車のエンジンの正しい始動・停止方法とは? 万が一かからなくなったらどうする?

■慣れない車だと意外と戸惑うエンジン始動


車の種類によって異なるエンジンの始動方法

エンジンの始動方法は、従来のキーシリンダー式からプッシュスタート式が一般的になり、今では家電のようにスイッチひとつでエンジンをかけられます。

自動車学校の教習車もプッシュスタートに変わってきていて、キーシリンダーの使い方がわからない人がいてもおかしくはありません。

反対に、プッシュスタート式の慣れない操作に戸惑う人も多いでしょう。

代車やレンタカーなどで慣れない始動方法の車を運転する機会は多くあるので、いざというときのためも両方の始動と停止方法を知っておくことは大切です。各方式の正しいエンジンの始動方法を調べてみました。

●ブレーキを踏まないとかからないプッシュスタート式


昨今は主流になりつつある「プッシュスタート式」

スマートキーとプッシュスタートスイッチが組み合わさった車は、誤発進防止の措置として、以下の状態でなければスタートスイッチを押してもエンジンがかからない構造になっています。

・スマートキーが車内にあること

・シフトポジションがP(パーキング)もしくはN(ニュートラル)の位置にあること

・ブレーキペダルが踏み込まれていること

プッシュスタート式の車は、この状態でスタートスイッチを押すだけでエンジンがかかります。セルモーターはエンジンがかかると自動停止するので、スイッチを押し続ける必要はありません。

・プッシュスタート式のエンジン停止方法

停止させたい場合は、車両が完全に停止した状態で、AT車の場合はシフトポジションをPに入れてからスタートスイッチを押すとエンジンが停止します。

プッシュスタート式の車は、スイッチの位置がメーカーや車両によって様々で、ハンドル周りのほか、ダッシュボードやセンターコンソールに備わっている場合もあります。車に乗り込んだら、まずはスイッチの位置を確認しましょう。

・プッシュスタート式MT車のエンジン始動と停止

MT車の場合は、誤発進防止のためのクラッチスタートシステムが搭載されているので、クラッチペダルを踏みながらでないとエンジンがかかりません。

中には、クラッチペダルとブレーキペダルの両方を踏まなければエンジンがかからない車もあります。

エンジンを停止する際は、車両が完全に停止してからニュートラルギアの状態でスタートスイッチを押すだけです。

・電気自動車の場合は?

電気自動車の操作方法も、プッシュスタート式のAT車と同じです。もちろん電気自動車にはエンジンがないので、音やメーターで車両の状態を確認しましょう。走行可能状態になると、メーターディスプレイに「Ready」などの文字が表示されます。

・スマートキーが車内にあること

・シフトポジションがP(パーキング)もしくはN(ニュートラル)の位置にあること

・ブレーキペダルが踏み込まれていること

プッシュスタート式の車は、この状態でスタートスイッチを押すだけでエンジンがかかります。セルモーターはエンジンがかかると自動停止するので、スイッチを押し続ける必要はありません。

●キーシリンダー式の車はカギの扱い方に注意!


ハンドル右側にあるキーシリンダーにカギを差し込み、時計回りにひねる「キーシリンダー式」

プッシュスタートが採用される以前の車は、ハンドル右側にあるキーシリンダーにカギを差し込み、時計回りにひねることでエンジンがかけられます。

キーシリンダーは以下の4段階に分けられていて、それぞれの段階で車の状態が変わることに特徴があります。

OFF:カギが抜き差しできる状態

ACC:メーター照明やルームランプなどアクセサリー電源が出力される状態

ON:エンジン始動前のスタンバイ状態およびエンジン稼働中

START:セルモーター作動

キーシリンダー車は、STARTの状態にすると強制的にセルモーターが回ります。STARTの状態を保持し続けるとエンジンやセルモーターを破損させる恐れがあるので、エンジンが始動したらすぐにカギから手を離しましょう。キーシリンダーの位置は自動でONに戻ります。

AT車は、シフトボジションがPもしくはNになっている状態でなければエンジンがかかりません。

またキーシリンダー車はAT/MTを問わず、車種や年式によってブレーキペダルやクラッチペダルを踏まなくてもエンジンがかかる車と、かからない車があります。そのぶん誤発進事故を起こしやすいと言えるので、エンジン始動時は各ペダルを確実に踏み込んだ状態で行うようにしましょう。

・キーシリンダー式のエンジン停止方法と操作時の注意点

停止させる際は、カギを反時計方向に回してACCの状態にするとエンジンが止まり、OFFの状態まで戻すとカギが抜けます。AT車はシフトポジションをPに入れないとカギが抜けない構造になっているうえ、車種によってはキーを抜くための個別スイッチが設置されている場合もあります。

キーシリンダー車でもっとも怖い事態は、カギの折損です。古い車はシリンダーの動きが渋くなっていたり、キー自体が金属疲労を起こしていることもあるので、一気にカギをスタートまで動かすと途中で引っかかってカギが折れてしまう場合があります。キーシリンダーは一段一段を意識して回すことを心がけてください。

●エンジンがかからないときは始動手順の再確認

近年の車は故障が少ないうえ、始動操作が電子制御化されて簡単になり、ほぼ確実と言えるほど始動不良を起こしません。そのぶん、エンジンがかからなくなってしまうと焦ってしまいますよね。

バッテリー上がりやスマートキーの電池切れ、燃料切れなどの機械的な問題でなければ、エンジンがかからない原因のほとんどは操作手順の見落としです。

ブレーキベダルを踏まなければエンジンがかからない車は、備わったスイッチでペダルの状態を検出しているので、踏み込みが浅すぎるとエンジンが始動できません。

慣れた自分の車では、ブレーキを踏む前にスタートスイッチを押してしまい、エンジンがかからないと焦ってしまうケースもあるようです。

ハンドルロックの状態にあるときもエンジンはかかりません。その場合はハンドルを動かしながらスイッチおよびキーシリンダーを操作することでロックを解除できます。

エンジンがかからない事態に遭遇したらロードサービスなどに救援を頼む前に、まずは一度落ち着いてシフトポジションやペダルの踏み込み量などのエンジン始動手順を再確認してみましょう。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])