「アストンマーティン Oneー77」は、7.3LのV12を搭載した77台限定モデル【スーパーカークロニクル/089】

1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、アストンマーティン Oneー77だ。

アストンマーティン Oneー77(ASTON MARTIN Oneー77:2010〜2012)

イギリスの高級スポーツカー メーカーであるアストンマーティンは、V型12気筒エンジンを搭載したハイパフォーマンスのスポーツカーを作り続けていたが、それらはいわゆる「スーパーカー」とは立ち位置が少し違うものであった。だが、経営難から出資元が何度も替わり、2007年にデビッド・リチャーズらの投資家グループにコントロールされるようになった頃から、スーパースポーツカーの世界へ足を踏み入れるようになる。

2008年のパリ モーターショーでアストンマーティンはフラッグシップとして「One ー77」を開発することを発表した。アストンマーティンの伝統的で優雅なスタイリングのクーペは、前後のフェンダーを張り出したワイド&ローなプロポーションやフロントまわりのエアインテーク、フロントフェンダー後ろのエアアウトレットなどでハイパフォーマンスを主張する。デザインは自社で行い、マレック・ライヒマンが統括している。

発表から市販化までに少し時間はかかったが、その間に当初の予定よりも性能は向上されている。フロントに搭載されたエンジンは、アストンマーティン内製の6L 60度V型12気筒 DOHCをベースにコスワース社が手がけたもので、排気量は7.3Lにまで拡大していた。

当初の計画では最高出力は710psの予定だったが、市販型では最高出力760ps、最大トルク750Nmとなり、当時の市販NA(自然吸気)エンジン最強といわれた。組み合わされるトランスミッションはセミATの6速AMTで、デファレンシャルとともにリアに搭載されるトランスアクスル方式を採用していた。変速はステアリングのパドルで行う。

シャシにはカーボンモノコックが採用され、ボディの外板パネルはアルミニウム製。サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーン式だが、スプリングとダンパーを水平にレイアウトしたインボードタイプとなっている。2010年から生産が開始されたOneー77は、イギリスで120万ポンド(当時のレートで約1億6000万円)という価格で77台限定で販売されたが、2012年に完売している。

●全長×全幅×全高:4601×2204(ミラー含む)×1222mm


●ホイールベース:2791mm


●車両重量:1630kg


●エンジン種類:60度V12 DOHC


●総排気量:7312cc


●最高出力:760ps


●最大トルク:750Nm


●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・98L


●トランスミッション:6速AMT


●駆動方式:トランスアクスル式FR


●タイヤサイズ:前255/35ZR20、後335/30ZR20