昔も今も、丸くて可愛らしいか、美しい曲線美、あるいは直線的でも鋭いクサビのようなウェッジシェイプの効いた魅力的なデザインを、名のあるカロッツェリアが仕上げてくる印象が深いイタリア車。

しかし実用一点張りでカクっと四角く時にはバッチリとキメてくるうえに、味も素っ気もない野暮ったさとは無縁で、それもまた不思議な魅力を持っていて、さすがは職人的芸術美なお国柄というべきでしょうか。

今回はそんなイタリア車から、秀逸な「四角い車」をご紹介します。

フィアット 131アバルトラリー(1977年)

ストラトス後継としてWRCで大活躍したイタリアンブロック

フィアット 131アバルトラリー

日本でいえば、メーカーも車格もカローラに相当するフィアット 131ですが、3BOXボディという言葉が似合う角張ったボディに保守的なFRレイアウトの1970年代後半のセダンとなれば、ますますE70系(4代目)カローラに似てきます。

中でも名門チューナーのアバルトが手掛けた、2リッターDOHCエンジンを積む131アバルトラリーは、大きく張り出したオーバーフェンダーなどたくましい見かけで四角さを増したラリー用エボリューション仕様。

前任が流麗なミッドシップ・スーパーカーのランチア ストラトスでしたから、なおさら四角くさは際立ちましたが、速くともどこへ飛んでいくかわからず、常にコーナリングかドリフトしていたようなストラトスより操縦性はよく、安定した速で数々の勝利を誇りました。

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フィアット パンダ4×4(初代・1983年)

たくましさを増した4×4は普通のパンダ以上に四角い?

フィアット パンダ4x4

「販売不振で開発費はないけど、何とか安い新型車を作ってくれ」とフィアットに泣きつかれたデザインの名匠、ジョルジェット・ジウジアーロが「既存メカを使い内外装もとにかく簡素、冷蔵庫みたいな白物家電だけど安っぽくせず、実用性の高い車」として開発。

日本流にいえば無印良品のような、コスパとデザインの優れたパンダは大ヒット作となり、次第に見キチンとコストもかけた見栄えになっていきますが、ひたすら四角くスペース効率に優れた初期コンセプトは変わらず、19年も作られるロングセラーとなりました。

特に四角さが際立つのは1983年に追加された4WD車のパンダ4×4で、最低地上高が高くなった四角いボディは、現在のオフローダールックSUVに近いような、好ましい意味での無骨さがあります。