クルマの名前にもいろいろありまして、車名を上げれば即座にカタチが思い浮かんだり、何代にも渡る名門なら各代のカタチすらスラスラ出てくるものもありますが、中にはその逆もあります。
名前を聞くだけで「ウッ、頭が…」と意識が遠のくような忌み名や、「別な名前にしておけばもっと売れたのに」と惜しく感じる車名もあるわけですが、今回はマツダから「名前で損してそう」という代表的な3台を紹介しましょう。
ファミリアアスティナ(1989年)
普通に「アスティナ」か初代「ランティス」でよかったのでは
7代目BG系ファミリアの派生車種として登場、ヨーロッパなどではマツダ323(ファミリアの海外名)に対する「マツダ323F」という車名だったため、日本でもファミリア系の名前がつけられ、CMでもファミリアと一緒に紹介されました。
しかし、後のランティスに通じるテールゲートつき4ドアクーペ(5ドアクーペ)というスマートで伸びやかなスタイルに、当時流行のリトラクタブルライトを採用しており、ハッチバックや4ドアセダンのファミリアとは全く似ていません。
むしろユーノス版「ユーノス100」の方が車名としてふさわしいクルマでしたが、ファミリア一族として扱われたために印象が弱く、これだけカッコイイのにヒットを逃したのが惜しまれます。
仮に「アスティナ」のみか、初代「ランティス」を名乗っていれば、もっと売れたのではないでしょうか?(ちなみにランティスはヨーロッパだと2代目323Fを名乗っています)
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クロノス(1991年)
もはや国産車界の忌み名と化した「クロノスの悲劇」
それ自体は悪くないどころか、高い評価を受けたV6エンジン、当時流行った3ナンバーボディ、質感や安全性も及第点で、うまく育てればカペラ後継車としてその後もマツダを背負って立つ基幹車種になりえたクロノス。
しかし、当時のマツダはトヨタ並に販売網を5チャンネルに拡大、販売店と取扱車種を増やし、バブル景気の波に乗って大躍進しようという、後世からは無謀そのものな計画の真っ只中であり、このクロノスをベースに多数の派生車が生まれました。
しかし結果はバブル崩壊で全てが裏目、急増した車種は生産現場からユーザーまで混乱させたうえにどれも販売不振に陥り、その阿鼻叫喚の様子は「クロノスの悲劇」と呼ばれ、特に悪いクルマでもないクロノスは、マツダの経営危機を招いた戦犯扱いされてしまいます。
国産輸入を問わず、日本でクロノスというクルマが販売されることは、もう二度とないかもしれません。