山形県は、「村山」「最上」「置賜(おきたま)」「庄内」という大きく4つのエリアに分かれています。また県の中央には、羽黒山、月山、湯殿山と3つの山がそびえ、「出羽三山」と呼ばれ信仰を集めてきました。その東側、村山・最上・置賜エリアをJALふるさとアンバサダーの渡邊さんが訪問。そこでは、おもてなし力あふれるあたたかい山形の人たちとの出会いがありました。

※価格は税込み表記です。

〈村山エリア〉

「楢下宿ばあちゃんずくらぶ」による「おもてなし御膳」に舌鼓

江戸時代、大名の参勤交代の宿場町としてにぎわっていたのが上山市にある「楢下宿(ならげしゅく)」。現在でも当時の名残を感じるスポットを見ることができます。茅葺き屋根が印象的な「大黒屋」は、移築復元された市の有形文化財。正確な建築年はわかっていませんが、約250年前の建物と考えられています。

ここで楢下の産品を活用したランチ「おもてなし御膳」を提供しているのが、2011年に8名で結成された「ばあちゃんずくらぶ」のみなさん。取材の日は一員の佐藤道子さんが料理の説明をしてくれました。

最初に提供されたのは、楢下名物の「納豆あぶり餅」。昔お餅はごちそうで、硬くなった納豆餅をいかにおいしく食べようかと考えたところから竹串に刺していろりで炙るスタイルが生まれたそう。

いろりでじっくり焼くことで、中はふわっと外はサクサクの食感に。「持ち帰っても同じ味にはなりませんからね。ここでしか食べられない味ですよ」と道子さん。これを食べたいから大黒屋に来るという方もいるようで、醤油につけて一味をかけるという食べ方はお客さまの要望から生まれたそう。

内陸に位置する楢下では納豆は貴重なタンパク源。おもてなし御膳にも10種類の具材が入る納豆汁が登場します。メニューは旬に合わせて変わりますが、この日は「鶏のごんぼ(ごぼう)」「揚げ麩煮」「あけびの甘味噌がけ」、干し柿で柚子や胡桃をまいた「柿巻」などが並びました。「鶏以外はみんな楢下のものです」と道子さん。地域を感じられる、心のこもった料理をいただくことができる場所です。

おもてなし御膳(大黒屋)

住所:山形県上山市楢下29電話:023-672-0839(一般社団法人上山市観光物産協会)営業時間:要問い合わせ定休日:水曜、6月中旬~7月中旬(さくらんぼ繁忙期)、年末年始ほか料金:1名2,000円(御膳の注文は5名から)※5日前までに要予約web:https://kaminoyama-spa.com/tour/776.html

“さくらんぼの里”で「朝パフェ」を堪能

「佐藤錦」の生まれ故郷である山形県は、全国有数のさくらんぼの産地でもあります。2023年には、超大玉の新品種「やまがた紅王」もデビューしました。そんな山形さくらんぼの旬は6~7月。さくらんぼ狩りを楽しめるほか、ぜひ食べてほしいのが「朝パフェ」です。

朝パフェは、県内各所の飲食店が、山形県産のフルーツなどを使ったパフェを午前中限定で提供するキャンペーン。寒河江(さがえ)市にある「cherry cafe chouchou」の「シュシュパフェ(1,780円)」も人気朝パフェのひとつです。

cherry cafe chouchouでは、旬の時期のみならず、一年中さくらんぼパフェを食べることができるのも魅力。契約農家と提携し、寒河江市産の佐藤錦と紅秀峰を冷凍でストックしています。

メニューを考えているのは現場スタッフ。訪れる方に喜んでもらおうと、日々試行錯誤しているそうです。パフェの詳細なども丁寧に教えてくれるので、気軽に話してみてはいかがでしょうか。

cherry cafe chouchou

住所:山形県寒河江市八鍬川原919-8(道の駅寒河江チェリーランド内)電話:0237-86-3111営業時間:9:30~17:30定休日:無休web:https://www.cherryland.co.jp/chou.html

空気が御神体!? 「空気神社」で自然に感謝

せっかく村山エリアを訪れたのなら、立ち寄りたいのが朝日町にある空気神社。「空気」を御神体とするめずらしい神社で、ブナ林の中に置かれた5メートル四方のステンレス板に四季折々の風景が映り込むことによって空気が表現されています。

空気神社は、1990年に建立。町民が、「山の中のきれいな空気の中で仕事をしていると、平地で仕事をしている時よりも疲れにくい。これは、豊かな自然が作り出す澄んだ空気の恩恵である。町に空気神社を建立し空気とそれを生み出す自然に感謝しよう」と1973年に提案したことがきっかけでした。

「美しい地球を守り、次の時代へ引き継いでほしい」という願いも込められている空気神社。朝日町は、世界環境デー(6月5日)を「朝日町空気の日」と条例で制定し、同日と最寄りの土曜・日曜に「空気まつり」を開催。地下3メートルの場所にある本殿の御開帳も行われます。

空気神社

住所:山形県朝日町白倉745-1電話:0237-67-2134(朝日町観光協会)参拝時間:自由定休日:冬季閉鎖

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〈最上エリア〉

1200年以上の歴史ある湯治場「肘折温泉」を散策

平安時代、807年に開湯したと伝わる肘折(ひじおり)温泉は、最上エリアを代表する温泉。肘を折った老僧がこの湯に浸かり傷が癒えたことからその名が付いたとされています。湯守の仕事が代々受け継がれているのも特徴で、年2回、自分たちで温泉の配管を掃除し、維持・管理に努めているそう。

そんな湯守の二十五代目であり、お土産屋「ほていや」の店主かつ、「肘折歴史研究会」の主宰者でもある斉藤栄輝さんに、肘折温泉の歴史をうかがいながら市街を案内してもらいました。

豪雪地帯としても知られる肘折温泉ですが、取材日も大粒の雪に見舞われました。まちの中には水路が張り巡らされており、これも降り積もる雪をすぐに捨てるための工夫。

昔は狭い小路は雪で埋まってしまい、雪のトンネルを掘って通行していたという記録が残るほど。「肘折では冬場、アリの巣のように人は雪の下を行き来している」と記した人もいるそうです。

まちのシンボルとなっているのは、「旧肘折郵便局」。旅館から郵便局に転身した歴史から、敷地内には郵便局員用の温泉があり、配達から帰った局員の体を温めてくれていたそう。

夏と秋に開催される「ひじおりの灯」は一大イベント。山形に縁のあるアーティストが肘折を訪れ、感じたことを灯籠に表現する取り組みで、月山和紙と庄内地方の組子で作られた灯籠が、旅館や商店の軒先を彩ります。※開催日は年により異なります

また、6~7月、9~10月には、旧市街を流れる銅山川に建設された「肘折ダム(肘折砂防堰堤)」のライトアップを実施。ダムまでの道はあけび蔓で作られたランタンで灯され、夕食後の散策として楽しまれています。希望があればメッセージを投影することもできるとか。肘折ダムは石を手積みして造られためずらしい構造で、国登録有形文化財でもあります。

散策を楽しんだあとは、ほていやで「ほていまんじゅう」(6個入り700円~)をおみやげに購入しました。

「ほてい」の名は肘折温泉の開湯縁起に由来。「月山を目指して豊後国(現在の大分県)から歩いて来た僧侶・源翁が銅山川のほとりで道に迷い困っていると、布袋(ぬのぶくろ/ほてい)が流れてきた。上流には誰かが住んでいるだろうと川沿いを上っていくが、誰にも会わずに力尽きそうになったところ、後光差す老僧が現れて丸い赤茶色をした甘い食べ物をくれ、食べるとたちまち元気になった」という言い伝えをもとに生まれたものだそう。

斉藤さんの曽祖父の兄弟が開発したもので、洋菓子の修業をしていたことから、皮にカカオが入っているのが特徴。黒糖の風味を際立たせてくれます。

斉藤さんは、「肘折こけし」のコレクターでもあり、ほていやでは貴重な肘折こけしを見ることができます。11系統あるとされる伝統こけしのひとつで、三日月型の目や黒々としたおかっぱ頭から最も個性的とも言われるそう。胴体に撫子を描くのも特徴です。

「こうした古くからある湯治場の景色は、お客さまに来ていただかないと残していけないものです。ぜひ旅行に来ていただきたい」と斉藤さん。まち歩きツアーも開催しているので、気になった方は問い合わせてみてください。

ほていや

住所:山形県最上郡大蔵村南山499電話:0233-76-2132営業時間:7:00~17:30定休日:無休

官民一体で守る風景を体感 金山まち歩き

「街並み(景観)づくり100年運動」を提唱し、官民一体で景観を中心に置いたまちづくりを長きにわたり行ってきた金山町は、山形県の最北部に位置しています。

町土の約78%が森や山という土地で、基幹産業が林業であったこともあり、条例に基づき、金山の産材、金山の職人の技術などを活かした「金山住宅」が建てられ、「屋根は切り妻屋根で色をこげ茶または茶または黒色、外壁は白を基本」など、景観の色彩統一が図られてきました。

また、町では、町民から譲渡された蔵などをリノベーションし、公共施設として開放。「マルコの蔵」もそのひとつで、産品を購入したり、カフェでひと息ついたりすることができます。

町産杉を使用した商品(コースター 300円~)のほか、町が産地化を目指す落花生を使った商品も豊富。山形県を代表する企業「株式会社 でん六」とコラボレーションして開発したブランド「ビーナッツ」として「殻付き落花生」(972円)、「素焼き」・「揚げ塩」(各432円)のほか、「100%ピーナッツペースト」(972円)などを販売しています。

「ビーナッツ」は、「美しい自然と街並みが自慢の町で育つ落花生は殻が白く美しく、甘みが強くておいしいBeautiful Peanutである」というところから発想したそう。

渡邊さんがカフェでいただいたのは、「米の娘ぶたロースドックとホットコーヒー」(800円)。「米の娘ぶた」は金山町で育てる米とホエーを食べて育った豚で、柔らかく脂身があっさりとしているのが特徴です。

カフェのテーブルは町産の杉。雪国のため成長速度が遅く、年輪幅が狭いことから、木目がきめ細かく強度が高いのが魅力です。

また資料室には、景観づくりに取り組んできた町の歴史が展示されています。案内してくれた金山町産業課の丹健一郎さんによれば、住民がまちを美化する意識を持っているドイツに学び、運動を少しずつ進めてきた背景があるとのこと。

概要を学んだ後は、いよいよまち歩きへ出発です。

マルコの蔵

住所:山形県最上郡金山町大字金山363-2電話:0233-32-1212営業時間:9:30~17:30定休日:年末年始web:http://maruko-no-kura.jp/

マルコの蔵を中心に、旧羽州街道沿いには歴史ある金山住宅が多数並び、ショップや休憩所等として開放されている建物もあります。

立ち寄ったのは、林業を生業に金山で商いを続けてきた「カネカ」。引き戸を開けると、現在は5代目がリノベーションしたセレクトショップ「アトリエリベル」(10:00~18:00、月曜・火曜定休)、奥には120年の歴史ある蔵を活用した「蔵カフェ」(10:00~17:00、不定休)など、素敵な空間が広がっていました。

まちの歴史や建築について詳しく知りたい方は、「株式会社ここから」による「街並み案内」がおすすめです。

株式会社カネカ

住所:山形県最上郡金山町大字金山405web:https://kaneka405.com/

街並み案内(株式会社ここから)

料金:ガイド1人につき4,400円 ※参加者は20名以下が目安所要時間:約2時間申し込み:https://cocokara-inc.jp/guide/

天然杉の巨木群生地「幻想の森」

夏に最上エリアを訪れるなら、幻想の森を訪れるのもおすすめです。樹齢1000年を超える広葉樹と天然杉が群生する森で、神秘的な空間に足を踏み入れることができます。

散策コースにはウッドチップが敷き詰められているので気軽なトレッキングが可能。リラックス効果もあり、フォトスポットとしても注目されています。のんびり森林浴が楽しめるチェアリングもおすすめです。

幻想の森

住所:山形県最上郡戸沢村大字古口土湯 幻想の森電話:0233-72-2110(戸沢村観光物産協会)散策可能期間:5月中旬~10月末 ※冬期は雪のため通行不可