はじめてキャンプをする人にとっては、何を基準にギアを選べばいいのか困ってしまうかもしれない。
そこで「グッドオープンエアズマイクス」のギア担当・下坂有希さんに、ビギナーのための道具選びのコツを聞いてみた。
ベテランキャンパーにとっても役立つ情報があるかも?

ひとりでも建てられるテントとタープはソロでも活躍

「子どもが小さなファミリーキャンプでは、ひとりだけでテントを建てる状況が少なくありません。テントは大人ひとりで建てられるものがベスト」(下坂さん)。

うれしいことに、ひとりで建てられるテントはソロキャンプでも使える。

「パパハバは軽く、フレームが改良されてますます使いやすくなりました。タープは熱を遮るランデブーサンシールド。タープの開放感は『キャンプに来た!』という気分になりますよ」(下坂さん)

MSR/パパハバNX(9万8000円)
軽くて大人4人が横になれるバックパッキングテント。
ハブとスイベルで一体型となったポールはキャンプビギナーでも建てやすい。メッシュも多めで蒸し暑い夏も便利だ。

MSR/ランデブーサンシールド200ウイング(4万6000円) 
パパハバNXのドア部分を入れ込んでもゆとりのサイズ。
名前のとおり、紫外線防止指数UPF50+で強烈な夏の日差しを遮断するのでママも安心だ。

キャンプで使うライトはあたたかな光がベスト

燃焼系ランタンやLEDランタンもいいけれど、ひとつは持っておきたいヘッドライト。
眠る前に張り綱を確認する、洗い物を持って炊事棟へ行くなど、キャンプでは夜の作業が少なくない。

 「自由に両手を使えて手元を照らすヘッドライトは、キャンプの必需品です。白い光もありますが、やわらかな暖色系の光が目に優しくていいですね」(下坂さん)。

マイルストーン/MS-G1(3800円) 
暖色系の光にこだわっているマイルストーンのヘッドライト。
MS-G1は軽く、USB充電タイプ。
バンドで頭に取り付けるほか、付属クリップでストラップやテントのドアパネルに取り付けてもいい。

寝袋は封筒型とマミー型のハイブリッドマットは重ねて使おう

 「マットはとにかくいいモノを手に入れてください」とアドバイスする下坂さん。

いち押しはシートゥサミットのマットだという。
「シートゥサミットのマットはバルブが秀逸。空気の出し入れがとにかくスピーディーなんです」(下坂さん)。

寝袋は封筒型の広さ・ゆとりと、マミー型の暖かさを併せ持つハイブリッドタイプがベスト。

収納サイズはやや大きめとなるが、クルマ利用ならさほど問題はない。
春から秋の3シーズン使用を目指すなら、快適睡眠温度は5℃程度が目安だ。

チェアは座り心地に注目、テーブルは収納性と軽さも重視

テーブルとチェアはどうしてもかさばってしまうので、収納性と軽さに注目だ。

 「最近は座面が低めのロースタイルが人気です。アウトサイドインのチェアは軽く、座り心地も良好。別売収納ケースは端布で作られるので、オリジナル感を楽しみたい人は手に入れてみてください。テーブルは軽くて高さを2段階に調整できるコンフォートマスターバタフライテーブルの評判がいいですね」(下坂さん)。

アウトサイドイン/タビチビチェア(3万円)
ワンアクションでフラットにたためる軽量チェア。
背もたれは曲げ木で心地よく支えてくれる。自宅リビングでも違和感がないデザインが美しい。座面の生地を選ぶ楽しみもうれしい!

コールマン/コンフォートマスターバタフライテーブル/120(1万8000円)
設置も収納もワンアクションで完了。
重厚感ある天板だが、じつはメラミン樹脂やグラスファイバーなどからなり重量はわずか5.7kg。天板の高さは70、60、44cmの3段階。

薪がすっぽり入る焚き火台が結局一番使いやすい!

キャンプならではのお楽しみ、そしてキャンプでしかできない経験といえばなんといっても焚き火だ。

下坂さんによると「結局、キャンプ場で販売されている薪がそのまま載る焚き火台が使いやすい」とのこと。
ただでさえはじめてのファミリーキャンプは時間に追われるのに、ノコギリでいちいちカットするのは大変。

 「スタンダードなのはコールマンやユニフレームの焚き火台。今年発売されたTOKOBIも、フラットにたためて安定感があるのでオススメです」(下坂さん)。

ベルモント/焚き火台TOKOBI(1万3000円)      
シンプルな形状で、手持ちの網や鉄板を使える焚き火台。
オプションでピザ用の台やゴトクも登場し、好きなようにアレンジできる。

キンコ/カウハイドレザーグローブ(1800円、子ども用1400円)
焚き火をするなら、親子それぞれぴったりサイズのレザーグローブを手に入れたい。キンコのグローブは比較的安価で、キッズサイズも用意されている!

ファイヤーサイド/ファイヤーブラスター60(4300円)
親子で夢中になるのが火吹き。こちらはドイツ生まれでスリムなデザインとなっている。軽くて扱いやすいのもポイントだ。

ツーバーナーにこだわらなくてよし。風に強いタフなカセットコンロはいかが?

キャンプ=ツーバーナーのイメージが強いが、下坂さんは「こだわらなくてもいいと思います。カセットコンロを2つ並べると、ツーバーナーと同じ機能になるんですから」。

また、ガソリンやOD缶の扱いに慣れていないビギナーなら、鍋料理で親しみのあるCB缶を用いるコンロのほうが抵抗なく扱える。

CB缶仕様のコンロは風に弱く思えるが、近年は耐風性の高いモノが増えている。これもCB缶仕様のコンロを推薦する理由とのこと。

イワタニ/カセットフータフまる(1万円)
この手のバーナーには珍しく、風に強く、ダッチオーブンの重量にも対応するタフな構造でキャンプでの使い勝手がいい。
ジェリ缶をイメージした収納ケースもかっこいい。

シンプルだけどタフ。長く使える鍋が結局頼もしい

家族4人なら大(約3ℓ)中(約2ℓ)小(約1.5ℓ)、3つのクッカーがあると安心だ。

 「ゴーラはハンドルが取れるので重ねて収納できます。今年からフライパンやザルも別売りで登場し、まとめて運べるのもオススメできるポイントです」(下坂さん)。

ステンレス製でコーティングはなされていないが、その分、直火に載せてもゆがまない。長く使えるのでコスパ良好だ。

SOTO/ステンレスヘビーポット GORA(1万6500円)
3種類の鍋は1.8mm厚(ふたは1mm厚)のステンレス製で高火力にかけてもゆがみ知らず。
フタはつまみがないので鍋敷きや皿としても使える。

クーラーは25QTソフトと45QTハードを使い分ける!

「作る料理の量によりますが、1泊2日のファミリーキャンプなら、通常45QT(=約43ℓ)のハードクーラーで十分です。夏キャンプで飲み物を多く用意したい場合は飲み物用に25QT(=約24ℓ)を別に用意すればいいですよ」(下坂さん)。

近年は保冷力自慢のクーラーが人気だが、開閉時のロックをはずしにくいモノがある。
子どもや力の弱い女性でもロックを解除しやすいか、確認してから購入しよう。

大光量ランタンと小型ランタン。ふたつあると虫なんて怖くない

明るいLEDランタンが増えたが、やわらかな光の燃焼系ランタンは雰囲気良好だ。

 「LEDの光とは違い、燃焼系の大光量ランタンの光は虫を引き寄せることができます。この作用を利用して、テントから少し離したところに大光量ランタンを置くと虫嫌いの子どもとのキャンプでも安心です。テーブル上は虫が寄らないよう少し暗めのランタンで。2つあると便利です」(下坂さん)

フュアハンド/ベイビースペシャル276 (6000円)
決して大光量ではないが、マントル(発光体)を使わないのでランニングコストは良好。加圧なしの気軽さも人気だ。

コールマン/パワーハウスツーマントルランタン(1万9819円)
ホワイトガソリン使う中型ランタン。「トラブルが少ないのでビギナーでも安心して使えます」(下坂さん)。

GOOD OPEN AIRS myX
神奈川・横浜駅に近いアウトドア専門店。
キャンプ用品&ウエアはもちろん、釣り、MTB、そしてトヨタ自動車まで扱っており、トータルでアウトドア&カーライフを提案しているのがおもしろい。
キャンプ用品はココでしか手に入らない別注も多く、ビギナーからベテランまで“発見”がいっぱいだ。
https://www.goodmyx.com/

PHOTO/中里慎一郎 
TEXT/大森弘恵  
協力/GOOD OPEN AIRS myX
出典/ガルヴィ2019年6月号