『北斗の拳』の登場キャラの中でも高い人気を誇る南斗五車星のひとり、雲のジュウザ『北斗の拳 究極版 8巻』(コアミックス)

【画像】スピンオフでは南斗五車星のいろんな表情が拝める!(4枚)

南斗最後の将を命がけで守護する五星の戦士

 1983年に「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートした『北斗の拳』は、北斗神拳の伝承者であるケンシロウが、暴力の支配する荒廃した世界を戦い抜き、救世主として成長していく物語です。

 そして同作には、海・山・雲・炎・風を掲げた五星の戦士「南斗五車星」が登場。ヒロインであり、南斗六聖拳最後の将でもあるユリアを守護する役目を果たすべく、命を懸けてラオウに挑みました。

 南斗五車星の戦いぶりは多くの読者の心を打ち、現在も高い人気を博しています。今回は、そんな南斗五車星たちが見せた、壮絶な生き様についてご紹介します。

 物語の序盤、ユリアはケンシロウのライバルである南斗聖拳のシンに強奪されますが、ラオウの脅威を知ったシンは南斗五車星にユリアを託します。

 そして物語が進み、ユリアが南斗六聖拳の最後の将として動き出すと、ラオウ率いる「拳王軍」と激突。南斗五車星の戦士たちは、それぞれの役目を果たすため、命がけでラオウに立ち向かいます。五車星とラオウの死闘を巡って、多くのドラマが生まれました。

 風のヒューイは、自らが率いる「風の旅団」を率いて拳王軍に立ち向かいます。バイクに乗った一団は拳王軍を翻弄し、ヒューイ自らも拳王軍の将を討ち取ります。こうして拳王軍の本体をおびき出したヒューイは、ラオウに向かって飛び掛かりますが、カウンターの一撃で全身を粉砕されて絶命。そんなヒューイに対して、「瞬殺されて悲しい」「かませ犬キャラ」といった声も上がっていました。

 実はヒューイの役割は、あくまでもラオウの力を見極めることでした。原作の武論尊先生は、『北斗の拳』公式サイトのインタビューの中で「あっという間に死んでいくじゃん。あれも彼の美学だね」と語っており、自らの命をもってラオウの強さを仲間に伝えた姿勢こそ、ヒューイの美学だと明かしています。

 ふたり目は、炎のシュレン。シュレンはヒューイの兄星にあたり「五車炎情拳」の使い手です。ラオウの本隊に立ちはだかり、火矢などの攻撃で足止めに成功します。

 そしてシュレン本人は弟星であるヒューイの仇を討つべく、ラオウに立ち向かいますが、やはりラオウには遠く及びません。最終的には、相打ち覚悟で全身に火を纏って襲いかかりますが、その思いが果たされることはありませんでした。

 一部ファンからは「無駄死に」との声もありましたが、命を捨てる覚悟でラオウを道連れにしようとした戦いぶりは、ラオウも「まさに炎の男よ…」と賞したほどです。

 3人目は、山の「フドウ」です。ケンシロウと出会った頃のフドウは臆病者を装っていましたが、かつては「鬼のフドウ」と呼ばれたほどの荒くれものでした。ラオウですら、若かりしフドウの暴虐ぶりには恐怖を感じていたほどです。

 その後、改心したフドウは、自身の村が拳王軍の襲撃にあった際に鬼神のごとき強さを発揮し、激闘を繰り広げます。

 フドウの執念はラオウをも退かせ、あわや勝利するかと思われた瞬間、ラオウの部下がラオウの命令を破って放った矢により命を落としました。

 命は失いましたが、フドウの堂々たる戦いぶりはラオウですら感服するほどで、ファンからも「守る物があるから戦う姿はまさしく鬼」との声が上がっていました。



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五車星一人気の戦士と唯一生き残る戦士

 4人目の戦士は、雲のジュウザです。ジュウザは五車星のなかで最も人気が高く、『北斗の拳』35周年を記念して開催された人気投票「北斗の拳 総選挙」ではケンシロウを上回る第5位にランクインしています。

 ジュウザの実力は、あのラオウすら翻弄するほどの天才。自由気ままに生きることを信条にしていましたが、南斗六聖最後の将が母違いの妹であるユリアだと知り、命を懸けて五車星としての役割を全うします

 二度にわたってラオウと対峙したジュウザですが、とうとうその牙城を崩すことはできず。ジュウザから南斗六聖最後の将の正体を聞き出そうと、ラオウが秘孔を突きますが、ジュウザは最後まで口を割ることはありませんでした。

 そんなジュウザの姿に、ファンからは「憧れる」「やるときはやる男」といった称賛の声が相次いでいました。

 5人目の戦士は、海のリハクです。リハクはこれまでの4人とは異なり、軍師として頭を使って立ち向かうリーダー的な存在のため、武力を直接行使する場面はほとんど描かれていません。

 ラオウがユリアの居城に辿り着いた際には、無数の罠でラオウを迎え撃ちます。時間を稼いで、その隙にケンシロウとユリアを逃がそうとしますが、その策は失敗。ケンシロウの力量を適切に見極められず、リハクの仕掛けた部屋を崩壊させる罠が発動したことで結果的にユリアは拉致されてしまい、ケンシロウは目を負傷してしまいます。

 そんなリハクのミスもあり、一部では「節穴」といった手厳しい意見もありましたが、当のラオウは「世が世なら万の軍勢を縦横に操る天才軍師よ」とリハクを評しています。

 最後まで生き残ったリハクを除く南斗五車星の面々は、世紀末覇者・ラオウを相手に勝機の薄い絶望的な戦いを挑みました。彼らはユリアを守るという一心で行動しており、その献身的な姿は多くの読者を感動させました。

 原哲夫先生は「ヒューイもシュレンも、メインキャラクターのつもりで本気で考え、描きました」と語っており、南斗五車星に対するその熱がキャラクターに息づき、今なおファンの心を掴んでいるのかもしれません。