
1957年の初代以来、65年以上に渡り歴史を重ねてきた日産「スカイライン」ですが、近年はその名を聞く機会も減りました。ほぼ同等の歴史を持ち、2022年のフルモデルチェンジでイメージを一新させたトヨタ「クラウン」のように「復活」を遂げる日はやってくるのでしょうか。
日産副社長が語った「スカイラインをあきらめない」とは何だったのか
日産を代表するスポーツセダン「スカイライン」のモデル廃止という新聞報道が世間をざわつかせたのは、2021年6月のこと。報道からわずか3日後、日産の星野朝子副社長が「日産自動車はスカイラインを決してあきらめない」とコメントしたことで、事態は収束しました。
しかしあれからすでに2年が過ぎ、スカイラインに関する続報は一向にありません。やはりスカイラインはなくなってしまうのでしょうか。
スカイラインは、2013年11月に登場した現行型で13代目にあたりますが、すでにデビューから丸10年が経過しようとしています。
しかし次期型の登場どころか、2022年5月には主力のハイブリッドモデルが販売終了となっており、現在は、3リッターV型6気筒ツインターボ搭載のパワフルなモデルのみの設定となっています。
国産車として初めて「ハンズオフ」(高速道路上のルート走行中における、同一車線内での手放し運転)を実現した「プロパイロット2.0」が搭載されていたのがハイブリッドモデルのみだったため、廃止を惜しむ声がSNSなどでも多く寄せられていました。
日産はこれまでにも「サニー」や「プリメーラ」、「セドリック/グロリア」、「キューブ」や「マーチ」など、一時代を築いたモデルをいくつも廃止に追いやっています。
13世代・65年以上にもわたって販売され続けているスカイラインであっても、廃止がないとは言い切れません。
4ドアセダンで丸目四灯テールランプ、なおかつ、ハイパワーなエンジンこそがスカイラインだ、という声は多いですが、なかでも400馬力のツインターボ「400R」は、まさにファンが求める「スカイライン」かもしれません。
しかしそれでは、残念ながらスカイラインには未来はないと筆者(河馬兎)は考えます。
日産が目指すカーボンニュートラルな社会に対しては、すでに「謀反(むほん)者」(反逆者)とすらいえます。
スカイラインとほぼ同様の長い歴史を持つトヨタ「クラウン」が、16代目にして「クロスオーバー」を含む4バリエーション展開になり、大きく生まれ変わりました。
実はスカイラインではこうしたトレンドに先立ち、すでに先代V36型をベースとする「スカイラインクロスオーバー」を2009年に登場させています。
ただ、専門家からの評価は高かったものの、スカイラインクロスオーバーの販売は振るわず、現行モデルでは用意されなかったことを考えれば、スカイラインでは「クロスオーバー化」という道は考えにくいでしょう。
また次期型でもしスカラインが電動化されたとしても、現状のような4ドアセダンのままでは、スカイラインの人気が上向くことは考えられません。
それでは、この先もスカイラインが生き残る道とはどこにあるのでしょうか。
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「GT-R」を「スカイライン」に取り戻すべき時期が来た!?
20年来の日産ファン、スカイラインファンである筆者の考えは、新生「スカイラインGT-R」となることです。
どういうことか、具体的に紹介しましょう。
新生スカイラインGT-Rとはつまり、次期型スカイラインを第3世代のR35型「GT-R」の後継とし、スペシャルなスポーツカーに引き上げる作戦です。
日産ブランドのフラッグシップカーとして神格化されているGT-Rの名をスカイラインに取り戻し、パフォーマンスはもちろん世界一を狙います。
こうなれば、R35並みかそれ以上の1000万円級の高価な車両価格も許容してもらえるはず。
パワートレインは、エンジンを積んだ「e-POWER」もしくは大容量バッテリーEVとし、アリアの電動AWDシステム「e-4ORCE(イーフォース)」を改良した「ハイパワー電動AWD」をパワーアップして搭載するのが望ましいでしょう。
破天荒な意見と思われるかもしれません。
しかしスカイラインというブランドを活かしながらファンに感動を与えることができる、新世代のスカイラインGT-Rという道は、十分にアリではないかと考えます。
※ ※ ※
星野副社長の「スカイラインはあきらめない」と発言された言葉を、我々日産ファンは信じて待つしかありません。
実際に次期型スカイラインのプロジェクトに関しては、何らかの動きがあるとのウワサもあります。
どのような姿となるのかわかりませんが、「技術の日産」のイメージリーダーとしてふさわしい、次期型スカイラインの登場を待ち望んでいます。