『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』DVD(バップ)

【画像】一番自由にやりやすい? パッケージの時点で万人向けじゃないのが分かる「グロ描写」満載のOVA作品(5枚)

アニメだからこそ「ゴア描写」を本気でやられると怖い!

 大人向けのアニメが当たり前になった昨今、過激な描写などを理由に、レイティングが指定されるアニメ映画も珍しくなくなりました。今回ご紹介するのは、そんな「R15+」に区分されたアニメ映画の数々です。どうしても人を選ぶ作品にはなってしまいますが、逃げずに衝撃描写を描き切った名作が数多く存在します。

 たとえば夭折の作家・伊藤計劃先生の小説を原作とした映画『虐殺器官』は、さすが「R15+」指定とあって、戦闘や虐殺シーンに遠慮のない作品でした。同作はアメリカの特殊部隊に所属するクラヴィス・シェパード大尉が、各地で虐殺の種をばらまく謎のアメリカ人、ジョン・ポールを追い求めていく物語です。

 ミリタリーの要素をふんだんに盛り込んだ近未来SFで、特殊部隊の戦闘員である主人公たちは、みな感情を戦闘向けに調整されているという設定があります。戦場のストレスなどから過保護なまでに守られた彼らと、人間が進化の過程で場当たり的に獲得してしまった「虐殺の器官」の対比が物語のメインとなっており、少し難解ながらも考えさせられるテーマが見どころのひとつです。

 ちなみに同作は伊藤計劃先生の原作小説を映画化する「Project Itoh」で作られたひとつなのですが、全3作品あるなかで『虐殺器官』だけが「R15+」に区分されました。

 確かに同作は取り扱っているテーマがテーマなだけに、人が撃たれるシーンなどが容赦なく描かれているものの、「人を殺す」という行為にリアリティを感じられない主人公たちの異常性を浮かび上がらせるためには、効果的な演出だったといえるでしょう。むしろ血しぶきが飛び散る残虐シーンよりも、そのあとの人を殺してもなんとも思わない兵士たちの描写のほうが、「グロテスク」に感じるかもしれません。

 その他、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』はTVシリーズの時点でだいぶ人体破壊描写がありましたが、2015年に公開された『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』でとうとう「R15+」に指定されました。

 人が罪を犯すリスクを「犯罪係数」という形で数値化し、管理する組織を描いた同シリーズですが、本編に出てくる残虐シーンの大半は、主人公たちが持つ特殊拳銃「ドミネーター」のせいといっても過言ではないでしょう。ただ劇場版ではいわゆる発展途上国が主な舞台となり、実銃や刃物による生々しい死体描写が増えたため、さらにレイティングが上がったのかもしれません。

 ちなみに2023年5月に公開された最新作『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』も「R15+」に指定されています。「映画倫理機構(映倫)」の公式サイトには「銃器による刺激の強い殺傷描写がみられ、標記区分に指定します」と記載されており、ここまでくるとむしろTVシリーズを地上波で放送できたことのほうが不思議に思えてしまいますね。

 ショッキングという意味でいうと、2013年2月に公開された『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』も負けていません。同作は三浦建太郎先生のダークファンタジーマンガ『ベルセルク』のなかでも、特に人気の高い「黄金時代篇」を映画化した3部作の最終章です。

 原作でも多くの読者に衝撃を与えた「蝕」のエピソードを忠実に映像化した結果、「R18+」というアニメ映画史を遡ってみてもなかなか見ないようなレイティングになりました。血しぶきだけでなく、誰もがトラウマになりそうなヒロイン・キャスカにまつわる一連の場面もしっかり描かれており、画面の明るさなどを調整して精一杯マイルドにしても「R15+」で、無修正オリジナルとなる「R18+」版は一部の劇場でレイトショーとして公開されています。

 そのほかアニメ映画のなかには、「よくこれでR15+指定されなかったな……」といった印象を受ける作品も見受けられます。たとえば、2016年には原作も残虐描写だらけの『GANTZ』の「大阪編」を、CGアニメとして映像化した『GANTZ:O』が公開されましたが、こちらは「PG12」というレイティングでした。

 ゴア描写の多い映画はあまり万人には勧められませんが、もし耐性があるのなら見て損はない名作ばかりです。そして何より、ターゲットを狭めてでも良い映画にしたいという気概が感じられます。