なぜ「ガソリンスタンドの屋根」は“平ぺったい”? 雪が積もったらどうするの?「平坦タイプ」が“圧倒的多数”の理由とは

ガソリンスタンドの屋根には、その多くが傾斜の無い「平坦」な形状が採用されています。これには一体どのような理由があるのでしょうか。また、積雪によって壊れてしまう心配はないのでしょうか。

ガソリンスタンドの屋根、なぜ「平ら」?

 一戸建てなど一般的な家屋は、屋根に積もった雨や雪が流れ落ちやすいよう“傾斜”が付けられています。
 
 とくに雪が多く降る地域では、より雪を滑りやすくするため、屋根の傾斜が急な家が多数。
 
 しかしガソリンスタンドの屋根(キャノピー)は、ほとんどのエリアで「平ら」なタイプが使われています。これは一体なぜなのでしょうか。

 ガソリンスタンドの屋根が平らになっている理由としては、第一に「コストが抑えられる」ことが挙げられます。

 平らな屋根は、アーチ型や傾斜のある屋根と比べて構造がシンプルなのが特徴で、建設にかかる費用や期間が少なくて済みます。

 そのため、多くのガソリンスタンドでは、平らな屋根を採用しているのです。

 しかし気になるのが、雪が積もった時のこと。その場合はどう対処するのでしょうか。

 この疑問についてガソリンスタンドのスタッフに聞いたところ、以下の回答がありました。

「ガソリンスタンドの屋根は平坦ですが、積雪にも耐えられる強度を持った設計になっているため、基本的には雪が溶けるまでそのままです。

 ただし、豪雪の地域など積雪が予想される店舗では屋根にヒーターが設置されているタイプもあり、雪が多い場合はこれを作動させて溶かしています」(ガソリンスタンドのスタッフ)

 このように、よほどひどい積雪でない限り“雪下ろし”は事故を防ぐために行わないそうです。

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その一方で「珍しいデザイン」のガソリンスタンドも存在!

 多くのガソリンスタンドでは平らな屋根が設置されている一方で、個性的なアーチ型や、傾斜のある屋根を設置している店舗も存在します。

 例えば、千葉県市川市の「アクシス行徳」は、アーチ型(ドーム型)の屋根を設置しています。

 また、傾斜のある屋根を設置している店舗でもとりわけ珍しいタイプなのが、和歌山県田辺市の「コスモ石油 本宮SS」。

 この店舗の屋根は、白と黒を基調にした屋根瓦風のデザインを採用しており、一見するとガソリンスタンドとは思えないユニークなものです。

 さらに寒冷地では、支柱に向けて内側に傾斜しているY字型の屋根も見られます。

 これは「無落雪屋根」と呼ばれるタイプで、内側に溶けた雪や水を集めることでガソリンスタンドの利用客に雪が落ちない構造となっているのです。

 また、このタイプは屋根にヒーターを内蔵しているものが多いということです。

※ ※ ※

 多くのガソリンスタンドでは「経済的合理性」を踏まえて平坦な屋根を採用している一方で、寒冷地のガソリンスタンドではしっかりと雪対策が図られるなど、地域によって様々な工夫が凝らされています。

 記事で取り上げた他にも色々な形状の屋根があるので、ガソリンスタンドに立ち寄った際には、屋根に注目してみると面白いかもしれません。