
今後、電波法関連法案の改正により、古いETC車載器が使えなくなる可能性があります。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。そのまま使い続けるとどうなるのでしょうか。
電波法の改正で古いETCが使用不可に? どう確認するの?
2022年12月1日から「一部のETC車載器が使えなくなる」という俗に2022年問題といわれた法改正がありました。
果たして現在はどうなっているのでしょうか。また自分の車載器が問題ないかの確認はどうやるのでしょうか。
具体的には、電波法関連法令の改正により、旧型のETC車載器が使用に適さないことになります。
電波利用環境を維持するため、世界無線会議では無線設備について規制を定めました。
スプリアスと呼ばれる不必要な電波を低減させるよう、無線設備が出すスプリアスの強さについて許容値が改正されたのです。
ETC車載器も無線設備にあたりますが、日本では2005年の電波法関連法案の改正から新たなスプリアス規格が適用されました。
これについて、国土交通省は「不必要な電波(不要電波=スプリアス)をできる限り低減させることによって、国内の電波利用環境の維持、向上及び電波利用の推進を図るため、電波法が改正されました」と説明しています。
2018年9月3日に国土交通省およびITSサービス高度化機構、高速道路会社6社は「旧スプリアス規格の無線設備の使用期限が2022年まで」と発表したことで旧型のETC車載器が使えないという「2022年問題」と呼ばれていました。
電波法に照らして使用が適当ではないとみなされるのは、2007年以前に旧スプリアス規格で製造されたETC車載器です。
とはいえ、旧型ETC車載器で高速道路のETCレーンに進入したとしても、料金が精算されなくなったり、ゲートが開かなくなったりすることはないようです。
なお、2022年という旧スプリアス規格の無線設備の使用期限は延長されています。
新型コロナウイルス感染症により社会経済が変調したことから法改正がなされ、「当面の間」が使用期限です。
もちろん、「当面の間」が過ぎれば旧型ETC車載器は使えなくなります。
そのため旧スプリアス規格機器について、「電波法に照らし適当ではない状態となる可能性」があることから、国土交通省や各メーカーでは「旧規格の機器の取り外しと新規格へ対応した機器への切り替え」を呼びかけています。
一方で、新スプリアス規格が適用されてから10年以上経っているうえ生産終了した機種も多く、実際に使えなくなるETC車載器は限られているともいわれているようです。
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古いETCを使い続けると電波法違反になる可能性も! どうやって確認するの?
旧型ETC車載器をクルマに取り付けたままでいると、電波を発する状態であれば電波法違反になる可能性があります。そのため、自分のETC車載器を確認しておくとよいでしょう。
旧スプリアス規格で製造されたものかどうかは、型式登録番号をみるとわかります。
型式登録番号はETC車載器のラベルや取扱説明書、保証書などで調べられます。
古い機器などで判別できなければ、購入店舗やメーカーへ問い合わせてもよいでしょう。
また、現在は電波法とは別に、ETCシステムのセキュリティ規格も強化されています。
そのため、今後はさらに多くのETC車載器が使えなくなる可能性もあります。
国交相はETCに関わる料金所や車載器、ICカードについて情報セキュリティー規格を定めていますが、2017年にその規格を強化すると発表しました。変更する時期は2030年頃までとしています。
こちらは「2030年問題」とも呼ばれていますが、関係するETC車載器は少なくないので早めに確認しておくことをおすすめします。
では、2030年問題でETC車載器が使えなくなるかどうか調べる方法を紹介しましょう。
ひとつは、19桁の車載器管理番号をみるとわかり、左端の数字が「1」であれば新セキュリティ規格に対応しています。
「0」なら旧セキュリティ規格です。車載器管理番号は取扱説明書や保証書などのほか、車載機本体のシールにも記載されています。
また、ETC本体に記されたセキュリティー対応を示す識別マークでも判別できます。ETCカード挿入口付近に「●●●」マークがある、または「■」マークがない場合は、新セキュリティ規格に対応しています。
ETCカード挿入口付近に「■」マークがある、または車載器本体に「DSRC/ETC」のロゴがあるETC車載器は旧セキュリティ規格のものです。
一方で、ETCの対応について首都圏内の新車ディーラーでは次のように話します。
「現在、新車に装備するETCは電波法関連法令や新セキュリティに対応しているので、古いETCでなければ2030年以降も問題なく使用できると思います。
自分のクルマのETCが旧スプリアス規格や旧セキュリティ規格のETCである場合は、正規販売店やカー用品店で取り換え作業ができるので交換しておくと安心です」
※ ※ ※
ETCに関する2022年問題と2030年問題の明確な時期は決まっていないものの、旧規格に該当するETC車載器はいずれ使うことができなくなる可能性が高いです。
そのため、現在使用しているETC車載器を確認し、該当するようであれば買い替えなどを検討するとよいでしょう。