
業務成績を上げてボーナスの支給額を増やす目的で、警察官がボーナス時期に交通取り締まりを強化することはあるのでしょうか。
交通取り締まりをたくさんすれば給料アップは本当?
一般的に6月~7月はボーナス支給月と呼ばれ、警察でも民間企業と同様、6月に賞与が支給されます。
では、業務成績を上げてボーナスの支給額を増やす目的で、警察官がこの時期に交通取り締まりを強化することはあるのでしょうか。
民間企業では夏と冬のボーナスが一般的であり、公務員である警察官も6月と12月に賞与、いわゆるボーナスが支給されます。
民間企業のボーナスは会社の業績や個人の成績などをもとに決定されることが多く、警察においても勤務成績によってボーナスが増えるケースがあります。
警察官をはじめ、公務員に支給されるボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」で構成されています。
東京都総務局が作成した「給与制度の概要」という資料によると、期末手当とは「民間における賞与等の特別給との均衡上支給される手当」のことで、勤勉手当は「職員の勤務成績に応じて支給される手当」と説明されています。
つまり公務員の期末手当については民間企業での支給額に見合う金額が支払われ、勤勉手当は職員の勤務成績次第で変化する可能性があるということです。
ただしこれらの手当は、病気休暇中でない、停職中でないなどの条件を満たさなければ支給されません。
勤勉手当は一定期間における勤務率と業務の成績率によって支給額が変化するため、真面目に出勤することはもちろん、仕事で多くの成果を上げて好成績を残すことがボーナスアップのポイントといえます。
巷では「たくさん交通取り締まりをすると警察官の給料が上がる」といったウワサも聞かれますが、ボーナスが支給される6月や12月に交通取り締まりが増えることはあるのでしょうか。
結論から言うと、ボーナスの支給月に交通取り締まりの件数が特別増えるということはありません。
なぜならば、6月に集中して取り締まりをおこなっても、その月に支給される勤勉手当の査定にはほとんど影響しないためです。
たとえば6月の勤勉手当をアップさせようとした場合、基本的に前年の12月2日から6月1日までの期間が仕事の査定期間であり、その期間中に仕事の成績を上げる必要があります。
一方、12月に支給される勤勉手当の場合は6月2日から12月1日までの業務成績が評価の対象となります。
実際のところ、査定期間を強く意識して交通取り締まりをおこなっている警察官は多くないため、月によって取り締まり件数が大きく変動することはないと考えられます。
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噂「交通違反の反則金が警察官の給料になる」は本当?
さらに、警察官の業務成績は交通取り締まりの件数だけで評価されるわけではないことも理由として挙げられます。
具体的には、交番勤務の警察官であれば巡回連絡と呼ばれる各家庭を訪問する活動や職務質問による事件の犯人検挙、子どもに対する交通安全指導などの仕事も評価の対象です。
そのため、警察官がボーナスを上げようと思えば交通取り締まりだけでなく幅広い業務で好成績をあげることが重要といえます。
反対に、警察官が職務放棄や交通違反などで処分を受けた場合には、業務の成績率が下がるため、当然勤勉手当の支給額も減少します。
そのほか「交通違反の反則金が警察官の給料になる」といった声も一部聞かれることがありますが、事実ではありません。
違反者が支払った反則金は国庫に納められ、交通安全対策特別交付金として各都道府県や市町村に交付された後、信号機や横断歩道、道路標識、ガードレールなど交通安全施設の設置や管理のために利用されています。
警察官が給料をアップさせるためには巡査が巡査部長へ、巡査部長が警部補へというように試験を受けて昇任するか、毎年業務で成果を上げて昇給する方法があります。
しかし、昇任や昇給よりも年功序列によって給料が決まる部分も大きいため、年齢が若いうちは給料が大幅に上がりにくい実態もあるといえるでしょう。
6月は警察のボーナス支給月ですが、そのことによって交通取り締まりが急に増えることはありません。
ただし全国交通安全運動期間中や交通死亡事故が発生した直後、年末年始の警戒期間中などは取り締まりを強化する傾向にあるため、より一層の安全運転を心がけることが大切です。