※本記事はDAN JAPANの公式ブログ「Divers Helping Divers」2019年1月8日の投稿からの転載です

慣れていない重いタンクを使用したため、潜降中に背中側にひっくり返ってしまった

報告されたケース

今回のダイバーは、経験豊富なダイバーでしたが、他のダイバーより空気の消費量が多いことを自覚していました。このため、グループでダイビングする際、空気消費量が少ないダイバー達も彼のために潜水時間を短縮しなくてはならず、周囲に迷惑をかけていると感じていました。

担当インストラクターは「サイズの大きなスチールタンクで潜れば、水中で呼吸可能な空気量は増加する。でも、タンク自体が重いため、今までと同様の浮力にするためにウエイトを減らさなくてはならない。」とアドバイスしました。

また、マイナス浮力のスチールタンクを使用する際には、注意しないとタンクに引っ張られバランスを失いやすいことを説明し、水中でのタンクの扱い方も指導しました。そして、通常5kgつけていたウエイトを、3kgにすることをアドバイスしました。

その後、ダイバーは大きなスチールタンクを使用して通常通りに潜降を開始し、圧平衡(耳抜き)を始めましました。しかし、スチールタンクの重みで潜降中に後ろに引っ張られ、徐々に足が上の姿勢になり始めた結果、潜降速度が加速し耳抜きをするのが難しくなりました。

また、上下逆さになったため、呼吸のたびにレギュレーターの排気バルブから水が入ってくるという問題が生じました。そして、海水を飲んだために、レギュレーター越しに吐いてしまいました。

そこで、ダイバーは潜降を止めるためBCDを膨らませ、姿勢を安定させた後に圧平衡(耳抜き)が可能な深度まで浮上して、吐き気を止めようとしました。そして、担当インストラクターに「水面にまで浮上し、少し落ち着いた後にウエイト調整の必要がある」と合図しました。

その後、このダイバーはツアー最終日までに余分なウエイトを減らし、スチールタンクの重さだけで素晴らしい浮力コントロールができるようになりました。

専門家からのコメント

アルミからスチールのタンクに替えるというアドバイスは、「過剰な空気消費から来る不安感を取除くため、水中に多くの空気を運ぶ」という意味では良かったと思います。担当インストラクターは新しい器材構成への助言をし、この器材構成だといくつかの難点があることを指摘したのも、正しかったでしょう。

通常、トレーニング中には「器材の構成を変更した場合には、管理された環境(プールや限定水域など)で試してみる必要性がある」と指導されます。ダイバーは、問題が発生した場合に立つことが出来る浅い水域で、浮力やウエイトの配置を調整し、試すことによって、浮力をコントロールできるようになります。

海で実際にスチールタンクを使用する前に、まずプールで新しい器材構成を試すようにしていれば、より安全な環境で問題を発見でき、ダイバーにとって利益は大きかったと思います。担当インストラクターがすべて管理して練習するのではなく、アシストだけでダイバーが新しい器材構成の練習を出来れば、海に行った時さらに自信を持ち落ち着いてダイビングができたでしょう。

もし今回のダイバーがもっと経験やトレーニング不足だったならば、パニックになって急浮上し、より重大な事故になっていた可能性もあります。

今回のケースで得られた教訓


●インストラクターと、器材や装備の構成の問題を解決するため一緒に潜るのは、とても良い事です。

●特殊な装備を初めて試す場合は、正式なトレーニングを受けてからダイビングしてください。

●新しい器材に慣れるため、プールや限定された水域等の環境で試すようお勧めします。

– Brian Wake

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