だから“すり抜け”超危険! 「リアオーバーハング」にバス会社が注意喚起 社員は体で学ぶ

運転士は曲がる方向と逆側の後方確認もしています。

自分が痛い目にあいます

「みなさんは、“オーバーハング”という言葉をご存じですか?」

 愛媛県松山市に本社を置く伊予鉄グループが2023年4月中旬、同社の公式ブログにこう投稿しました。オーバーハング(overhang)とは英語で「突き出ている」「張り出している」状態や、そのような部分のことを表します。

 ブログでは「今回はバス(自動車)におけるオーバーハングについての話です」と続け、特に「リアオーバーハング」について解説と注意喚起を行っています。リア(rear)とは英語で「後方」のこと。つまり「リアオーバーハング」とは、車両の後輪から後ろを指します。

 これがどう危険なのか――バイクや自転車が、自動車の左側をすり抜けるのを見たことがある人も多いでしょう。自動車がバイクなどと並行していれば衝突することはありませんが、自動車、特にバスなど大型車両が進路を変える際は状況が変わってきます。

 普通自動車に比べオーバーハングが長いバスは、カーブを曲がる際や車線変更する際など、ハンドルをきった方向と逆側にリアオーバーハングが大きく振り出します。伊予鉄によると、その振り出し幅は車両長12mの大型バスなら1m近くにもなるそうです。そのうえで「片側1車線の道路でバスが右折を始めたら、左側をすり抜けて追い抜こうとする車がありますが、バスのリアオーバーハングの振り出しは大きく、大変危険です。バスが、交差点で右左折を始めた際には、無理に詰めたり追い抜いたりせず、温かい目で見守っていただければと思います」としています。

 もちろん事故の発生を防ぐべく、バス運転士も細心の注意を払っています。右左折の際は左右、それも前方だけでなくミラーで後方確認も徹底し、曲がる方向と逆側の後方にも目を配ります。なお伊予鉄では、リアオーバーハングの振り出しの危険性を認識するため、バス運転士に対して自転車を用いた体験講習を行っているとのこと。

 ちなみにバスが左折する際に、右側から追い抜こうとする自動車もありますが、前出の右折と同様、リアオーバーハングによって今度は右側にバス車体が突き出るため、車間によっては衝突する可能性があります。後続車は無理に詰めてはならないことはいうまでもありません。