かつて、車のフロントガラス上部には「トップシェード」や「ハーフシェード」と呼ばれる青や緑色のフィルムが装着されていました。

これらは、フロントガラス上部から太陽の光が差し込んできた際に視界を遮るのを防ぎ、目にかかる負担を軽くしてくれるというもの。しかし、近年は街なかで装着している車が減りつつあります。

なぜ、フロントガラスにトップシェードが使われなくなっているのでしょうか?

トップシェードがあると、あの機能が作動しない…?

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かつて、トップシェードは高級セダンを中心に標準装備されていたり、特別仕様車の目玉アイテムとして装着されていたりと、ドライブを快適にするアイテムとして人気がありました。加えて、アクセサリーパーツを市販しているメーカーが、ガラスの上部が青や緑色に加工された交換用アイテムを販売しているケースもよく見かけたものです。

しかし、現在は標準装備されている車種が減り、後付けでトップシェードを使うのも難しくなっているのが実情です。

トップシェードが標準装備ではなくなっている要因のひとつに、先進技術の発達が挙げられます。

近年、「衝突被害軽減ブレーキ」用のステレオカメラやセンサーがフロントガラスに面して装着されている車種が増えています。国産車では2021年11月より、新車で販売されている車に衝突被害軽減ブレーキの装着を義務付けるなど、安全性の向上を目的とした法改正が行われているのです。

衝突被害軽減ブレーキのステレオカメラやセンサーは、フロントガラスに汚れがついているだけでも反応が悪くなるなど、繊細な機器。トップシェードが装着されているとステレオカメラやセンサーが上手に働かなくなる可能性が考えられるため、敢えて標準装備としていないケースが多いようです。

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影響を与えない「ハイブリッドフィルム」が普及しつつある

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トップシェードを使いたいなら、後付け式の社外品を装着したり、専門の業者に依頼して既存のフロントガラスへフィルムの施工をしてもらうなど、複数の手段が存在します。

近年では、「ハイブリッドフィルム」と呼ばれるフィルム施工が人気を集めているとのこと。ハイブリッドフィルムを取り扱っている、とある自動車メーカーのディーラーでは以下のようなお話を伺いました。

「ハイブリッドフィルムは、ガラスに貼り付けているのがわかりにくいほど透明感があるのが強みです。

可視光線の透過率(パーセンテージでガラスが取り込む光の量を表現している、数値が高いほど視界が明るくなる)が約90%と、雨や夜間の運転でも視界が開けていて運転しやすくなっています。

加えて、ハイブリッドフィルムには紫外線と赤外線も跳ね返す効果があるので、車内に太陽の熱がこもりにくいのも強みです。夏の暑い時期、エアコンの設定温度を無理に下げる必要がなくなるので、燃費改善も期待していただいてよいかと思います。

また、衝突事故でガラスが割れるシチュエーションがあっても、フィルムとなっているためガラスの飛び散りを防ぐ効果があり、運転者をはじめ、乗る人を危険から守ってくれるでしょう。

過去に多く存在した色付きのトップシェードと比較しても、視界に違和感があるといった問題を解消できているので、ドライブを快適にしたいなら役立つアイテムだと思います。」

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使い勝手に優れるハイブリッドフィルムが人気を集めていることも、トップシェードが使われなくなっている要因となっているでしょう。

保安基準で定められている「可視光線の透過率が70%」をクリアしつつ、紫外線や赤外線をカットして熱が車内にこもりにくくなることもハイブリッドフィルムが選ばれる理由となっています。

トップシェードに代わる新たなアイテムとして、今後はハイブリッドフィルムを装着した車が増えていくかもしれませんね。

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