歴代で最もスポーティなトヨタ新型「プリウス」は、年明けにハイブリッド車が登場

■ハンマーヘッドをモチーフとした特徴的なフロントマスクがスポーティさを強調

2022年11月16日(水)、トヨタ自動車は新型プリウスを世界初公開しました。シリーズパラレルハイブリッド車(HEV)は2023年年明け、プラグインハイブリッド車は2023年春頃の発売予定となっています。


サイモン・ハンフリーズ氏と新型プリウスの2ショット

発表会では、グローバル・トヨタ・デザイン担当シニア・ジェネラルマネージャーであるサイモン・ハンフリーズ氏が登壇し、1997年にデビューしたプリウスをはじめとしたトヨタのハイブリッド車の功績を振り返りました。


新型プリウスHEVのフロントスタイル

そして、[♯いつまでハイブリッドを作り続けるのか]という声に対して、「プリウスは[みんなの手が届くエコカー]だからどうしても残さないといけない。プリウスはマジョリティのための、多くの人に手が届くクルマであり、一部の人だけではなく、すべての人が運転できるクルマ、それが最大の強みであり、存在理由です。だからこそプリウスは、絶対に失ってはならないブランドなのです。さらにカーボンニュートラルの実現に向けては、世界中の人が協力しなければならない」と語りました。


新型プリウスHEVのリアスタイル

世界初公開された新型プリウスは「Hybrid Reborn」をコンセプトに、「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」を併せ持つエモーショナルなモデルへと進化しています。

●プラグインハイブリッドのEV走行距離は従来比50%以上に

新型プリウスは、プリウスのアイコンとも言える「モノフォルムシルエット」を継承しながら、第2世代TNGAプラットフォームを採用。


新型プリウスPHVのフロントスタイル

これによってさらなる低重心化を図るとともに、19インチ大径タイヤを組み合わせることで、スタイリッシュなプロポーションを実現しています。ちなみに、大径としたため、その分タイヤ幅は195サイズとやや細くなっているのも特徴です。


新型プリウスPHVのリアスタイル

ハンマーヘッドをモチーフとした機能性とデザイン性を高次元で両立したフロントデザインと、薄型一文字のリアコンビネーションランプを配したリアデザインで先進性を引き立てています。


bZ4Xと同じデザインで構成された新型プリウスのインパネ

インテリアは、「アイランドアーキテクチャー」をコンセプトに、圧迫感のない広々とした空間と運転に集中しやすいコクピットを両立しました。黒を基調とした室内全体に、インストルメントパネルとシートステッチ加飾をコーディネイトすることにより、スポーティさと上質感の両方を演出しています。

また、インストルメントパネルには、トヨタ初採用の「イルミネーション通知システム」を設定。アンビエントライトとして室内を彩るだけでなく、トヨタセーフティセンスと連動する新機能をデザインに取り入れています。

カメラやセンサーなどが対象物を検知した際に、アラームが鳴る前にイルミネーションが点滅して、ドライバーに注意喚起を行います。


新搭載された2Lエンジンのハイブリッドシステム

新型プリウスに搭載されるパワートレインは、従来の1.8Lエンジンのハイブリッドシステムに加えて、システム最高出力193psを発生する2Lエンジンのハイブリッドシステム、そしてシステム最高出力223psを発生する2Lエンジンのプラグインハイブリッドシステムの3種類を用意。

プラグインハイブリッド車のEV走行距離は、従来型に比べて50%以上向上。日常生活の大部分をEV走行のみでカバーできるように、バッテリー性能を向上しています。また、充電中にパワースイッチを入れると、外部電源の電力を利用してエアコンやオーディオの使用が可能になる「マイルームモード」を設定しています。

●多くの人に手が届くエコカーとしての使命


新型プリウスのフロントシート

駆動方式は、2WDと最新の電気式4WDであるE-Fourを搭載。高出力モーターの採用などにより、雪道をはじめとした低ミュー路での登坂性能や、旋回時の安定性が向上しているのが特徴です。

安全性能は、先進機能を追加した最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備。さらに、高度運転支援システム「アドバンストパーク(リモート機能付)」を設定し、スムーズな駐車を自動で行うことができます。


新型プリウスのリアシート

また、家庭用電気機器が使用できるアクセサリーコードを、センターコンソール後端とラゲッジルームの2ヵ所に設置。エンジンを始動せずにバッテリーだけで給電する「EV給電モード」、バッテリー残量が低下するとエンジンで発電する「HV給電モード」を選べるようになり、さらに便利になっています。

また、プラグインハイブリッド車には、太陽光をより効率良く電気に変える第2世代の「ソーラー充電システム」を設定。1年間で走行距離約1,250km分に相当する電力を生み出すことができます。


深さ、奥行きタップリでフラットな床が特徴のラゲッジルーム

欧州などでは「ハイブリッド車はエコカーではない」という声も高まっていますが、BEVだけがカーボンニュートラルや地球温暖化に対する答えにはならないと思いますし、トヨタが行っているように様々なエネルギーを使うことが大切だと考えています。

明るい未来のためには、少しでも多くの人がエコカーに乗らないとなりません。そんな多くの人に手が届くエコカーは、現在のところ、プリウスをはじめとしたHEVであるということでしょう。


サイモン・ハンフリーズ氏と開発責任者の大矢賢樹氏。そしてプロダクトチーフデザイナーの藤原裕司氏


新型プリウスのサイドビュー。ルーフの傾斜が鋭角になった

これまでハイブリッド車は退屈だと言われてきましたが、この新型プリウスの放つオーラは間違いなく、高いスポーティ性能によるものです。

カッコ良くて、楽しくて、燃費の良い新型プリウス。実車を見て、早く乗ってみたくなりました。

(文・写真:萩原 文博)