超特異ルックスな「NASAの激レア機」どんなもの? パイロットも超過酷!? 機齢も超エグい!!

NASAでは、 その特異なルックスもさることながら、世界でも3機しか運用されていないレア機「WB-57」を保有しています。この機体はどのようなものなのでしょうか。

胴体と翼のバランスが……、変じゃね?

 2024年4月8日、北米大陸の南部から北東部におよぶ範囲で皆既日食が観測される見込みです。この現象を観測するため、NASA(アメリカ航空宇宙局)が投入を予定している飛行機が、高高度観測機「WB-57」です。この機はその特異なルックスもさることながら、世界でも3機しか運用されていないレア機です。どのようなものなのでしょうか。

 NASAでは、北米大陸では久しぶりとなった2017年の日食から、ジョンソン・スペース・センターに所属するWB-57を使用して、大気圏の影響が僅少となる高高度からの太陽観測を行っています。この機の一番の特徴は、胴体サイズにまるで比例しないような、非常に大きな主翼をもっている点でしょう。

 とはいえ、気象観測のためだけに造られたNASAの専用機というわけでもありません。原型はなんとイギリス生まれの「キャンベラ」爆撃機です。

 この機体は性能的に優れていたためアメリカ空軍もB-57の型式名を付与して採用、その際に自国の航空機メーカーであったマーティン社でライセンス生産します。それを基に気象観測用に改修を施したのがWB-57で、高高度性能を改善すべく大型の主翼と強力なエンジンに換装したため、原型とは似ても似つかない外観に生まれ変わっています。

 運航上でもっとも大きな特徴は飛行高度。その数値は、1万8300m(約6万フィート)にも達します。

 ちなみに、この高度ではコクピットの与圧システム(機内の気圧を地上と近いレベルまで高める機構)が故障した場合、パイロットの体内で血液が沸騰して即死してしまうという恐ろしい事態に直結するそうです。

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特殊すぎる「WB-57」実は日本で披露されたことも

 その対策として、パイロットは宇宙服のように与圧機能を備えた特殊なフライトスーツを着用し、飛行前から純酸素を吸入することで血液に溶け込んだ窒素を排出して減圧事故に備えています。これはWB-57のほかにも、高高度から他国上空を偵察するのが主任務のSR-71やU-2といった戦略偵察機でも、同様な手順を踏むと言われています。

 NASAでは、このWB-57を1970年代初頭より運用していますが、いまや「キャンベラ」シリーズの中では、最後の現役機となっています。ちなみに、そのうちの1機は2022年、青森県の三沢基地で開催された航空祭で地上展示され、大きな注目を集めました。

 観測に使用されるWB-57には、広い波長帯域の赤外線画像を撮影する特殊なカメラが搭載され、太陽コロナの画像データが収集される見込みです。NASAではここで得られたデータを基に、太陽放射に関する詳しい分析を行うと見られます。また、NASAでは今回の日食に続いて2026年の日食でも、同様な観測を計画していると発表しています。