なんとなく優雅なイメージで四角い車などなさそうなフランス車のデザインですが、商用車やエントリーモデルのような「まずは実用性が大事!」というカテゴリーだと、日本車とはまた違った雰囲気を感じさせるとはいえ、案外無骨な車も多いものです。

特に車体表面の段差をなくして空気抵抗を削減する、「フラッシュサーフェス」が日本より早く取り入れられた、1970年代から1980年代はじめまでの車にその傾向が強く、今回はその時期のルノー車から「四角い車」を紹介します。

5(サンク・初代・1972年)

厚みのある四角いフロントマスクが印象的な実用ハッチバック車

ルノー 5 TX(サンク・初代)

四角いルノー製乗用車の代表格といえば初代5(サンク)で、ラリーで活躍したミッドシップマシン、5ターボが日本では有名なものの、ベースとなった初代5はAMC(アメリカン・モーターズ)の販売網で売っていた北米仕様「ル・カー」を除けば、まんま四角い実用車。

フロントアクスル後方にエンジンを縦置きに搭載するフロントミッドシップ式のFF車、というレイアウトは先代の4(キャトル)から踏襲し、寸詰まったように短いフロントオーバーハングと長いエンジンルーム、立ったフロントガラスが四角張った印象を強めています。

これが1984年にモデルチェンジした2代目5(シュペールサンク)では、エンジン横置きFF車になって全体のレイアウトに余裕が出た結果、四角さがやや緩みました。

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トラフィック/マスター(初代・1980年)

同時代のハイエースとの違いが、まんま日仏の「四角さ」の違いかも

ルノー トラフィック ハイルーフ バス仕様(初代フェーズ1[前期型])

1970年代までのルノー商用車は、小型の4(キャトル)フルゴネット、中型のエスタフィット、大型の1000kg、いずれも全体の印象は角ばりつつ丸みを帯びたフロントマスクを特徴としていました。

しかし1980年にエスタフィットの後継で登場した中型のトラフィック、大型のマスターはいずれもフラッシュサーフェス化されて、短いボンネットがある1.2BOX的なセミキャブオーバー車となり、特に逆スラントノーズの前期型は四角い印象を強めました。

ドイツならVW トランスポルター、日本ならハイエースなどに相当しますが、ワゴンモデルでも車内を立って歩けそうな超ハイルーフ仕様や、同じエンジン搭載位置でも前輪駆動と後輪駆動の双方をラインナップするなど、なかなか面白いバリエーションを揃えています。