高速代が「安くなる」のに「ETC 2.0」なぜ普及しない? 「普通のETC」よりメリットあっても“恩恵”感じない人が多いワケ

高速道路を利用するドライバーの9割以上が「ETC」を利用していますが、次世代サービスの「ETC 2.0」はその3割程度に留まっています。高速道路の利用料金が安くなるなどのメリットがあるのですが、ETC 2.0に恩恵を感じないといった声が聞かれます。いったいなぜなのでしょうか。

「ETC 2.0」って何?「普通のETC」から変更しない理由

 高速道路の料金所をスムーズに通過できるシステムとして「ETC」が広く普及しており、高速道路を通行する人の9割以上が利用しています。
 
 そしてそんなETCの次世代バージョンとして「ETC 2.0」も運用されています。

 従来のETCは、高速道路を利用する際の手軽さが魅力です。一方、ETC 2.0はETCの機能に加えて、車両と道路の双方向通信による多彩な運転支援が可能となりました。

 ETC 2.0ではクルマの位置情報や経路情報を収集し、急ブレーキを踏んだ箇所や走行速度などの情報から危険な箇所を抽出。効率的な交通安全対策を可能としています。

 収集したデータは「車両運行管理支援サービス」として企業向けに情報提供されています。

 特に物流業界は、運送車両にETC 2.0を導入することでこの支援を活用。道路状況の把握や車両の到着予定時間の算出に利用し、業務効率化や生産性の向上を実現しています。

 また、災害時には被災地エリアの走行実績から通行可能な道路を割り出すことでき、避難経路の選定や救援活動に活用するなど、災害対策にも役立てています。

 このように従来のETCから発展させたETC 2.0ですが、運用開始してから現在までの導入率は約34%と、決して普及しているとはいえない状況です。

 国土交通省が発表している「ETC利用状況」では、2023年12月時点でETC普及台数が812万台なのに対し、ETC 2.0の利用台数は281万台でした。

 ETC 2.0が普及しない大きな理由のひとつとして、一般的なドライバーが恩恵を感じる場面が少ないことが挙げられます。

 というのも、日常的に運転している物流業界や運送業界の人は、運行中に道路情報を把握できるETC 2.0の機能にメリットを感じているのに対し、サンデードライバーのように、たまのレジャーでしか高速道路を利用しない人では「普通のETCで十分」と考えられているからです。

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新バージョン「ETC 2.0」のメリット・デメリットとは?

 では、物流や運送に関連のないドライバーにとって、ETC 2.0はどのようなメリットがあるのでしょうか。

 まず、圏央道や東海環状道の特定区間では、普通のETCよりも割引率が高くなります。区間によっては約2割引きとなり、利用頻度が高い人には大きなメリットです。

 また、高速道路の走行時には車間距離に気を配る人もいるでしょう。

 ETC 2.0なら位置情報による運転支援で、合流地点や急カーブを事前に把握できます。事故多発エリアも通知してくれるため、通常より長めに車間距離を保つといった判断もしやすく安全運転をサポートしてくれます。

 さらには、リアルタイムで交通情報を把握できます。連動するカーナビを設置していれば、渋滞情報をもとに迂回ルートを検討するといった判断も容易です。

 ほかにも、休憩時には高速道路を一度降りることもできます。サービスエリアやパーキングエリアが不足している区間では、インターチェンジから2km以内にある道の駅を休憩施設として利用することが可能で、降りてから2時間以内に同インターチェンジから再進入すれば、降りずに走行した場合と同料金で算出されます。

 高速道路の追加料金を発生させずに道の駅を利用できるため、休憩がてら地域の特産品を楽しみたい方に最適です。

 このように一般のドライバーにもメリットがあるETC 2.0ですが、恩恵を感じない人が多い理由としていくつかのデメリットがあるのも事実です。

 すでにETCを搭載しているクルマを使用している人がETC 2.0へバージョンアップさせるには、機器の買い替えが必要です。また、新車購入時のオプションとして導入する場合でも、普通のETCより高価に設定されています。

 費用相場としては、普通のETCが1万円~1万5000円に対し、ETC 2.0は2万円~5万円です。またカーショップやディーラーなど購入先によっては、取付工賃が別途発生する場合もあります。

 導入費用を高速料金の割引分で賄えるとも考えられますが、割引が受けられるのは圏央道と東海環状道の特定区間のみと限定的です。

 今は、スマートフォンで道路情報にアクセスできる時代ですし、レジャーや観光時なら同乗者に情報収集を担当してもらうなど、ETC 2.0を利用せずとも快適なドライブが実現できるかもしれません。

 とはいえ、渋滞しやすいエリアを走行したり高速を降りて道の駅で休憩したりする頻度の高い人は、ETC 2.0の導入を検討する価値があるといえるでしょう。

※ ※ ※

 ETC 2.0は、2023年12月時点で導入率が約34%と普及率が低い状態です。

 ただ、ETC 2.0は圏央道や東海環状道の特定区間の割引が受けられます。また追加料金なしでサービスエリア近隣の道の駅が利用できるなど、一般ドライバーにもメリットがあります。

 レジャーや観光でも恩恵が受けられるので、導入を検討してはいかがでしょうか。