同じクルマでも国や地域、ブランドや販売店ごとに車名が異なるのは商標や販売戦略のみならず、「予定していた車名が、どうもその国の言葉だとあまり品が良くないなど難がある。」、あるいはそれと同種の誤解を招きかないケースもあります。

それで販売直前に改名を余儀なくされる場合すらありますが、元々あった車名に、後から別なイメージがついてしまうという「とばっちり」なパターンもあり、今回はそんな「名前で損してそうなクルマ」から、ホンダ車の例を紹介します。

ビガー(3代目・1989年)

わかってしまう人は反応に困る「ビガー・フォー・メーン」

ホンダ ビガー Type E(3代目)

スポーティ系販売店のベルノ店向けアコード姉妹車として、1981年に初代誕生、車名も店のカラーに合う「若さ」や「活力」を意味する英語が由来です。

ただし問題だったのは、1980年代に男性向け雑誌の通販広告面で定番だった、「ビガーパンツ」という、要するに「成人男性を性的にたくましく鍛え上げる健康グッズ」の存在で、若く活力ある男性ほど気になり、半ばネタで買った人もいたのでは?

ホンダのビガーはもちろん無関係でしたが、初代インスパイアの姉妹車となった3代目初期のキャッチコピー、「ビガー・フォー・メン(直訳すると「男性の活力」)」は、ビガーパンツを知っていると意味深に感じ、CMを見るたび反応に困ったものです。

後にこのコピーは使われなくなり、ビガーも1995年のモデルチェンジで「セイバー」と車名が変わったので、案外ホンダも気にしていたかもしれません。

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CR-X デルソル(3代目CR-X・1992年)

太陽のデルソル

ホンダ CR-Xデルソル(3代目CR-X)

2代目まではベースのシビックよりショートホイールベースで旋回性能抜群の軽量2+2クーペで鳴らしたCR-Xでしたが、3代目は性格をガラリと変えました。

シビックベースは変わりませんが2シーター化、手動脱着式または電動開閉式ルーフを採用、特に後者は「トランストップ」と名付けられた目玉装備で、車名も太陽の~を意味するスペイン語が追加され、CR-Xデルソルと改名したのです。

しかし、アメリカ西海岸ならともかく日本でFFオープンクーペの需要は少なく、成功例は後のダイハツ コペンくらい、DOHC VTECのB16Aを積むスポーツグレードSiRは設定されたものの、オープントップ化による車重増加で戦闘力は激減。

日本で「CR-X」の名を受け継ぐには斜め上過ぎて全く売れませんでしたが、北米向けのようにシビックデルソルという名であれば、ユーザーももう少し割り切って考えられたかもしれません。