2022年7月23日と24日の2日間、東京ビッグサイトで「東京キャンピングカーショー2022」が開催されました。
出展ブースは50を超え、展示車両は150台以上。有名YouTuberやアスリートによるトークショーなども行われ、会場には多くの来場者が訪れました。
キャンピングカーに馴染みのない人にとっては、「これだけの車両を集めて何をするのか」と疑問に思われるかもしれません。実際のところ、イベントにはどんな車が展示され、どんな人たちが訪れていたのでしょうか。
「ウチのリビングより豪華じゃん……」
ビッグサイトの長いコンコースを東端まで歩き、会場にたどり着いたのはお昼過ぎ。すでに会場は多くの人出で賑わい、なかでも子連れのファミリーやペット連れの方の姿が散見されます。
会場を回ると、人気車両には順番待ちの小さな列が生じており、キャンプ熱の高まりが感じられました。
キャンピングカーと聞くと、まずトラックや1BOXを改造した箱型の車両が思い浮かぶかもしれません。しかし、会場には「セレナ」や「N-BOX」など、乗用車の人気モデルをキャンプ仕様にカスタムした車両も多く見られました。
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今年発売したばかりの「新型ノア」をベースとしたモデルも展示され、多くの参加者から熱い視線を集めていました。
とはいえやはり、キャンパーに人気なのはトラックをベースにした「キャブコン」や、ハイエースなどをベースとする「バンコン」のようです。
実際に、展示中のキャブコンに入ってみると、居心地のよさは「もはや家」というレベル。
家庭用エアコンや冷蔵庫はもちろん、大型テレビやクッションの効いたソファ、小洒落たインテリアに「ウチのリビングより豪華だ……」と思わずにはいられません。
ハイエース系の車両をカスタムしたバンコンも、外観からは想像できないスペースを擁しています。
睡眠・食事・休憩を複数人で行える設備と広さを備え、パーソナルスペースとしても「ここで十分暮らせる」という印象があります。
軽トラ・軽バンをカスタムした軽キャンパーは、軽規格を最大限活用する工夫が数多く取り入れられており、収納やシートアレンジに驚かされるシーンも。
食事から仕事、睡眠までを手が届く範囲で済ませられる「ちょうどよさ」があり、ものぐさな筆者としては「ある意味これが一番快適かも」と感じる面もありました。
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さらに会場には、ビルダーによる完成車両のほか、乗用車のルーフにポン付け可能なテントや、防災面でも役立つポータブルバッテリーなど、キャンピングカー以外のオーナーにとっても取り入れやすい製品が見られました。
その他、特別展示としてキャンプ系YouTuberの車両や、人気アニメ『ゆるキャン△』のコラボ車両など、話題性の高い車両も並べられ、それぞれのブースがさまざまな形で盛り上がりを見せていました。
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1,000万円超えの車両も即日完売
会場を回っていて印象的だったのが、多くの展示車両に「値段」や「納期の目安」が表示されていたことです。実際にブースで商談している来場者の姿も見受けられ、イベント初日の開始から数時間の段階で、すでに「成約済」の札が掲げられた展示車両も目立ちます。
「1,000万円超え」も珍しくないキャンピングカーが即日売れてしまう、というのは意外に思われますが、実際にキャンピングカーを比較検討できる場はそう多くありません。一挙にさまざまなビルダーの車両を見て回れる同イベントは、購入希望者にとって貴重な意思決定の場になっているようです。
キャンピングカーの売れ行きについて、出展者の方に話を聞くと、次のような答えが返ってきました。
「コロナ禍でキャンプに興味を持ちはじめた方はやはり多いようで、実際に受注件数も増加傾向にあります。弊社はキャンピングカーのレンタルもやっているのですが、一度レンタルなさった方が、帰ってきてすぐに購入を決めるといったケースもありますね」
一般社団法人 日本RV協会が毎年発表している「キャンピングカー白書」を見ても、キャンピングカーの販売総額は年々増加傾向にあり、2021年には過去最高の「635.4億円」に上りました。
需要の高まるキャンピングカー市場ですが、実際にどのような方々が購入に至っているのでしょうか。出展中のビルダーの販売担当は次のように言います。
「もともと、キャンピングカーを購入されるお客様は50代以上の方が多い傾向にありました。子育てが一段落したり、定年で仕事を終えたりと、経済的にも時間的にも余裕ができるタイミングでアウトドアを楽しもうという方が多かったんです。
もちろん現在でもそうした方々は多いですが、最近は若い方も少しずつ増えている印象がありますね。キャンプを趣味とする方のほか、車中泊で全国一周にチャレンジしたいといった方も結構いて、装備を就寝目的に絞った『車中泊仕様』と呼ばれるタイプも人気です」
実際に、来場者の年齢層はさまざまであり、ご年配の夫婦や若い家族連れなど、幅広い層が車両の購入を検討する姿がありました。
購入の価格帯を見ると、比較的高額なモデルが人気を博しているようです。軽キャンパーからキャブコンまで幅広いモデルをラインナップするビルダーの販売担当からは、次の話が聞かれました。
「一番ご好評いただいているモデルは1000万円を超えるキャブコンですね。やはり『キャンピングカーを買うからには一定の装備を揃えておきたい』という方が多く、最初から機能が充実しているモデルが選ばれる傾向にあるように思います」
会場を回っているなかでの相場感としては、軽キャンパーが200万円~400万円、バンコンが400万円~700万円、キャブコンが900万円~といったところ。おおむね、「ベース車両+100万円~200万円」といった価格設定が多く見られました。