最後の「スーパーカーじゃないタイプR」

ホンダFD2 シビックタイプR

今でもジムカーナなどに出ているFD2型シビックタイプRを見ていると、「これが”俺たちの”最後のシビックRだったな…」と思うことがあります。

初代EK9、2代目EP3と3ドアハッチバックが2代続き、DC5インテグラタイプR(2代目)と統合される形で2007年3月に登場したFD2シビックタイプRは4ドアセダンでしたが、まだ300万円を切る「現実的な価格」でした。

その後の400万円台、500万円台と、高性能でFF車のニュル周回タイム世界一であろうと容易に手が届かない2リッターターボのシビックRではなく、自然吸気のDOHC i-VTECをギュンギュン回す手頃な価格のタイプRは、FD2が最後だったのです。

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DB8以来の「4ドアタイプR」にオドロキ!

黒と赤でアグレッシブにまとめられたインテリアには、もちろんタイプRの象徴、チタン製シフトノブも備わり、一般的な4ドアセダンのイメージとは大きく異なる

1972年に初代を発売して以来、基本的には2BOXのFFハッチバック車であり、5ドアのバンやワゴン、2代目以降は4ドアセダンが追加されてもカローラクラスのコンパクトカーだったホンダ シビック。

6代目EK系”ミラクルシビック”に設定した初代EK9シビックタイプRも3ドアハッチバック車、7代目EU系”スマートシビック”はさらに大型化して国内仕様は5ドアと4ドアセダンのみですが、2代目EP3シビックタイプRだけはイギリスから輸入した3ドアでした。

2005年に8代目(この代から通称名を名乗らなくなった)になると国内仕様は4ドアセダンのみとなりEP3は輸入終了、残る3ドアクーペのDC5インテグラタイプRも標準車が売れないので次世代はありそうもなく、「いよいよタイプRも終わりかな?」と思いましたが。

2007年3月になって、「4ドアセダンで新型シビックタイプR発売!」と言われた時には、おいおいマジかよ!そんなので速く走れるのかよ!と思ったものです。

何しろ初代インテグラタイプRに4ドアハードトップ(DB8型)はあったものの、堂々たる3ナンバーボディの2リッター級4ドアセダンはキャビンも大きく、軽快感を全く感じさせません。

まさかDC5のタイプRが案外売れなかったので、K20AスペックRエンジンの在庫処分か…などと、今にして思えば失礼な事まで考えましたが、その心配はすぐに杞憂だとわかりました。

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