すごい小さい日産「ケンメリ」実車公開! 全長3m級だけど存在感スゴい…!? 意外な「ベース車」反響は?

毎年恒例のカスタムカーの祭典である「東京オートサロン」では、数多くのコンセプトカーが展示されて多くの人で賑わっています。なかには過去の名車を復刻させる企業もあり、そのなかでも幻の名車「ケンメリ」を彷彿とさせるクルマに注目が集まっていました。

幻のケンメリをダウンサイジングして復活

 千葉県にある自動車専門学校「日本自動車大学校(NATS)」は毎年学生達がカスタムカーやレストアカーを製作しています。
 
 年初に開催される「東京オートサロン」での展示がひとつのゴールですが、2024年も様々な展示がありました。そのなかでも注目されたのが「幻のちびメリ」というモデルです。

「幻のちびメリ」は、1972年に登場した4代目スカイラインの通称「ケンメリ」をモチーフに開発されたモデルです。

 ケンメリは発売終了まで5年間で販売した台数は約67万台もあり、日産の歴代スカイラインの中では最も売れたクルマです。

 ほかにもR35まで引き継がれた、特徴的な丸形4灯テールランプを初採用したのもケンメリが最初。

 また、排出ガス規制の影響によりサーキット走行のために開発されたケンメリGT-Rは、レースに一度も出走することなく、わずか197台のみの生産となった幻のクルマです。

 そんな中、NATSはケンメリをモチーフに小型化したモデルとして幻のちびメリを製作しました。
 
 ベースになった車両は、1980年代に販売されていたスズキのボンネット型軽トラック「マイティボーイ」となります。

 マイティボーイは軽自動車のBピラー以降を切断して、ピックアップ風のトラックに仕立てた斬新なクルマで、2名乗車にもかかわらずマニアからは絶大な支持を得ていたクルマでした。

 そんな、軽ピックアップトラックのマイティボーイを2ドアハードトップのケンメリにNATSは仕上げました。

 外装はまさにケンメリをダウンサイジングしたような造形で細部までしっかり再現されています。

 とくに丸目4灯のヘッドライト周りやテールランプ周りなどの各種部品は、ケンメリの純正パーツを加工し、取り付けるなど手の込んだカスタムとなっています。

 ただし、NATSの担当者によると、「凹凸が少ないボディのマイティボーイに対し、メリハリのあるケンメリのボディラインと違いが発生してしまうということで、サイドパネルの造形を見直した」とのことです。

 具体的には、サイドラインにFRPを使用したり、鉄板を成形したりしてケンメリのサーフラインを再現することに成功しました。

 ほかにもケンメリにより近づけるよう、旧車の定番ホイールである「レーシングサービスワタナベ エイトスポーク」を装着し、当時のイメージが再現されています。 

 話題を集めた幻のちびメリですが、オートサロン現地では実際にどのような反響や声が寄せられたのでしょうか。NATSのちびメリを製作した担当者は以下のように話しました。

「ケンメリ世代でもある50〜60代の人から特に反響がありました。『こういう軽自動車があればいいのに』『ケンメリを久しぶりに見ることができた』『これ実際に欲しい』と声がありました」

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 内装も追加メーターやトグルスイッチなど、レーシングカーを彷彿とさせる造りでNATSのケンメリに対する熱量が伝わってきます。

 幻のちびメリは昔の軽規格のクルマのため、いまの軽自動車よりもひと回り小さなクルマですが、存在感はリアルのケンメリと変わらないぐらいの迫力に仕上がっています。

 NATS自体も軽自動車でレーシングカーを再現するのが得意なこともあり、今後も幻の名車が誕生する可能性が高いようです。