異常価格は日本だけ! 中古GT-Rはどこへ消えた?

GT-Rの希少性が価格上昇の理由であれば、海外での価格も上がっているはずです。

しかし、海外でも半導体不足による中古車需要の高まりでGT-Rの価格も高騰してはいるものの、北米・欧州ともおおむねグレードや走行距離相応の値付けがされています。

そもそもR35GT-Rはグローバルカーとして全世界同スペックで販売されているため、25年ルールでアメリカに輸出されるスカイラインGT-Rのような異常高騰など起こるはずがありません。

MOBY中古車サイトでも「支払総額が高い順」にソートすると、5,000万円台の個体がヒットする(2022年8月時点)

日本の中古車市場をよく観察すると、GT-Rの中古車相場が高騰しているだけでなく、低年式・過走行車がほとんどなくなっています。さらに数年前に比べて全体の販売台数も大きく減っているうえ、走行距離による価格差も少ない状態です。

コストパフォーマンスに優れたスーパーカーであるGT-Rとはいえ、日常的に使うには無理があります。また、いくら新車が手に入らないからといって、維持費が過大にかかる過走行のGT-Rを好んで購入する人はそれほどいません。

では、たくさん流通していた大量の中古GT-Rはどこへ消えたのでしょうか。

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価格異状の原因は円安による海外輸出の増加

©キャプテンフック/stock.adobe.com

低年式・過走行のGT-Rが消えた先は、おそらく東南アジアやアフリカなどの海外です。

2021年から転じた円安基調により海外からの買い付けが増え、2022年3月から急激な円安が進んだことで海外輸出されるGT-Rも増えたため、急激な異常高騰に至ったと思われます。

GT-Rは世界中で販売されていますが、新車価格や販売グレードは国によって異なり、インドやシンガポールではGT-Rの新車価格は日本の数倍です。

世界的な中古車需要の高まりに加え、終売するGT-Rの話題性。さらに円安になれば海外から仕入れにかかる費用も安くなり、販売価格が高い国で売ればさらなる利益になります。

中古車輸出販売業者からすれば、2022年になってからの状況はまさに渡りに船でしょう。

その結果、日本の中古車市場からは低年式・過走行のGT-Rは軒並み海外に輸出され、平均中古車相場を一気に押し上げたものとみられます。

ホンダ NSX

2022年12月で生産終了が発表されているNC型ホンダ NSXもGT-Rと似た状況になっており、状態の良い中古NSXも新車価格並の中古車価格を維持しています。

世界的な半導体不足に円安が加わって、GT-Rに限らず中古スポーツカーの価格高騰は今後しばらく続くとみられます。

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