イースターは「復活祭」とも呼ばれ、カトリックの国オーストリアでは、クリスマスに次ぐ重要なお祭りです。イースターは移動祝日のため毎年変わりますが、ほぼ3月後半から4月前半にあり、2023年は4月9日の日曜日とその翌日の月曜日(祝日)に盛大に祝われます。

イースターはキリストの復活を祝うお祭りとされていますが、春の訪れを喜ぶ日でもあります。イースターの起源を辿ってみると、キリスト教以前からある春の祭りという説もあり、長い冬の終わりを祝う、暦に基づいた祝祭です。

イースターを宗教的に祝うか、春の祭りの風習として祝うかは人によって様々ですが、パステルカラーの玉子やウサギのかわいらしい飾りがイースターマーケットで並んでいるのを見ると、心はウキウキしてきますね。



<フライウングのクリスマスマーケット>

オーストリアではこのイースターを前に、4週間かけて準備を進めていきます。今回は、そんなイースター前の習慣についてご紹介します。

目次

四旬節とは
心の準備を整える「嘆きの週」
イースター当日の過ごし方
まとめ

四旬節とは

キリスト教の暦では、謝肉祭が終わった2月ごろからの4週間が、イースター準備期間として「四旬節」と呼ばれます。この時期は一般的に、断食期間とされています。純粋に宗教的理由から断食する人は少数派ですが、ダイエットや禁酒、禁煙などの健康的な生活を送るきっかけにする人は意外に多いです。

家庭では、イースターの準備が着々と進みます。日本の大掃除のように、イースター前に家を掃除する習慣がありますし、イースターのデコレーションで華やかに飾ると気持ちも春めいてきます。町の広場ではイースターマーケットが開かれ、ショーウィンドーにはカラフルな玉子が並び、様々な飾り付けに心躍る季節です。



<シェーンブルン宮殿のクリスマスマーケット>

教会ではこの四旬節の時期に、祭壇が布で「隠される」という風習があります。この布がイースター当日に外され、祭壇が見えることで、目に見える形で「復活」を祝うという仕組みになっています。



<シュテファン大聖堂の祭壇も布で隠される>

心の準備を整える「嘆きの週」

この四旬節の最終週、イースター直前の一週間は「嘆きの週」(Karwoche)と呼ばれ、特別な行事と共に、イースターに向けて心の準備する時期になります。

イースター一週間前の日曜日「枝の主日」(Palmensonntag)には、特別なミサが行われます。この日にネコヤナギの枝を持ちより、各家庭で飾る風習があります。枝にカラフルに色付けされたイースターエッグを吊るすと、飾りつけされたクリスマスツリーのような華やかな雰囲気になりますね。ネコヤナギは、キリストがエルサレムに入城した際に民衆が手にしていた棕櫚の枝の代用で、寒冷地の欧州でも入手しやすい植物です。



<ネコヤナギの枝とイースターエッグ>

キリストの最後の晩餐から埋葬に当たる水曜日から土曜日の過ごし方は特に重要で、この期間は食生活や娯楽が一部制限されます。

最後の晩餐が「灰の水曜日」、磔刑当日が「緑の木曜日」と呼ばれています。「緑の木曜日」というのは不思議な呼び名ですが、これは「嘆く」と言う意味のグライエン(Greien)が「緑」を意味するグリュン(Grünn)になったという説が有力です。

この日は豪華な食事を避け、玉子にちなんだ目玉焼きと緑色のほうれん草に、ジャガイモをつけ合わせて食べます。



<「緑の木曜日」の夕食はシンプルに>

キリストが埋葬された日は「嘆きの金曜日(Karfreitag)」と呼ばれ、この日は菜食や肉食忌避とする人が多くなります。パーティーやダンス、歌関連のイベントもこの日は行われず、劇場ではキリストの受難をテーマとした作品(オペラ「パルツィヴァール」、ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」等)が上演され、磔刑を舞台化した受難劇が上演されるところもあります。翌日の土曜日も同じく、静かに過ごすのが良いとされています。

さらに、木曜日から土曜日の夜までは、教会の鐘が一切鳴りません。これは鐘の祝祭的な音を控え、静寂で嘆きを表現するためなのですが、子供向けには「鐘がローマに飛んで行ってしまった」という理由付けがされています。

オーストリアではこの時期、教会の鐘の代わりに、子供たちが「ラッチェン」と呼ばれる音の出る器具を回しながら家々を回ります。



<歯車が回転して音が鳴るラッチェン>

イースター当日の過ごし方

こうして悲しみを様々な形で表現した末にやっと訪れた日曜日が、イースター当日です。心の準備が十分できていればいるほど、イースターの喜びもひとしおです。

イースターの日曜日は、のんびり過ごすブランチタイムが人気。子供がいる家庭はこの日にイースターネスト探しを楽しみます。庭にカラフルな卵やお菓子を入れた鳥の巣形のかごを隠し、ワイワイと探す様子はまさに春の風物詩。おもちゃやプレゼントを隠す家庭も多く、第二のクリスマスのように子供たちはプレゼントを喜びます。



<イースターネスト>

大人たちの間でプレゼントを贈る風習はあまりありませんが、イースターのために特別に準備されたハムやケーキをゆったりとした気持ちで食べるだけでも、祝祭的な気分が高まります。

この日にミサに出かける人も多く、四旬節の間布で覆い隠されていた祭壇を久しぶりに目にすることで、キリストの復活を実感する人も多いようです。翌日の月曜日も祝日のため、ゆったりとした気持ちでイースターと春の訪れを楽しむことができますね。

まとめ

オーストリア人にとって、イースターはその日限りのお祭りではなく、4週間かけて心の準備を整えることで、一層春の訪れを喜ぶことのできる日です。宗教的な背はあまり気にせず、伝統や風習として行事をこなす人が多く、生活に根差したお祭りとなっています。

春の訪れをより一層喜び、家族みんなで気持ちを盛り上げていくイースター。春の訪れを喜ぶ気持ちは、古今東西変わらないのですね。

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