
トヨタは2023年5月時点で16代目となった「クラウンシリーズ」の「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」の実車をお披露目しています。では実際にそれぞれ座ってみるとどんな違いがあるのでしょうか。
実際に座ってみた! クロスオーバー/スポーツ/セダン…何が違う?
2022年から2024年にかけて発売されるトヨタ「16代目クラウンシリーズ」は全4タイプで展開されます。
現在までに「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」の実車が公開されていますが、それぞれ実際に座った印象はどうなのでしょうか。
1955年からトヨタの高級乗用車として歴史を重ねているクラウンは、2022年7月15日に16代目となるモデルが世界初公開されました。
クラウンの黎明期では、セダンを基本としたボディタイプにバン・クーペ・ワゴンといった派生モデルが展開されていましたが、途中からはセダンのみとなります。
そしてその後は「クラウン=セダン」というイメージが定着していましたが、時代が変化したこともありセダン市場は徐々に縮小。
その結果「クラウン=セダン」からの脱却を図るべく16代目クラウンシリーズでは、セダン+SUVの「クラウンクロスオーバー」、ミドルサイズSUVの「クラウンスポーツ」、正統派セダンの「クラウンセダン」、久しぶりの車名復活となる「クラウンエステート」が用意されます。
第1弾となるクラウンクロスオーバーは2022年9月に発売。その後クラウンスポーツとクラウンセダンは2023年秋以降、クラウンエステートは2024年の発売が明らかにされました。
また実車公開という点では、発売済みのクラウンクロスオーバーを除いて2023年4月下旬にクラウンスポーツ(プロトタイプ)、同年5月にクラウンセダン(プロトタイプ/海外仕様)がお披露目されています。
そうした中でクラウンクロスオーバー/クラウンスポーツ/クラウンセダンに実際座った印象はどうなのでしょうか。
第1弾に登場したクロスオーバーでは、すべての席において「全席特等席」を意識したデザインを採用しました。
運転席は、運転中の視線移動や動作を最小化するためにディスプレイやメーター操作機器を水平に集約し、直感的に運転できるデザインを実現。
助手席は、見晴らしの良さと包み込まれるような安心感を目指したデザインとなっている他足元はやわらかいソフトな素材が用いられたことで「ビジネスクラス」のような空間を目指したと説明しています。
後席に関しては、車外の景色が堪能出来るように、リアドアトリムの肩口を水平的に長く取るなど配慮が施されています。
実際にそれぞれの席に座ると前述の目的に沿った印象を受ける他、セダン+SUVという新たなボディスタイルのため前席では見通しの良いアイポイントの高さを確保しつつ、後席では従来のクラウンらしい居住性はそのままでした。
またインテリア全体を通して「WARM STEEL(ウォームスティール)」と呼ばれる金属加飾が施され、これはシルバーとゴールドの間を取った色味で、ツヤを極力おさえ上質さと金属質感でありながら温かみのあるデザインに仕上がっています。
次に一部のメディアと招待客に披露されたクラウンスポーツです。
インテリアの基本的なデザインとして、水平方向に配置されたスイッチ類やディスプレイなど、直線基調のインパネなどはクラウンクロスオーバーと共通ですが、 クラウンスポーツのインテリアカラーはブラック、ブラウン、レッドの3色です。
一方、クラウンスポーツはその名の通り「スポーティさ」を個性としており、いくつかのインテリアカラーが用意されている中で、黒を基調色としつつもセンターコンソールから助手席側インパネ上部にいたるまで赤いアクセントカラーを採用したアシンメトリーな仕様も設定されています。
さらには、ステアリングやシートにも赤ステッチを施した他、シートベルトも赤というこだわりを散りばめており、コンセプトとなる「エモーショナルな走り」を体感出来るデザインです。
前席に関しては、シート形状がクラウンクロスオーバーと比較すると背もたれの上部サポートが張り出し、ヘッドレスト形状もより大型化されたことで、スポーティな走りでも対応出来るようなものになっています。
また後席は、見た目的にクロスオーバーよりは窮屈感のある印象を受けますが、実際に座るの必要最低限の空間は確保されており、クロスオーバーとのコンセプトの違いも含め「走りを重視した」ようです。
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「クラウンセダン」は乗ったらやみつきになる? 座るのは前席? 後席?
そして2023年5月時点で実車が公開されている3車種目がクラウンセダンです。
これは5月26日から28日に開催された「スーパー耐久 富士24時間レース」のイベント広場でお披露目されました。
前述のように「クラウン=セダン」というイメージを持つ人は多く、そうした背景もあり、新たなクラウンセダンは4車種の中でも話題となっていたモデルです。
同時にボディサイズとしても16代目クラウンシリーズ唯一の全長5m、ホイールベース3mを超えることでもその動向は注目されていました。
またクラウンセダンは「正統派セダンとしての上質な走りと快適な乗り心地、ショーファーニーズにお応えするくつろぎの後席空間、パーソナルにもビジネスにもお応えするニューフォーマルセダン」と説明されています。
そのこともあり、特にインテリアかつ座り心地など「他モデルとは異なるのではないか」と言われていました。
クラウンセダンのインテリアカラーはブラックとブラウンの2色となり、コンソールやインパネ、ドアトリムなどに木目パネルを採用。
さらにショーファーニーズに対応する部分として、後席の装備も充実しています。
運転席・助手席背部には歴代クラウンにも採用されたアシスタントグリップやアームレスト一体型の操作パネルを採用。
さらに後席用エアコン吹き出し口には王冠マークが装着されるなど、前述のクラウンクロスオーバー、クラウンスポーツとは一線を画す仕様です。
実際に後席に乗り込むとクラウンクロスオーバーよりも余裕のある広い空間が確保されている他、着座ポイントも長距離移動でも苦にならない自然な姿勢となっていました。
※ ※ ※
新生クラウンシリーズとして登場した16代目ですが、クラウンクロスオーバー、クラウンスポーツ、クラウンセダンを実際に体感した印象はそれまでの「いつかはクラウン」という憧れから「みんなのクラウン」と言える存在に変わっていく印象を受けました。
クラウンはトヨタを代表するモデルかつ長い歴史を持っているため、幅広い層のファンが存在します。
「クラウン=セダン」というイメージを強く持つ人からは賛否両論ありますが、変わりゆく時代においてクラウンブランドを存続かつ進化されるには、4つのボディスタイルを展開するのはある意味、正しい選択だったのかもしれません。