みなさんはキャンプのギアをどう選びますか。ネットに情報があふれる時代、無数のレビューを見比べて、とりあえず無難なものを購入していた筆者。いつしか実物を手に取って選ぶ機会も少なくなりました。

そんな折、何気なく立ち寄ったのが個人経営のアウトドアショップ。選りすぐりのギアや珍しいガレージブランドなど奥深い世界が広がっていました。

ネットや量販店とは一味違う魅力を放つショップを巡る連載「ふらっとショップ探訪」。第15回は、兵庫県尼崎市にあるアウトドアショップ「Fratelli IT(フラテッリイト)」を紹介します。

階段から始まったユニークなショップ

JR尼崎駅から北に徒歩5分ほどに位置するフラテッリイト。キャンプ歴20年近くのオーナー・糸田川達三さんが2020年12月から本格的にオープンさせました。初心者が扱いやすい定番ギアからガレージブランドの珍しい品まで、豊富なラインナップを取り揃えています。

同店の入り口付近をよく見ると、象をモチーフにしたお馴染みの置物がチラリ。実は、家業として薬局を経営していた時の名残なんだそう。当時、糸田川さんは家業を手伝う傍ら、隣接する階段スペースでショップを運営していました。

階段で営業していたフラッテリイト

2年ほど続けるうちに品数も増えて手狭になり、閉店した薬局の店舗スペースを引き継いで今の形に落ち着きました。常連さんの中には階段時代から通う人もおり、親しみを込めて店を「イトさん」と呼ばれることもあるのだそう。

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コンセプトは「自分専用の道具箱」

子どもと一緒に楽しめる趣味としてキャンプを始めた糸田川さん。色々なギアを購入しては、イメージするサイズ感や使い勝手とは違い、お蔵入りになるケースも多々あったそう。そんな経験が「自分専用の道具箱のようなショップを作りたい」という思いにつながったといいます。

それゆえに、店に並ぶギアは糸田川さんが実際に使い勝手を試したものばかり。SOTO、ユニフレーム、MSRなどの国内外の有名ブランドのほか、Sombart(ソマビト)やAsimocrafts(アシモクラフツ)、野良道具製作所、RIVERS(リバーズ)といったガレージブランドも並びます。

その品数の多さは店を隅から隅まで見るのに2時間はかかるほど。幅広いメーカーを取り扱う理由について、糸田川さんは「大きなメーカーのギアは、大量生産で価格がこなれていて使い勝手の良さがある。一方で、ガレージブランドは痒いところに手が届いたり、ちょっと色気を出したりするのにいい」と語ります。