なぜガソスタで「空気圧高くしますか?」と聞かれる? 規定値より高めの意味は? 定番セリフに隠された“重要メッセージ”とは

タイヤの空気圧は適切に保たなければなりませんが、ガソリンスタンドに行くと高めを勧められることがあります。いったい、それはどういった理由からでしょうか。適正値より高くしないといけないのでしょうか。

タイヤの空気圧「高めにしますか」はなぜ聞かれるのか

 ガソリンスタンドで給油すると、店員さんがタイヤの空気圧チェックを勧めてくれることがあります。
 
 そのとき、「空気圧は高めに設定しておきましょうか?」と声をかけられることがありますが、適正値より高くしないといけないのでしょうか。

 タイヤの空気圧といえば、メーカーはその車種のベストパフォーマンスを計算し、車両指定空気圧を設定しています。

 また法律上でも、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示89条では「空気入ゴムタイヤの空気圧が適正であること」と定められています。

 それなのに、なぜメーカーが指定する適正値よりも高めに設定するのでしょうか。

 まず、空気圧のチェックをする声がけについて、ガソリンスタンドのスタッフは「空気圧の声がけは、確認作業として空気圧不足によるタイヤの不具合、事故の防止など安全のために行っています」と話しています。

 それでは、なぜ空気圧を高くする声がけをする場合があるのでしょうか。その理由について、前出の担当者は次のように語ります。

「荷物を多く乗せる場合や長距離を高速で走られる場合は、標準値よりも2kPa(キロパスカル)ほど高くすることを勧める場合がございます。

 また、タイヤの空気圧の確認を頻繁にしない人も多く、なかには空気圧不足で走行している人もいます。

 そのような人には、空気圧をやや高くさせていただくこともございます」

 じつは、タイヤの空気は、月に5%〜10%は自然に抜けてしまうといわれています。半年もそのままにすれば、3割も空気が減ることになります。

 また、クルマの乗車人数や積載量でも抜け方は変わり、さらに、外気温の変化にも影響を受けます。

 しかし、このように日々タイヤは微妙に変化していながらも、空気圧を定期的にチェックする人はさほど多くないようです。

 そこで、ガソリンスタンドでは、多くの人が慢性的に空気圧不足の状態にあることを考慮し、自然な空気モレを計算して少し多めに空気を入れています。

 その際は、たとえば、指定空気圧プラスの1割増しほどに設定することもあるようです。

 このように、「空気圧を高めにしますか」は、一般的なドライバーに向けての声がけです。そのため、必ず従わなければならないというものではありません。

 声がけへの返答について、前出の担当者は次のように語ります。

「長距離のドライブする場合などはスタッフの指示に任せても良いと思いますが、普通の道路を走る場合は標準値のままで問題ありません。

 そのため、必ず空気圧を高くしなければいけないというわけではなく、もちろん高くせずに標準値の空気圧を希望するお客様もいらっしゃいます」

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空気圧は低すぎても高すぎてもダメ… 規定値が存在するワケ

 タイヤの空気圧は適正な数値が求められますが、もしも空気圧が不足したらタイヤはどうなるのでしょうか。

 空気圧が足りず潰れたタイヤは、より広い面積が路面に接するので、「転がり抵抗」が大きくなりさまざまなロスが発生します。

 たとえば、燃費が悪化したり、ハンドルが取られたりすることもあります。

 そのまま続けて走行していると、クルマの重さがタイヤの両側にかかり、両肩減りという偏摩耗を起こして寿命を縮めます。

 また、走行速度をあげると、タイヤは波打って変形を繰り返すようになり、発熱して最終的にはバーストを起こすことがあります。

 さらに、タイヤが潰れることで水を掻き出す排水機能も低下するので、降雨時などはタイヤが浮いた状態になり、ハンドルやブレーキが効かなくなる恐れもあります。

 しかし、だからといって、あらかじめ空気を多くいれておけばいいかというと、そうでもありません。

 空気を入れすぎるとタイヤの中央部だけが膨らんでしまい、中央摩耗を起こします。

 そうなればタイヤをまんべんなく使うことができなくなり、中央摩耗で過度な負荷がかかってしまいます。結果として、タイヤの寿命を縮めることになるため、注意が必要です。

 タイヤの空気は、衝撃を吸収するクッションの役目を果たします。空気圧を高めて、そのクッションが必要以上に張った状態では、クルマが段差を乗り越えたりするときも衝撃を和らげられず、乗り心地が悪くなってしまいます。

 タイヤの空気圧は少し高めにとはいっても、高ければ高いほどよいというわけでもありません。

 一概に空気圧の値にこだわるよりも、空気圧を確認するタイミングなど、クルマとのつき合い方にあわせて工夫することが、適切な空気圧を保つためには大切といえるでしょう。

 なお、タイヤの車両指定空気圧は、多くの場合、運転席のドアに貼ってある表示シールで確認できるため、覚えておくといいかもしれません。
 
※ ※ ※

 タイヤの空気圧不足は、JAFの出動理由の上位に入るほどよくみるトラブルです。

 ガソリンスタンドで店員にお願いするだけでなく、セルフスタンドでも備え付けの空気充てん機を使えるので、給油の際に空気圧を確認してもよいでしょう。