■フロントフェンダー後部の独特なエアベントが初めて露出
ポルシェがワールドプレミアを控える、911の派生モデル「911 ST」、その市販型の最新プロトタイプをカメラが捉えました。
ポルシェ 911 ST 新型スパイショット
同ブランドでは現在、伝統のスタイルを再定義したヘリテージシリーズを展開していますが、その最新モデルとして登場するのが「911 ST」です。特別エディションとして蘇るSTは「911 GT3ツーリング」をベースに開発が進められています。
レース界が加熱していた1970年代。フォードやBMWなどのメーカーによる競争の場でもあったサーキットで、ポルシェはこれらを打ち倒すべく開発を進めていました。
そんな中で誕生したのが「911 ST」です。この新しいレースカーは1970年から1971年にかけて投入され、デイトナ、タルガフローリオ、ニュルブルクリンクなどの様々なレースに参戦、ル・マンのGTクラスでも優勝しました。しかし、1年の間にわずか24台しか製造されておらず、幻のモデルとなっています。
ポルシェ 911 ST 新型スパイショット
路上で捉えたプロトタイプは、フロントフェンダー後部の独特なエアベントが初めて露出するなど、エアロの秘密が明らかになっています。
これまでのスパイショットでは、ホイールとドアの間のフロントフェンダーの下部がカモフラージュで覆われていました。その下には、垂直フィンを備えたGT3 RSのフェンダーのような形状が予想されていましたが、STはフィンが短く、ボディからあまり出ていないこと、フェンダーとの接続が2ヵ所であること、上部の隙間が少ないなど、若干異なることが発覚しました。
また、STのフェンダーにはGT3 RSのホイールアーチ上の鋸歯状の通気孔(ノコギリの歯のようなギザギザ)も欠けています。
興味深いのは、後輪後ろのリアバンパーにある、フロントフェンダーのカットアウトを再現していないところでしょう。
ポルシェ 911 ST 新型スパイショット
また、ボンネットベント、リアディフューザー、スポイラーのないテールを備えているなど、GT3ツーリングと見間違えやすいですが、STにはスポーツクラシック同様のダブルバブルルーフ、エンジンリッドの異なるスタイルのメッシュカバー、左側の円形の「ヘリテージ」バッジとともに、ダウンフォースを向上させる小さなリップスポイラーが装備されています。
パワートレインは不明ですが、GT3ツーリングをベースとしていることから、4.0リットル水平対向6気筒エンジンを搭載、最高出力は502psと予想されています。ただし、非常に限定された特別エディションとなるため、パワーアップされる可能性を秘めています。基本はATと想定されますが、MTバージョンが提供されるかも注目です。
ポルシェは先日、ライブストリームイベント「ポルシェスポーツカーの75周年」を6月8日に開催し、未来のスポーツカービジョンを初公開すると発表しました。6月8日は、1948年にポルシェの名を冠した最初のスポーツカーが認証された、ポルシェにとって特別な日ですが、ST新型はこの日のデビューが予想されています。
(APOLLO)