東京にある個性的な地ビールブルワリーを訪問。醸造所を見学しながら、ビール造りにかける思いをインタビュー。併設されたレストランや売店にも立ち寄り、そのブルワリーならではの地ビールの魅力を探る。

今回は、地元・三鷹産の原料を使ってビールを造る「OGAブルーイング」を訪れた。

■キーワードは都市農業。三鷹で原料を栽培してビールを醸造


立ち上げたのは広告デザイン業を営んでいる社長の小笠原恵助さん

東京の多摩地区には意外にも農地があり、いま注目の都市農業が実践されている。東京の三鷹を拠点にする「OGAブルーイング」も、契約農家で原料を栽培し、都市農業をキーワードにクラフトビールを造っているブルワリーだ。

OGAブルーイングは、広告デザイン業を営んでいる社長の小笠原恵助さんが立ち上げた。ビール好きの小笠原さんは、ゆくゆくはビール造りをやってみたいと同じ三鷹でビアパブを運営していた。そして2019年にビアパブの常連客の出資を受けてスタートした。


社長の小笠原恵助さん

ブルワリーでは、「クラフトビールを飲み始める人を増やしたい」というコンセプトのもと、三鷹というフィールドを活かしたビール造りを展開。初年度から地元の原料を使ったビールを模索。三鷹市北野にある小麦農家と契約し、ホップ栽培を始めた。2年目には小麦、3年目には大麦と作物も増やしていった。

「ホップ、小麦、大麦ときて、ゆくゆくは酵母の培養もできたらと考えています。目指すはオール三鷹産。ビールの原料を知らなくても、三鷹で原料を作っていると聞けば、そこから興味がわいてくるはず。コロナが落ち着いたら、収穫イベントもやってみたいですね」と小笠原さん。


採れたばかりの三鷹産ホップ

今年のホップの収穫日は、取材日前日の9月6日だったそう。仕込みや発酵・熟成を経て、10月初旬には2022年のヴィンテージがラベルに入ったビールが登場する予定だ。

そのほかにも、三鷹にゆかりのある漫画家がラベルデザインをしたビール、地元・東京ヴェルディのオリジナルビール製造、中央線の駅をイメージしたビールなどを製造販売して、地元のクラフトビールファンを増やそうと取り組まれている。さまざまな入口から三鷹のクラフトビールを盛り上げているのがOGAブルーイングなのだ。

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■三鷹の原料を活かしたレシピが造れる醸造設備


豊富なラインナップを誇るOGAブルーイング

OGAブルーイングの定番といえるビールは、イングリッシュペールエールの「三鷹ペールエール」。イギリスのスタイルを定番にしたのは、小笠原さんがOGAブルーイングを設立する際にロンドンのビアパブから生まれるコミュニティに注目したから。いまもその思いに変わりはないが、ブルワリーではさまざまな人の好みに合うように、やさしいウィートエールやホップをきかせたIPAなどもラインアップされている。

こうしたものづくりを再現するために、3つの仕込み釜が使用されている。現在は、2つの仕込み釜を使って効率的に造られる醸造所が多いが、3つを使うことでより細かいアレンジがききやすくなるという。


OGAブルーイングは、ビールの仕込み釜を3つ使用するスタイル

「ビール造りは、三鷹産の原料の特徴を活かしながら、そのスタイルのビールを造るべきだと考えています。そのため、原料が元のスタイルと違っている場合は、レシピでアレンジしています。こうした考えは広告デザイン業で培った考え方が活かされる部分。スタッフとともに白いキャンバスに絵を描くように打ち合わせを重ねてビールを造っています」

三鷹の原料で三鷹の人の手で造られるさまざまなスタイルを味わってみよう。

●三鷹ペールエール
スタイル:イングリッシュペールエール
アルコール度:5.0% IBU:25
「色、香り、味わい、余韻」のすべてを楽しめる、クラフトビールの基本形であるOGAの定番ビール。ゆっくり温度帯をあげながら味わうのもおすすめ。

●三鷹ウィートエール
スタイル:ウィートエール
アルコール度:6.0% IBU:37
香り高いホップを使い、小麦のやわらかさで苦味を包み込むアメリカンウィートスタイル。すっきりキレがあり、小麦のビールが苦手な人にもおすすめ。

●吉祥寺KICHIJOJI IPA
スタイル:アメリカンIPA
アルコール度:6.0% IBU:45
今のクラフトビールシーンで常にトップを走り続ける、王道の大人気スタイル。ホップの苦味に特化したビールはハマること必至!