十二宮での戦いのクライマックスを収録している、アニメ「聖闘士星矢 DVD-BOX II」(バンダイビジュアル)

【画像】ほとばしる光速拳! 『聖闘士星矢』獅子座のアイオリア(5枚)

最強の黄金聖闘士が忠誠を誓ったのに……

 1986年に連載開始し、2022年の現在までに5000万部を超える大ヒットを記録した少年マンガ『聖闘士星矢』は、ギリシャ神話を題材とした壮大な世界観や、星座をモチーフとした鎧「聖衣(クロス)」、人間の内に眠る小宇宙(コスモ)で奇蹟を起こす戦闘描写などが人気を集めています。

 同作の世界観では、邪悪と戦うために、女神「アテナ」が数百年ごとに人間の姿で転生します。現代に赤子として転生したアテナは、聖域を支配する偽の教皇に命を狙われます。アテナはグラード財団総帥・城戸光政に保護され、成長した赤子は光政の孫娘「城戸沙織」となりました。

 聖域と聖闘士を支配している、偽の教皇サガは、沙織の抹殺を試みます。聖闘士でも最強の黄金聖闘士(ゴールドセイント)である獅子座のアイオリアに、勅命を与えたのです。その内容は、アイオリアの兄である、射手座の黄金聖闘士アイオロスによって持ち出された黄金聖衣の奪還。そして、聖闘士の掟で禁じられている「私闘」を行った星矢たちの抹殺です。

 アイオリアは「逆賊」として殺された兄・アイオロスの弟で、長年疑惑をかけられていましたが、「仁・智・勇を備えた聖闘士の鑑(かがみ)」と呼ばれる人物であり、星矢たち青銅聖闘士(ブロンズセイント)の抹殺は自分ひとりで十分として、単独で日本を訪れます(ちなみにサガは蠍座の黄金聖闘士・ミロも同じ任務に就かせようとしていましたから、星矢たちを軽んじてはいません)。

 アイオリアは黄金聖闘士でも屈指の実力者で、星矢を圧倒します。しかし星矢に黄金聖衣が装着され、そこに亡きアイオロスの意志を感じたことで、教皇に疑念を抱くことになります。アイオリアは城戸沙織に忠誠を誓い、星矢を自らの拳より庇って負傷した蛇遣い星座(オピュクス)の女性白銀聖闘士シャイナを保護し、聖域に帰ります。

 ここで沙織はアイオリアに「死んではなりませんよ」と声をかけますが、引き留めてはいません。もし、沙織が「その方(シャイナ)はグラード財団の医療技術で治療します。アテナとして命じます。単独で聖域に行ってはなりません。聖域にはわたしや星矢たちと行くのです」とアイオリアに命じたら、どうなっていたでしょうか。

 アイオリアは「アテナに対する忠誠心が強い」ことで知られる実直な人物ですから、沙織が命令すれば、従ったのではないでしょうか。



射手座の黄金聖衣は、アイオリアの覚醒に深く関わっている。画像は「聖闘士星矢 SONG SELECTION」(日本コロムビア)

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「アイオリア対シュラ」の戦いが起こり得る?

 この場合、アイオリアは星矢たちに「究極の小宇宙はセブンセンシズ」であることを伝え、シャイナの回復を待って沙織たちと聖域に向かおうとするでしょう。

 サガは刺客を送りたいでしょうが、アイオリアですら寝返った以上「沙織の小宇宙がアテナ」と感じれば、他の黄金聖闘士も寝返るかもしれず「自分が偽の教皇だと知っていて、なお仕えている」デスマスク、シュラ、アフロディーテ以外には頼れないでしょう。

 この場合、デスマスクと紫龍、アフロディーテと瞬が戦い、アイオリアは兄を殺したシュラと戦うと考えられます。

 デスマスク、アフロディーテ戦は劇中と大差ないと思われますが、十二宮編のように先を急ぐわけではないので、星矢たちが介入するでしょう。特に星矢は、黄金聖闘士3人が刺客となった場合、射手座の黄金聖衣を装着する可能性があります。ですから紫龍、瞬ともに重傷となるでしょうが、致命傷は負わないと考えられます。

 アイオリア対シュラは激戦でしょう。しかし、アイオリアは黄金聖闘士で最強クラスのシャカに千日戦争に持ち込んでいますから、シュラに勝る実力があると考えられます。

 黄金聖闘士3人を撃退し、沙織、アイオリア、星矢、氷河、シャイナで聖域に向かった場合、矢座のトレミーはアイオリアに瞬殺され、何もできないでしょう。

 そしてムウは聖衣を修復した上で、沙織に忠誠を誓うと思われます。そしてアイオリアとムウが金牛宮に現れた場合、アルデバランはアイオリアの話に耳を傾けるでしょう。

 沙織の小宇宙をアテナだと思うでしょうから、アルデバランも戦わずに同行すると考えられます。サガは双児宮で幻影を見せますが、ムウがいるので異次元に引き込めず、突破されるでしょう。

 巨蟹宮、獅子宮では何も起こらず、処女宮ではシャカが立ちはだかります。この時点のシャカは「教皇は悪ではない」と考えてはいるでしょうが、自身と同じエイトセンシズに到達している沙織を軽んじることもできないでしょう。

 沙織に「わたしと教皇のどちらが偽物なのか、見届けてはいただけないでしょうか」と言われたら、戦闘は起こらないように思えます。

 それ以降の宮で、カミュ、ミロはアイオリアたちが沙織を守っているなら「教皇との対話を見守る」ことに同意するでしょうし、魔鈴が双魚宮で「スターヒルで教皇の死体を発見した」と沙織に報告した時点で、サガの正体は発覚します。

 サガはそれでも沙織を討とうとするでしょうが、アイオリアたち黄金聖闘士が防ぎ、沙織はアテナの盾でサガの邪悪を吹き飛ばすと思われます。

 そこでサガが自害しようとした場合、アイオリアが「安易な死に逃げるより、黄金聖闘士としてアテナのために戦うのが償いだ」と兄の恨みを越えて説いたなら、従ったかもしれません。そして、ポセイドン編でカノンと戦ったのではないでしょうか。