なぜ…トンネルを抜けたら突然行き止まり! 行き先のない和歌山「ゆめみるトンネル」の正体

和歌山県に現在通行止めとなり使われず放置されているトンネルが存在するといいます。どのようなトンネルなのでしょうか。

トンネルの先は何もない?

 建設したものの使われずにそのままになっているトンネルが和歌山県にあるといいます。どのようなトンネルなのでしょうか。

 和歌山県九度山町は、県北部に位置する3500人ほどの山あいの町です。

 そしてこの町には、東西方向に町道44号が通っています。2車線(片側1車線)の走りやすい道路です。

 西へ進むと県道118号高野橋本線との交差点の先に「ゆめさきトンネル」があり、さらに道なりに進むと、今度は「ゆめみるトンネル」があります。

 しかしトンネル手前に通行止めの看板が置いてあり、その先は進めないようです。

 一方、地図を見ると、トンネルの先もしばらく道が続いているのが分かります。Googleストリートビューでたどると、道路はアスファルトで舗装されているものの、路肩は草木に侵食され、舗装も割れており、やや荒れている様子がうかがえます。

 そして道は、そのまま数百メートル進んだところで突然、行き止まりに。ほかの道や家屋などにつながることなく、山にぶつかるような形で終わります。

 なぜ目的地がないのに、2車線の立派なトンネルが造られたのでしょうか。これについて九度山町に問い合わせましたが、町から回答は得られませんでした。

 しかし町民に向けて作られた「くどやま こんにちは!議会です」第111号(2021年5月1日発行)に、トンネルが造られた経緯などが記されていました。

 これによると、1979年に国土交通省が九度山町や橋本市などを流れる丹生川でダム建設の準備を始め、1997年には「紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会」が設置されました。

 並行して1997年1月にゆめさきトンネル、2000年3月にゆめみるトンネルが相次いで完成するも、2002年5月にダム建設の中止が決定。

 それに伴い、ダム付帯整備として町道44号と川沿いを走る国道371号とつなげる計画は、廃案になったといいます。

 議会での一般質問では、町道44号の必要性が高いことが示され、町長は現在の進捗状況と方向性について次のように回答しています。

「県道の代替路線として県事業で実施するよう県および県議会に要望を出していますが、現在まで良い回答をもらっていません。町での事業が可能かどうかについて検討を考えております」

 また、町道44号の整備については「九度山町過疎地域持続的発展計画(令和3年度~7年度)」でも、「県道宿九度山線が狭小のため、本県道のバイパス機能としての期待が高く、今後、更に整備していくことが必要である」と触れられています。

 ダム建設中止の影響で町道44号は未成道となっていますが、今後、整備が再開する日も近いかもしれません。