見るモノ見るモノが不思議!フィンランドの素敵が詰まった京町家カフェ

学問の神様・北野天満宮の一の鳥居を出て、今出川通を東に3分ほど歩き、2筋目を上七軒通に向かって歩くと、壁に昭和レトロな看板がいくつも飾られた不思議な建物が見えてきます。その建物の隣、同じようにベンガラ色の壁が目印の京町家が「フィンランドカフェ ポーヨネン」です。

何のお店だろう? と初めて通りかかったときからとても気になっていた、独特の存在感を放つお店。店内もやはりカオスです。カウンターにいらっしゃるのは店主のえみぞうさん。フィンランドが好きで、何度も訪れて、行くたびに好きになり、その回数が10数回を超えた頃、とうとう自分でお店を開くことにしたそうです。

この物件を見て、カウンターの前に並ぶ赤いハイスツールを見た瞬間、「あ、フィンランドっぽい」と思ったそう。フィンランドのどの町にも昔からあるカフェをそのままイメージした店づくりをされています。

ショーケースには、異国のお菓子や調味料など見たことのないものがいっぱい。「これは何に使うの?」「どんな味なんだろう?」と謎は深まるばかり。フィンランドの人気キャラクター・ムーミンのパッケージがかわいいドロップもあります。

奥に行くと、京町家の名残そのままに、タイル張りのハシリ(流し台)とおくどさん(かまど)があり、その上にも所狭しとフィンランドからやってきたヴィンテージ雑貨や小物、ファッションアイテムなどが並んでいます。フィンランドの人気ブランド・マリメッコの靴までありました。

フィンランドといえばサンタクロース、サンタクロースといえばトナカイ。そう、このバッグはトナカイの革で作られています。革の厚みは薄めで、柔らかくて滑らか。それなのにとても丈夫。手に触れたときのしっとりとした質感がたまりません。

奥から見た店内。走り庭(ハシリの置かれる通り庭)の上には火袋と呼ばれる吹き抜け。京町家の特徴がそのまま残されているので、そのあたりもみどころ。(吊してある鮭が気になりますが…)。店内を見回していると時間が経つのを忘れてしまいます。

お店では不定期でイベントも開催されています。イベント会場は、一度店を出て、隣の町家。アートの展示やフィンランドを体験できるワークショップなどが行われます。興味のある人はSNSをチェックしてみて!

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北欧の国、フィンランドの伝統的な家庭料理を味わう

さて、一番のお目当て、フィンランド料理の登場です! フィンランド料理で有名なのはサーモンとジャガイモがたっぷり入ったサーモンスープや豆のスープなど寒い地方ならではのさまざまなスープ料理や、ジャムをつけて食べるミートボール、ラーティッコと呼ばれるマッシュした野菜をオーブンで焼き上げた料理など。どちらかというと素朴な料理が多いそうです。

その中から、今回オススメしていただいたのは、ジャムをつけて食べるミートボール!

さて、実食。人生初のフィンランド料理です。ミートボール美味!味の決め手はやはりジャム。リンゴンベリー(コケモモ)のほのかな甘みとしっかりとした酸味が、肉の味にうまみと深みを足してくれます。個人的にめちゃくちゃ好みの味。お米やパンの代わりの主食がじゃがいもなので、ビタミンCやビタミンB2、カリウムなどの栄養素を一緒に摂れるのがいいですね。

付け合わせにたっぷりと盛られたマッシュポテト。フィンランド料理ではマッシュポテトが主食。口どけよく滑らかに仕上げてあります。

「北欧カラーのサラダそうめん」800円

もう一品がこちら。えみぞうさんによる「日×フィン折衷」の創作料理。日本からは夏を代表する食材のそうめん、フィンランドからはショーケースにあった謎の調味料、リンゴンベリーパウダーと塩、すりごまで味をつけます。

そうめんを染める淡いピンク色は天然無着色のリンゴンベリーのパウダー。日本の食材でいえば紫蘇のようなイメージで、すっきりとした酸味をプラスしてくれます。彩りもよくて、夏バテしやすい暑い季節にぴったり。

これらの料理の元になるのはフィンランドのカフェで食べておいしかった料理などを記した秘密のネタ帳。この中から季節や手に入る材料にあわせて、不定期でさまざまなメニューが登場します。次に訪れたときにはどんなフィンランド料理と出合えるのか? そんな楽しみもあるお店。

コーヒーの消費量が世界一ともいわれるフィンランドで、一番人気のコーヒーブランド「ユフラ・モッカ(JUHLA-MOKKA)」の豆で淹れたコーヒーで食後の一服。