今回は春エギングの実釣編です。春の朝夕はまだまだ肌寒く上着が必要な気温ですが、日中は半袖でも汗ばむほど。そして海の中は冬から春へと徐々にシフトし、生物たちも活発に動き始めます。
そんな変化に富む昨年のとある春の日、同じ開発メンバーの清水さんと、私のホームグラウンドである日本海エリアへ釣行してきました。その模様とともに、今回は「春イカ攻略のためにおさえておきたいポイント」をお届けします。

昨年の春は、シーズン初期から大型アオリイカの釣果が出ており好調のはずでしたが、実釣の直前で釣果の落ち込みがあり、厳しい状況と聞かされていました…。そんななか、少しでも潮通しがよく、釣果の確率が高い沖磯にポイントを絞り、馴染みの渡船屋さんに渡してもらえることになりました。
春イカは難しいとされています。さらに釣果落ち込みのタイミングでの取材。一級ポイントに渡してもらいましたが、どのような展開になるかはやってみなくては分かりません。

1.春は事前情報をしっかり調査!
経験と合わせて作戦を練っておこう

みなさんは一般的な春イカ釣りに、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
「大型のアオリイカが釣れるのは分かっているが、なかなか釣れない…」「釣れてもたくさんは釣れない。1日中釣りをして1杯程度…」など、比較的ネガティブな意見をよく耳にするように思います。実際、秋イカのようにかんたんには釣れませんし、基本的にねらいのポイントも少し違っていたりするので、難しいイメージを持つのが当たり前でしょう。

私自身、春イカをねらいに行ってボウズだったことは数えきれないほどあります。しかしながら、その回数は無駄だったとは思いません。現場に通うことによって見えてくることはたくさんありました。たとえば、イカが回遊しやすい場所やたまりやすい場所を知れたり、通うことで気付けたパターンやテクニックなど…。
今の世の中はインターネットやSNSの普及により、釣果が上がりだすと情報が出回ります。自身の経験やパターンだけでなく、そのような情報にも敏感になることは釣果への近道にもなります。

私の場合、毎年同じ場所でおおよそ釣れる時期を把握しており、特定の日をねらって釣行することが多くあります。大きな気候の変化や異常気象がない限り、大体は外すことはありません。日ごろからタイドグラフや海水温を確認しておくことで、可能性の高い日をねらい撃ちで釣行をすることが可能となります。
いずれにしても、事前の情報収集や準備がカギ。難しいとされる春イカを釣るために、前もって作戦を練っておきましょう!

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2.マズメ時はチャンスタイム!釣りに集中

さて当日は、渡船屋さんと最近の状況を確認しながら、釣れる可能性の高そうな場所へ渡してもらいました。
釣り場はアオリイカが産卵を意識して回遊してきそうな、藻のたくさん生い茂る潮通しのよいポイント。目の前には島が浮かんでおり、島との間は水道になっている沖磯です。

このポイントを選択した理由は、潮通しがよくベイトが豊富だから。春イカは基本的に潮流に乗って回遊する個体が多いものの、日本海エリアは(瀬戸内海などに比べると)比較的潮の動きが少ないのが特徴。なので、少しでも回遊するイカに出会う確率が高いだろう、潮通しのよいポイントを選んだというワケです。

(1)朝マズメはクリアカラーから

今回は渡船を利用して沖磯に渡してもらいました。沖磯は夜間は誰も釣りをしていない場所。すなわち、前回磯に上がった釣り人さん以来、誰も来ていない(=釣りをしていない)場所なワケです。24時間365日釣行可能な陸っぱりとは異なり、人的プレッシャーや場所取りといったストレスにさらされておらず、しかも、目の前に広がるポイント全てが自分のものになります。期待しかありません(笑)

準備を整え、まずはフルキャストしたい気持ちを抑えながら足下のブレイクや藻の周りを観察しました。運がよければアオリイカの姿を確認できるかもしれないので、目を凝らしましたが、残念ながら足下でイカの姿は確認できませんでした。しかし沖にはいるはずです! 気持ちを切り替えてエギをキャストすることにしました。


このような足下に藻の生い茂る場所や障害物の周りに大型のアオリイカが着いている場合があります

朝マズメのゴールデンタイム、潮もやや動いています。
朝一に選択したカラーはクリアベースのピンク色でケイムラタイプのエギ。このカラーを選択した理由は、日本海エリアは水質がよく透明度が高いため、クリア系を使用することで水中に溶け込みやすく、警戒心の高い春イカをナチュラルに誘うことができるから、というのがその理由です。


警戒心の高い春イカをねらうには、水中に溶け込みやすいクリアベースのカラーがオススメ

キャストできる範囲に潮目が入っていたので、迷わず潮目にエギを投げ込みました。着水後、エギをボトム付近までフォールさせ、大きく2・3回エギをシャクリます。同じ動作を何度か繰り返したときでした…。エギの重みでゆっくりと沈んでいるはずのラインが、水中に“スーッと”吸い込まれていきます。頭で「きたっ!!」と思ったと同時に、反射的にリールのスプールを手で押さえつつロッドを大きく煽りました!!

手元にはズシっとイカの重みがあり、ティップ(竿先)からはイカがエギを抱えてジェット噴射で抵抗している生命感が伝わってきました。慎重にロッドを立てながらリールを巻き、イカを寄せてきます。程なくして水面にアオリイカが姿を現しました。興奮する気持ちを抑えながら、慎重にやり取りを続けました。

アオリイカも岸近くになると決死の抵抗をします。抵抗(ジェット噴射)しているときは、イカの引きに合わせてロッドを下げる方がよいです。ロッドを動かす際(ロッドを下げる際)はテンションを抜かないように注意しましょう!!
それともう一つ! 春イカはペア(雌雄)で行動していることが多く、1杯釣りあげて寄せてくると背後にもう1杯ついてくることがあります。もし背後にイカの姿が見えたときは、同行者にエギをキャストしてもらいましょう! 反応することがあります!!


このように、1杯掛けた後ろにもう1杯ついてきたイカを釣り上げれることがあります

今回は背後にイカの姿はなかったので、清水さんにランディングネットですくってもらいました。そして、上がってきたのはオスのアオリイカ。1kg強のサイズでした。


朝マズメのゴールデンタイムに獲った、1kg強のアオリイカ(2)ちょっとした違和感やラインの動きを逃さない!

そのあとは満潮潮止まりのタイミングも重なり、朝一にオスのアオリイカをキャッチしてからは静かな海…(笑)。刻々と時間だけが過ぎ、太陽はかなり上の方まで昇ってしまいました。

満潮潮止まりから下げに変わったタイミングで、潮目が入ってきました。チャンス到来です! このタイミングを逃すまいと渾身のキャストを繰り返します。
日中となり、足下には小魚(ベイト)の姿が確認できます。エギのカラーをベイトの色に近い青色系に変更しキャストしました。底付近を中心に探りましたが、底付近の潮は効いておらずスカスカな状態です。そこで中層付近までシャクリあげると、潮が動いていました。


中層付近を探り、フォール中にアタッたアオリイカ。フォール中のアタリはラインのわずかな変化を目で取るしかありません

一度エギを回収して再度キャストします。今度は中層付近を中心に探りました。すると、中層付近を探っているはずなのに、フォール中のラインが止まりました。春イカでは、このような違和感やラインの動きに気付くことが大切です!! リールのスプールを押さえながらロッドを大きくアワセると、手元にズッシっとした重みが伝わりました。
ゆっくりとリールを巻きながらイカを岸近くへ寄せてみると、先程釣りあげた個体よりはやや小さなオスでしたが立派なアオリイカです。またまたタモ入れをしてもらい、無事にキャッチすることができました!!