2015年12月に採択された「パリ協定」。温室効果ガスの排出削減を目的として、世界各国で内燃機関(ガソリンエンジン)を使用した車から、電動車(ハイブリッド、電気自動車、プラグインハイブリッド)への新車販売切り替え時期が明示されました。
日本でもハイブリッドやプラグインハイブリッドに続き、電気自動車(BEV)が次々と登場しています。特に、5月20日に発表された日産と三菱の軽自動車BEVが14,000台以上の注文を受け、BEV化の波はさらに加速していくでしょう。
そこで気になるのが、電気自動車の充電事情。電気自動車の数がどんどん増える中、充電スポットの数が比例して増えてはいないのです。各所でトラブルなども聞こえてくる充電スタンドの今を探っていきましょう。
全国にある充電スタンドの数は?
電気自動車の航続可能距離は、搭載されているバッテリーの大きさにより、大きく変わります。車体が大きくなれば、それだけ大きなバッテリーを積み込むことができるので、1度の充電で長い距離(400〜500㎞)を走れます。
しかし、日本国内で多く見かける中型や小型の電気自動車の、1回の満充電で走行できる距離は200〜300㎞程度です。
WLTCモードで計算すると、今回登場した日産のSAKURAは1回の充電で走行できる距離は180㎞です。少し遠出をしようと考えると、走行スケジュールのどこかで、充電スタンドを利用することが必要となるでしょう。
現在、全国に約2万か所あると言われている充電スタンドですが、ガソリンスタンドの数は約2万9,000か所ですから、比較すればまだまだ少ないのが現実です。
さらに、ガソリンの給油は1回に5分程度で完了しますが、電気自動車の充電は最新の急速充電を使用しても40分~1時間程度、普通充電となると満充電まで8時間〜10時間もかかってしまいます。
まだまだ充電スタンドの数は少なく、充電にも時間がかかる電気自動車。実際に多く使用されている高速道路のサービスエリア等の状況はどうなっているのでしょうか。
(広告の後にも続きます)
すでに充電難民も…高速道路の充電事情
現在、全国の高速道路に設置されている急速充電機の口数は約400と言われています。2025年までに1,000口へ増やすことが目標として掲げられていますが、これでは増え続ける電気自動車の数に対して、圧倒的に充電スポットの数が足りません。
高速道路上の走行では、15分の充電でまかなえる走行距離は80㎞程度となります。そのため、サービスエリアなどでの休憩時間を使って、1台当たり30分以上1時間未満の充電を行うことが多いそうです。
しかし、1つのサービスエリアに設けられている充電スポットの口数は1~2という場所が多いため、3台程度が順番待ちをしているだけで自車の充電開始を1時間以上待たなければなりません。
EVの充電スタンドが減少してしまった理由は…?知れば納得する5つの要因とは
こういった事態を避けるために、長距離走行をする電気自動車ドライバーは、愛車の充電状況に余力を残しながら、早め早めに充電スポットを探し、こまめに充電しながら走行していきます。
もしも充電切れ寸前で駆け込んだサービスエリアの充電スポットが使用中、または長蛇の列だった場合には、その場所に数時間停滞するほか無くなってしまうからです。
電気自動車ユーザーは、航続可能距離以上の走行を余儀なくされると、充電スポットを探しながら走らざるを得なくなるため、そわそわしながら運転することも多いといいます。
順番待ちによる長時間の足止めや、電欠などのトラブルを多く招きかねない充電スポットの不足。車の開発・販売と同時に、充電インフラの問題を解決していかなければ、日本国内での自動車電動化は、遅れていくばかりではないでしょうか。
【みんなの意見】投票受付中!
Q. 電気自動車(BEV)を購入しようと考えていますか?
近年の自動車業界は「電動化」が大きなトレンドになっていて、国内外問わず各メーカーがこぞって電動車を開発・投入していま…
- 今すぐほしい
- インフラが整備されたらほしい
- 価格が落ち着いたらほしい
- いいデザインがあればほしい
- ほしいと思わない
なぜコンセントが全車種で標準装備されないのか?
便利なのにどうして?車にコンセントが標準装備されないのは理由があった
勤続4年の警察官なのに無免許…なぜ?
勤続20年のベテランも…車の免許を持っていない交通課の警察官はいるって本当?