「あ、危ない!」悪名高いご当地ルール「名古屋走り」…統計に表れた実態と対策とは

愛知県の“交通ルール”として揶揄されがちな「名古屋走り」。その実態と対策について、愛知県警察に取材しました。

愛知県の交通マナーを調査!

 トヨタ自動車を筆頭に、クルマ産業が大きく発展している愛知県は、クルマや運転免許の保有率も比較的高い水準にあり、まさしく「クルマの街」といえます。

 そして、そのような愛知県では独特なクルマの交通ルールがあるといわれます。有名なのが、インターネット上で度々取り沙汰される「名古屋走り」です。この言葉のために愛知県のドライバーには良い印象を抱いていない人もいるかもしれません。

 しかし愛知県出身の筆者(鈴木伊玖馬)からすると、実像と異なるイメージが飛び交っている気がするのも事実。そこで今の愛知県の交通事情について、愛知県警察に話を聞きました。

 愛知県の“特異な”交通ルールとして揶揄されがちな「名古屋走り」。その例として「信号が黄色になっても進む」「ウィンカーを出さないまま車線変更する」「横断歩道で歩行者が待っていても一時停止しない」といった運転行為がよく挙げられます。

 とはいえ、愛知県出身の筆者からすると、「名古屋走り」の言葉が先行しすぎている印象もあります。実際地元で運転していても、車線変更時にウィンカーを出さない人や、車線の上を走る“またぎ走行”をする人は見たことがありません。

 その一方で、黄色信号に対する認識は的を射ているように感じます、普段安全運転をしているクルマであっても、黄色信号時はむしろスピードを上げて素早く通り過ぎてしまおうと考えるドライバーは多くいると思います。

 そういったせっかちさもあってか、歩行者への軽視具合も大きいです。特に横断歩道に差し掛かった際は「歩行者が渡り始める前に通行してしまおう」と考え、速度を上げるクルマをよく見かけます。

 それを裏付けるのが、愛知県警察のデータです。これによると、事故死に占める歩行中の死者の割合は、全国平均が約38%なのに対し、愛知県は約41%と若干高くなっています。また、県内の交差点での死亡事故発生件数は、死亡事故件数全体の約5割にも及びます。

 この割合は全国で2番目に高い数字であり、ドライバーの歩行者保護意識の低さや、一時不停止などの法令違反が原因といえます。

 そのため愛知県警察では、児童や高齢の歩行者が多い道路で可搬式オービスを活用した速度取締りを実施。さらに横断歩行者等妨害の交通指導・取締りを強化しつつ、またドライバーには横断歩道があるのを示す道路標示「ダイヤマーク」を見たらアクセルを戻すよう啓発しています

 また歩行者についても、道路横断時に「横断歩道や歩道橋などの安全施設を利用する」「横断前はクルマが接近していないか確認し、横断中も周りの安全を確認する」といった安全行動を実践するよう、呼びかけています。

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 このように交通安全に関してさらなる意識改革を進める愛知県。最後に、ドライバーに対し、運転中特に気をつけてほしい部分などありますか?と愛知県警察に尋ねたところ、以下のような回答がありました。

「ご説明した特徴のとおり、横断歩道を横断中の歩行者と衝突する事故の原因となる横断歩行者等妨害等や、交差点事故の一因である一時不停止は、重大な交通事故に直結しかねない危険な行為です。

 クルマを運転する際は心と時間にゆとりを持ち、歩行者や同乗者らの命を守る思いやり運転をお願いします。

 歩行者についても、特に道路横断については横断歩道などの安全施設を利用するとともに、横断中は周りの安全を確認しながら横断しましょう」

 愛知県に限りませんが、やはり運転時は決して急がず、ゆとりを持った走行が重要だと分かります。スケジュールに余裕を持ち、歩行者などの安全にも十分に配慮した運転を心がけるようにしましょう。