不死鳥のような復活を遂げた大人気ビール「マルエフ」。アサヒビールから販売されているなめらかなコクがある銘柄で、マルエフ独特の美味しさが楽しめる。

「アサヒビールをどうにか復活させてほしい」という願いが込められ、マルエフは1986年2月に発売した。途端に大ヒットを記録したマルエフだが、生産体制の問題もあり、1993年に缶や瓶を終売とし、業務用の樽のみ継続販売する形となった。

しかし、2018年に期間や数量を限定して再発売し、2021年には改めて「完全復活」を遂げた。今回は、奇跡の復活を遂げたマルエフについて、特徴や歴史、スーパードライとの違いを詳しく解説する。

マルエフに似たおすすめのビールも併せて紹介するので、ビール好きの方はぜひ最後まで読んでみてほしい。

大人気ビール「マルエフ」の特徴

大人気ビール「マルエフ」は、アサヒビールから販売されている、なめらかなコクが魅力的なビール銘柄である。「不死鳥のような復活」という願いが込められて復活したビールであり、マルエフの「F」は不死鳥(フェニックス)からきている。

しかし、フェニックスのスペルは「phoenix」であり、Fの文字はどこにも含まれていない。実はマルエフの名称は、フェニックスの頭文字をFだと思いこんでいた社員が名付けたものであり、あとからその間違いに気が付き、幸運(フォーチュン「Fortune」)に変更したとされている。

マルエフは1986年2月に発売し、従来のビールとは違う「苦くて重いビールから、のどごしのよいすっきりした味わいのビール」を目指した。変化する消費者のニーズに合わせて開発しただけあり、マルエフはたちまち大ヒットを記録した。

一度は終売となったマルエフだが、2021年に改めて「完全復活」を遂げている。マルエフの特徴としては、アルコール度数は4.5%と低く、まろやかでコクのある味わいが楽しめるところだ。

香りが穏やかで上品なので、定番の日本食である煮物や刺身など、繊細な料理に合わせやすいというのも特徴。

スーパードライとの違い

マルエフとスーパードライは比較されることが多い。マルエフが生まれた翌年の1987年3月に発売となったスーパードライ。このスーパードライは、ビール界を騒がせるほどの大ブレイクを遂げた。

味わいはマルエフとは大きく異なり、コクや旨味の瞬発力が高く、一口目からインパクトが大きい。加えて飲み口が非常にクリアであるため、ビール独特のクドさがほとんどない。

その点、マルエフは口当たりの優しいビールであるため、両者はまったく異なる特徴を持っている。

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マルエフの歴史|復活に至るまで

マルエフが発売されてから復活に至るまでのエピソードを解説する。よりマルエフについて深く理解できるはずだ。

マルエフが生まれたのは遡ること1980年代。アサヒは「夕日ビール」と揶揄(やゆ)されるほどの低迷期であった。そんな低迷期を乗り越えるべく、「アサヒビールをどうにか復活させてほしい」という願いを込めて開発したのがマルエフだ。

このマルエフは1986年2月に発売し、アサヒの想いに応えたかのように大ヒットを記録した。順調に売上を伸ばしていったかのように思われたが、翌年に大人気商品となった「スーパードライ」の安定供給が優先され、マルエフは1993年に缶や瓶を終売とし、業務用の樽のみ継続販売する形となる。

その後、2018年に期間や数量を限定して再発売したが、2021年に改めて「完全復活」として、パッケージをフルリニューアルして再発売された。

そんな新しいマルエフのキャッチコピーは「日本に、ぬくもりを。」である。まろやかでコクがあり、じんわりと口のなかを優しく包み込んでくれる、そんなマルエフにピッタリのキャッチコピーだ。

アサヒ生ビール 黒生の歴史

マルエフと関連性の高い「アサヒ生ビール 黒生」の歴史についても解説する。

2022年2月に販売開始となった黒生。そのルーツは、1982年に日本初の缶の黒生ビールとして発売された「アサヒ黒生ビール」である。

1995年にリニューアルし、麦芽の香ばしい香り、苦味の少ないまろやかな味わいを実現。そのリニューアルが、さらにファンの心を掴んだ。

2012年に発売した「アサヒスーパードライ ドライブラック」を機に2015年に終売となったが、復活を望む消費者からのリクエストに応え「復活の黒生」として再発売が決定された。