飲酒運転の件数は年々減少傾向にありますが、アルコールが完全に抜けきるまでどれくらいの時間が必要かがわかれば、ドライバーも計画的にお酒を楽しめるかもしれません。つい飲み過ぎてしまったとき、アルコールを分解する時間を早める、あるいは飲酒運転にかかわる検問に引っかからないための対策は存在するのでしょうか?

アルコールが分解される時間の目安は計算できるが…

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アルコールが分解される時間は「摂取したアルコール量」を「1時間でアルコールを分解できる量」で除算(割り算)をすればおおまかな予測が立てられるようになっています。以下の計算式を見てみましょう。


摂取したアルコール量の計算式

お酒の量(ml)×[アルコール度数(%)÷100]×0.8

1時間でアルコールを分解できる量の計算式

体重(kg)×0.1

アルコールの分解にかかる時間の計算式

摂取したアルコール量÷1時間でアルコールを分解できる量


例えば、体重60㎏の人がアルコール度数8%のビールを500ml摂取したとします。計算式は以下の通りです。

60(kg)×0.1=6(kg)

32÷65.3(時間)

摂取したアルコールをすべて分解するには5時間以上かかることがわかります。一般的に、夜にお酒を飲んで翌日の朝運転しても、飲酒運転となるケースは稀です。これは、缶ビール1本程度のアルコールは、5時間以上の睡眠を取れば抜けている人がほとんどといえるためでしょう。

しかし、摂取したアルコール量の量や体重に違いがあれば、分解される時間も異なります。十分な休憩・睡眠をとってもアルコールが抜けきらない可能性があるため、一概に「最低●時間、睡眠を取れば大丈夫」とは言えないのです。

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タクシードライバーに飲酒運転予防対策を聞いてみた

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運転手の仕事を本業とする人たちは、飲酒をする際にどんなことに気をつけて、飲酒運転を予防しているのでしょうか?

某タクシー会社でドライバー職を務めている筆者の知人・Aさんへ直接質問したところ、次のような回答が返ってきました。

「長期休暇が取れるタイミング以外ではお酒は飲まないです。というより、飲酒ができない環境ですね。

法律で出勤時のアルコールチェック(国土交通省の「旅客自動車運送事業運輸規則」にて、タクシー会社などの運送事業者は従業員に対して出勤時のアルコール検知器によるチェックが決められている)があるので、少しでもアルコールが検出されたら仕事ができない仕組みになっています。

私も生活がかかっていますし、出勤できない分の穴埋めは簡単にできません。一般のサラリーマンの方々と休日の取り方が異なり、土日祝日は無関係で、かつ連休が取りにくい環境下なので、有給なども加えて長期休暇が取れる際以外は飲酒しないように心がけています。

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お酒を口にする際の対策は、”食べ物をいっしょに摂ること”ですね。アーモンドなどのナッツ類や焼き鳥、魚肉ソーセージなどたんぱく質が含まれている食べ物や、近年流行っている「オルニチン」と呼ばれる成分が含まれたお味噌汁を口にするのは欠かさずしています。

また、お酒を飲み終えたあとの水分補給は欠かしていません。二日酔いを防ぐのと、休み明けからの出勤に備えて体調を整えるためです。私は、スポーツドリンクを飲むように心がけています。」

飲酒をする際は食事と水分補給がアルコール分解や体調管理の秘訣のようですね。

肝臓を上手に働かせてアルコールを分解するには、食事と水分補給が重要となりそうです。

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お酒と一緒に食事や水分を摂ることも大切

食事では、”たんぱく質”が含まれた食べ物をお酒といっしょに摂ることがよいとされています。健康食品を市販・販売しているメーカー各社では、アルコールを摂取した際にたんぱく質入りの食品を勧めているようです。

また、水分補給には、スポーツドリンクが有効とされています。スポーツドリンクは、ナトリウムやカリウムをはじめとした「電解質」が含まれているのが特徴。アルコールが肝臓で分解されて生じる「アセトアルデヒド」を体外に排出し、二日酔いなどの体調不良を防止する効果があるとされています。

飲酒運転で警察などの処分を受けることとなれば、少なくとも「酒気帯び運転」であれば90日間の免許停止が生じるほか、事の重大さによって刑罰が厳しくなります。

極端な話をすれば、翌日に車を運転して出かける予定があるなら、飲酒によるアルコール摂取を避けるのが最も賢明です。どうしても外せない用事であるなら、飲酒していない他の人に運転を依頼するなど対策を施すべきでしょう。

「アルコールが分解される時間の目安がつくから平気だ」「スポーツドリンクをたくさん飲んだから大丈夫」とは安易に考えず、お酒の量や自分の体調・体質をしっかり把握しておくことも大切です。

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