日本の道路は世界的に見ると数が少ない左側通行。そのため日本で販売されている国産車は右ハンドルが当然となっています。イギリスやオーストラリアなども左側通行なので右ハンドルがスタンダードとなっていますが、世界のほとんどの国が右側通行&左ハンドルです。

そのため、かつて「輸入車」と言えば左ハンドルなのが当たり前でしたが、現在日本市場で販売されている輸入車のほとんどは右ハンドルとなっています。

輸入車を選ぶユーザーにとっては嬉しいことでもありますが、なぜ輸入車の右ハンドル化が進んでいるのでしょうか?

かつては左ハンドル=輸入車のステータスだったが…

輸入車メーカーが日本に日本法人を設立し、日本市場での販路拡大を図り始めた1990年代ごろは、輸入車といえば左ハンドルなのが一般的なイメージでした。

不便な部分もありましたが「そういうもの」と捉えられていましたし、左ハンドル=輸入車という図式が成り立っていて、左ハンドルに乗っているのがステータスと捉えられることもあったのです。

その名残りなのか、駐車券発券機の前で「左ハンドルはコチラで」と表示されている駐車場は、地方よりも都心部が多いという印象がある人もいるのではないでしょうか。

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しかし、日本市場での輸入車の販売台数が増えてくると共に右ハンドルが選べる、そして右ハンドルのみの車種もどんどんと拡大していきました。そして今や主力モデルのほとんどが右ハンドルのみと言える状況に。

こうなった理由は、日本市場でより売れるようにするためというのが大きいでしょう。やはり日本では右ハンドルの方が乗りやすいし、慣れている人も多く、日本の交通事情で運転しやすい右ハンドルならば購入に対するハードルも下がって、今までより身近な存在となります。

高級車あるあるだった立体エンブレムが少なくなった理由はやっぱりアレが原因

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輸入車ブランドも「高級路線」を辞めたがっている?

また、かつて輸入車はある種のステータスシンボルでしたが、現在はその価値観は少し薄まりつつあります。

なぜなら、各ブランドのマーケティング戦略によっても異なりますが、現在の輸入車ブランドはかつてのステータスシンボルという存在から一部脱却し、「とっつきやすい」存在になりたいという考えもあるからです。

六本木にあるMercedes me Tokyoは、ショールームとカフェスペースを併設したメルセデス・ベンツのブランドストアだ

クルマを買わなくても立ち寄れるブランド展示スペースなどがその最たる例でしょう。これらはブランドを知ってもらうのが主目的ですが、誰でも立ち寄れるようにして、高級で立ち寄りがたいイメージを覆したいという狙いがあります。

輸入車だからといって尻込みするのではなく、購入を検討する人にとって国産車と同じような土俵に立つ選択肢の一つになるためには右ハンドル化は必然といえるでしょう。

コスト的なハードルも下がり、外車の右ハンドル化は容易に

さらに、技術の進化も外車の右ハンドル化に大きな影響を与えています。かつてはワイヤースロットルを始めとして、ドライバーから与える各種操作が機械的に各機構に伝えられていました。

しかし、電子スロットル化やステアバイワイヤなどに代表されるように、ドライバーの操作を電気信号に変えて各機構に伝えられるようになったため、レイアウトの自由度が高くなり、どちらのハンドルレイアウトをラインアップする場合でも、コスト的なハードルが低くなったのです。

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近年は各メーカーがグローバルモデル化を進めているので、右ハンドルの国でも車が売れるようにする必要があります。製造を考える段階でそのことも加味して開発しているとなると、昔よりも右ハンドルを用意するコスト的なハードルは低くなっているでしょう。

今や「左ハンドル仕様しかない」というのは超高級なモデルに限定されるようになりました。日本市場で右ハンドルが増えてきたのは輸入車ブランドにとってそれだけ日本が魅力的な市場であることの表れともいえます。

右ハンドルの輸入車が増えることで、実質的な車種の選択肢が増える人も多いでしょうし、日本のクルマ好きにとって輸入車の右ハンドル化は歓迎すべきことですね。

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