『まんが日本昔ばなし』の傑作怪談回を振り返る特集の「時空旅人 2021年9月号」(三栄)

【画像】絵だけでトラウマ!『三枚のお札』と『耳なし芳一』の場面を見る(3枚)

怖いのはストーリーだけじゃない?

 1975年から1994年にかけて放送されたTVアニメ『まんが日本昔ばなし』は、穏やかなナレーションと絵柄でほのぼのとしたイメージもありますが、「トラウマ級の怪談回」がいくつか存在しており、ネット上で今も話題になっています。そこで今回は、ネットで印象に残ったという人が多い、『まんが日本昔ばなし』の怪談回を紹介します。

『まんが日本昔ばなし』を見ていない人でも知っている有名な怪談が、主人公のびわ法師が平家の亡霊に耳をもぎ取られてしまうという内容の『耳なし芳一』です。ネット上では「耳をちぎられるって地味にエグい」「実在した平家の亡霊というのがリアルで怖さが増す」「見た後にトイレに行くのも怖くなった」と、当時の子供たちにトラウマを植え付けました。

 また、こちらも有名な「『三枚のお札』の山姥が未だに怖い」との声もあります。「追いかけてくるシーンが想像できて震える」「和尚さんが最後に山姥を餅に絡めて食べるのも怖い」と、いった声が上がっています。多くの人に強烈な印象を残しました。

 もともと有名なお話ではなく、さらに「タイトルでどんな話か分からず見て後悔した」という「ガチすぎる怪談」も話題です。柳の木を切り倒して若者たちに惨劇が起きる『十六人谷』や、山で起きた不思議な現象をきっかけに尼僧たちの間で恐ろしい争いが起きる『飯降山』、人を化かす狐を懲らしめようとした疑り深い若者が取り返しのつかない事態を起こす『三本枝のかみそり狐』など、「もう二度と見たくない」「怪奇現象だけじゃなく人間が怖くなる」と言われている回も多数ありました。

 他にも「子供の頃に見てトラウマになった」作品として挙げられているのが、漁に出た主人公たちのもとに大勢の幽霊が押し寄せる『船幽霊』です。幽霊の発する「柄杓をくれ~」というセリフが印象的で、「これは大人になっても怖い」との声がありました。また、『佐吉舟』にも「柄杓をくれ~」と迫る幽霊が出てきており、「青白い幽霊の姿が怖すぎて怯えながら見た」「海に行けなくなった」という声が上がっています。

 その他、主人公の前にのっぺらぼうの女が現れる『おいてけ堀』は、逃げる先に次々とのっぺらぼうが現れるという有名なトラウマ回です。その上「女の正体が最後までわからないのがゾッとした」という感想があるように、見終わった後もじわじわと恐怖を感じる内容でした。

 まだまだ怖いお話は多く、『牛鬼淵』『幽霊街道』『袖切り化け物』『万吉や首はずせ』など、タイトルだけでも不気味な回が「トラウマ」として語り継がれています。物語だけでなく、作画や演出、語りを担当していた市原悦子さん、常田富士男さんの声の演技など、いろんな要素で「本気で怖がらせにきていた」と多くの人の記憶に残っているようです。