今回は秋エギングの実釣編です。朝夕は肌寒くなってきましたが、日中は半袖でも汗が流れるほどまだ強い日差しが残る初秋。そんななか、兵庫県の日本海方面をホームグランドとする開発課メンバーの小南さんから、アオリイカが好調との話が舞い込んできたので、早速取材に出掛けてみました。
釣り場は「サーフ」「地磯」「堤防・漁港」と、それぞれがまったく違う特徴を持った場所。セオリー通り上手くいくのか…? 実際に足を運び目で見た情報と、事前情報を照らし合わせながら釣りを展開してみましたが、そこはやはり自然相手の難しさがありました…。



といったワケで、実釣レポートを通じてそれぞれの場所、シチュエーションの紹介と、対応した状況を解説してみたいと思います! 今年の秋イカエギングは終盤に向かっていますが、ぜひともご参考ください。

1.昼間のサーフ



個人的に、サーフエギングはローライト(朝・夕マヅメ)や夜間がよいという印象です。夜行性のアオリイカは、暗くなると捕食活動が活発になり、ベイトを追い込みやすい浅瀬に回遊してくるからです。そのため、遠浅のサーフだと日中は釣れにくいのでは? などと思ってしまいます。とくに、日本海は透明度が高く、浅瀬であれば海底まで太陽光がしっかりと届いてしまうのでなおさらです。



しかし逆に、そのようなイメージから竿抜けポイント(≒手付かずの釣り場)になっている可能性も考えられます。
人的なプレッシャーが少なくて潮が動いているタイミングであれば、アオリイカはすぐにでもエギに反応するはず。サーフのような浅瀬が広がる釣り場では効率を重視して、潮目やシモリなどの目に見える変化をテンポよく探るのがポイントです。

 

(1)やはり手ごわい日中…


サーフに到着したタイミングは上げ潮5分程度で潮が動いており、潮が当たると聞いていた側には潮目もはっきりと見えていました。ハイシーズンでありながら(平日の昼間ということもありましたが…)エギンガーを1人見かけた程度の、釣り人がひじょうに少ないサーフ。唯一の先行者が釣りをしていた側に潮目があり、イカが回遊してきそうです。
釣り場も広かったことと、回遊さえあれば釣られたあとでも問題なく釣れるだろうと思い、先行者との距離を取って潮の当たる側で釣りを開始しました。



最初に選んだエギはナチュラルなクリア系カラーです。目視できる範囲内にあるシモリをねらって、中層付近をテンポよく探ってみましたが、残念ながら、まったくと言っていいほど反応を得ることができませんでした。
先行者も少なく潮も動いているタイミングなので、ハイシーズン中ということを考慮すれば何かしらの反応があるはず。同行していた小南さんに状況確認してみると、先日来たときよりも水質が悪くなって(濁っている)、見えイカがほとんどいなくなっている…とのこと。発見できた見えイカをサイトフィッシングでねらってみても、反応はなかったそうです。

そんな状況ではありましたが、ほどなくして「イカが追いかけてきた!」と小南さんの声。近づくと、波打ち際寸前までアオリイカが追いかけてきています。波打ち際にエギを着底後、ステイさせることで見事にヒット。見るとエギのカラーはオレ金でした。
聞けば、数日前と比べて海がささ濁りであると感じ、シルエットがはっきり目立つカラーにしたところ、反応があったそうです。



結局、この釣り場では小南さんがなんとか波打ち際まで追いかけてきたイカをキャッチできた程度。本来とは違ってやや濁りが入っているからなのか反応が少なかったため、状況的にはあまりよくないと考えて、早々に場所移動しました。

(2)実際にやってみないと分からない

日中というイカが警戒心を抱きやすい時間帯、しかも先行者がいたことから竿抜けポイントとはなっておらず、日中サーフらしいシビアな状況だったと考えられます。なので、「よりテンポよく広範囲を探る」のがよかったかも? そして、普段よりもやや濁りが入っていたことから、日本海のセオリーであるクリアカラーよりも、この日はシルエットがハッキリするカラーに軍配が上がったのだと思われます。



自然相手なので、実際にやってみないと分からないことが多く、「粘るのか?」「移動するのか?」という見極めも難しいところです。今回の場合、潮が動いており釣り人も少なかったにも関わらず、「濁り」という悪条件に加えてイカの反応がなかったということで、素直に「低活性」「警戒心が高い」といった、釣れにくい状況だったと考えられます。

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2.夕方の地磯



地磯は滑りやすく足場が悪いので、私はあまり行かないポイント…(笑)。同じような考え方の釣り人がいるからなのか? 釣り人が少なく、イカの警戒心が低いことが多い釣り場です。釣りをする際は、必ずスパイクシューズを履いてください。



訪れた地磯は、先ほどのサーフ同様にエギンガーが1人いた程度。やはり、人的なプレッシャーが低そうです。見えイカが発見できれば、サイトフィッシングで反応を見てみたいところ…。
もし好反応であればイカの警戒心が低いと判断できます。イカはエギに気付きさえすればすぐに釣れる可能性があるので、広範囲をテンポよく探るのがベター。じっくりと探って反応を「待つ」というよりは、こちらから「探す」というイメージで探るのがポイントです。

 

(1)イカの反応は良好!


満潮潮止まりの2時間ほど前に到着。先ほどのサーフから近い位置にある地磯ですが、水質が少しよいように感じました。おそらく潮通しがよくて濁りが抜けるのも早かったのでしょう。さらに、先ほどよりも水深があって、所々に藻が生えているようです。
釣りを開始して早々に、岸際のシモリに数杯で群れている見えイカを発見できました。まずは警戒心の具合を確認するため、サイトフィッシングで反応を見てみることにしました。

イカの後方を目掛けてキャストし、着水後すぐにダートアクションを加えると、身体の向きを変えてエギに寄ってきました。そして、すかさずフリーフォールさせると迷わず抱いてきました
群れでいたためエサを取られないようにと、われ先に抱いてきたのかもしれません。先ほどのサーフとは違いイカの警戒心は低く、私たちにとってひじょうによい状況です。少しでも釣果を伸ばすため、引き続き手前側から少しずつ広範囲に高活性なイカをねらっていくことにしました。






数杯ヒットさせたのち、徐々に反応が悪くなってきました。アオリイカの警戒心が高まったこともありますが、ちょうど潮止まりを向かえたタイミングも影響したのかと考えられます。見えイカもいなくなり、手前での反応がなくなったので、ここで沖側の反応を確認することにしました。しかし、中層を早めのテンポで広範囲に探ってみたものの反応は得られず…。やはり、潮止まりの時間帯は釣ることが難しいようです。



一旦小休止したあと、また潮が動き始めました。ちょうど夕マズメと重なる好タイミングであったことから急にアタリが出始め、隣で釣りをしていた小南さんがヒット! そして数分後に私もヒット!! そのまま時合い突入かと思いきや……、期待に反してアタリは続いてくれませんでした…。
とはいえ、連発とまではいかなかったまでも潮が動きだしたタイミングでのヒット。考えていた通り、潮の動きが重要だったと言えるでしょう。

(2)イカの反応は潮の動きに影響している!?

地磯での状況を振り返ると、日中の潮止まり前に到着してサイトフィッシングで数杯ヒット。そして、徐々に反応が減り、アタリが完全になくなったのがちょうど潮止まりのタイミングでした。次に反応があったのは、潮が動き出した夕方のタイミングといった具合です。



釣り人が少ない地磯のようなポイントは、イカの警戒心が比較的低いポイントです。さらに、雨風などの影響がないのであれば、イカはエギに好反応をしめすことが多いように感じます。ところが、そのような好条件にもかかわらずイカが反応しないときは、潮の動きが大きく影響していると考えられます。
イカの反応が得られない場合は、タイドグラフで潮汐を確認してみてください。効率よく釣りをするために、潮が動いているタイミングや、潮の動き出しなどの潮流の変化をねらって釣りをするとよいでしょう。また、潮止まりは休憩や場所移動の時間に使うとより効率的です。