもいないことを不思議に思っていました。校内のどこかに潜んでいると予想した彼女たちは、こっそりヤナギ先生を追跡します。すると、ヤナギ先生は学校の外へと向かい……。

 梵辛さん(@sokusekimaou)の手掛けるマンガ『くちべた食堂』(全3巻)で描かれたエピソードが『行きつけの店が学校で噂になってしまう漫画』としてX(旧:Twitter)上で公開されました。

 同作はSNS上で総いいね数100万を超えるヒット作として書籍化も達成しており、読者からは「好きな先生だとなんでも気になっちゃうんですよね」「お昼抜け出すのはさすがに気になる」「ヒミツを打ち明ける瞬間の先生がかわいい!」などの声があがりました。各キャラクターのファンがすでにいるようで、同投稿もいいね数が1.5万件を超えています。

 作者の梵辛さんにお話を聞きました。

ーー『行きつけの店が学校で噂になってしまう漫画』を描いたきっかけを教えてください。

 本作品は連載マンガ『くちべた食堂』の49話目になります。この作品は「職場の昼休みに学校を抜け出していつもの店でランチをする先生」をメインの舞台にしてずっと描いているので、「抜け出された学校側に残された生徒たちがそのことをどう思っているのか」ということを描くことで、作中舞台を広げつつ主人公の身の回りの人間関係も掘り下げていこうとしました。

ーー詮索したい気持ちに気遣いがプラスされ、優しい気持ちになりました。本作品を描く上で工夫した点はおありでしょうか?

 通常、ストーリーの作り方というのはひたすら「キャラクターに行動をさせて、アクションをぶつけあって、その結果何かが残る」というように作っていくものだと思うので、「何も行動しない」ということをお話の結論にするのは描いても大丈夫なものなのか不安がありました。

 これを読者さんに受け入れてもらえたのは、ここまでのお話で「主人公の居場所を誰にも邪魔してほしくない」という気持ちを共有してもらうことができていたからだと思います。



高校教師が5年間素通りしてきた食堂に入り浸りになった理由とは?『くちべた食堂』(全3巻)(C)梵辛/KADOKAWA

ーーたくさんのコメントが寄せられております。特にうれしかった読者の声などがありましたら教えてください。

 本作品の伝えたいテーマを理解して読んでもらえたコメントがたくさんあり、すごくうれしかったです。「キャラクターが行動しなかったのが良かった」と言ってもらえるマンガの例というのは結構珍しいかもと思います。

 読んでくれている人たちも日頃、周りとの距離感を大事にしているのだろうなという気持ちになりました。

ーー現在『くちべた食堂』第4巻を製作中とのことですが、今年発売された3巻までの見どころなどをぜひ教えてください!

 この作品は定食屋での主人公ふたりが「思ったことをお互いにうまく話せない」ということだけを描くところから第1話が始まりました。これは状況のおかしさを描くことだけがテーマだったので、この時点ではどんなキャラクターでも同じ話が成立したと思います。

 ですが、お話を続けていくうちに主人公にもそれぞれの生活や人間関係があって、それぞれの人生があるということが少しずつ描かれていきます。これらの設定が徐々に掘り下げられて世界が少しずつ広がっていく感じを一緒に楽しんでもらえたらうれしいなと思っております。

ーー最後に作品をいつも楽しみにしているファンへ、ひと言お願いします。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。このマンガは現在、季節が徐々に進んで「残暑編」を公開スタートしたところですが、まずはこのまま連載を続けて「春編」を完結させるところまでを目標にしています。

 読み続けて良かったなと言ってもらえる作品にできたらと思っておりますので、ぜひ今後ともお付き合いいただけましたらうれしいです。