新型小型移動式オービスの配備が広がっている

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2022年6月現在、移動式オービス(可搬式オービス)の配備先は46都道府県に達しており、未配備の地域は新潟県のみとなっています。その新潟県においても、2022年度の予算案に移動式オービスの導入費用が盛り込まれました。2016年に埼玉県で初配備されてより約6年、今や移動式オービスは全国のドライバーが注意すべき存在になったといえるでしょう。

こうした動向に加えて近年は、移動式オービスが配備される場所や、オービス本体に関する注目すべき動きが見られます。配備場所については、従来メインとしていた生活道路だけでなく、国道や高速道路などにも拡大している模様。トンネル内での目撃例もあり、今やどこで移動式オービスに遭遇してもおかしくありません。

移動式オービス本体については、新型機の導入や、高性能機の追加配備などが各所で報じられています。以上の動向から、警視庁が移動式オービスに従来以上の力を入れていることは明白です。

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移動式オービスの種類

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2021年6月時点で警視庁が導入している移動式オービスは4機種あります。各機種はどのような特徴や性能を持つのか、詳しく見ていきましょう。なお、日本でオービスの名称を使えるのは東京航空計器株式会社(以下TKK)の製品のみですが、ここでは便宜上、他社製品もオービスとして解説します。

LSM-300

TKK製の「LSM-300」は、レーザー式を採用する移動式オービスです。コンパクトな長方形ボディにセンサーとカメラおよびストロボを内蔵しており、三脚に乗せて使用されます。

LSM-300は1台で複数車線を監視できます。速度測定範囲は40〜199km/hと広く、一般道で使うオービスとしてスペックに不足はありません。ただし、導入後の取締り件数の少なさから、LSM-300は計測精度に疑問が持たれています。全国での配備数がダントツに多いLSM-300ですが、今後は他機種への入れ替えが進むかもしれません。

レーザー式とは?

レーザー式とは、レーザースキャンにより走行車両を立体的に捕捉して、移動距離から車速を割り出す測定方式です。オービスの分野ではLSM-300で初採用された方式であり、無線免許なしで使用できます。

LSM-300HK

「LSM-300HK」は半可搬式と呼ばれるタイプのオービスです。半可搬式オービスはバッテリー内蔵の土台に設置して使用され、数日間の無人運用に対応します。この反面、半可搬式は運搬にトラックが必要であり、機動性は可搬式に劣ります。なお、LSM-300HKの基本性能はLSM-300と同じです。

LSM-310

「LSM-310」は2020年10月ごろに登場した最新機種です。LSM-300の後継機種であり、可搬性を高めるために本体が2分割されています。また、基本性能もアップしており、速度測定範囲が40〜220km/hに向上したほか、カラーカメラが新採用されています(LSM-300のカメラは白黒)。

自動車専用道路で半固定式オービスとして活用できることも、LSM-310の特徴です。半固定式とは、複数箇所に設置した専用ケースに日替わりでオービス本体を置く配備方式です。2分割できるLSM-310は、ケースに設置しやすく撤去も楽なため、半固定式に採用されていると考えられます。

MSSS

センシス・ガッツォ社の「MSSS」は、レーダー式(ドップラー方式)を採用する移動式オービスです。本体がカメラ部分とストロボ部分に分割されており、それぞれを三脚に乗せて使用します。

従来のレーダー式オービスが「Xバンド」と呼ばれる周波数を使用しているところ、MSSSでは「Kバンド」を採用しています。また、3車線まで同時計測でき、連なって走る違反者の連続検知も可能、測定できる最大速度は360km/hでカメラはカラーと、MSSSはかなり高性能です。こうした性能の高さが評価されてか、近年はMSSSの配備数が増加しています。

レーダー式とは?

レーダー式とは、車に向けて放った電波と、車に反射した電波との周波数差から速度を割り出す測定方式です。MSSSでは車の走行速度だけでなく移動距離も測定でき、両者に大きな誤差がある場合は測定をキャンセルします。